カグラコウモリとは? わかりやすく解説

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神楽蝙蝠

読み方:カグラコウモリ(kagurakoumori)

カグラコウモリ科コウモリ

学名 Hipposideros turpis


カグラコウモリ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/03 04:47 UTC 版)

カグラコウモリ
保全状況評価[1]
ENDANGERED
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: 翼手目 Chiroptera
: カグラコウモリ科 Hipposideridae
: カグラコウモリ属 Hipposideros
: カグラコウモリ H. turpis
学名
Hipposideros turpis
Bangs, 1901[2][3][4]
和名
カグラコウモリ[3]
英名
Bangs' leaf-nosed bat[3]
Lesser great leaf-nosed bat[1]
Lesser leaf-nosed bat[1]
Lesser roundleaf bat[1]

カグラコウモリ(神楽蝙蝠、Hipposideros turpis)は、哺乳綱翼手目カグラコウモリ科カグラコウモリ属に分類されるコウモリ。

分布

日本石垣島西表島波照間島与那国島固有種[3]

形態

頭胴長(体長)6.8 - 8.9センチメートル[2][3][4]。尾長4 - 5.2センチメートル[2][3][4]。前腕長6.5 - 7.2センチメートル[2][3][4]。体重20 - 32グラム[2]。体毛は褐色系の個体が多いが、赤褐色の個体もいる[4]。和名は鼻葉が、神楽の面のようにみえることが由来となっている[5]

分類

以前は亜種H. t. alongensis(ベトナム)や亜種H. t. pendleburyi(タイ王国)を含む説もあった[6]。2012年に形態や周波数・ミトコンドリアDNAのシトクロムbの分子系統解析から、それぞれを独立種とする説が提唱された[6]

生態

常緑広葉樹林に生息する[3]。昼間は洞窟を隠れ家(ねぐら)として利用する[2]。1,000頭をこえる大規模な群れを形成する場所もある[2]。西表島の大富地区では、15,000頭以上の大規模な集団が生息する[4]

昆虫を食べるが、主に甲虫を食べる[3]。森林内で採食を行うことを好み、草原や農耕地などの開けた環境は移動経路としても好まない傾向がある[2]。ねぐらの近くに適した採食場所がない時は、集団で列をなして5キロメートル以上離れた場所まで移動してから分散して採食することもある[2]

繁殖様式は胎生。6月に1回に1頭を産む[2][4]。幼獣は35日ほどで飛翔できるようになる[2]

洞窟の天井に1頭ずつのなわばりを作り、体を接触させずに一定の間隔を保ってとまる。食性は昆虫食で、大型のガ、セミ、甲虫などを捕食する。繁殖が可能になるのは、多くの個体が3歳である。哺育期間は、他のコウモリより2倍ほど長く2ヶ月間である。秋に脂肪を蓄積し、冬は冬眠する。この際も1頭ずつ間隔をあけてとまる[要出典]

人間との関係

波照間島では「イシャリ」、西表島では「キシャラ」(ただしこの方言名は西表島では小型コウモリ類全般を指す)という方言名がある[4]

生息数の推移に関するデータはないものの、宅地開発や土地開発・観光開発によるねぐらとなる洞窟の破壊や洞内の環境の変化、洞窟周辺の森林の減少、洞内のエコツアーによる攪乱などの影響が懸念されている[4]。2017年の時点で、沖縄県レッドリストでは絶滅危惧IB類と判定されている[4]

波照間島・与那国島の個体群
波照間島や与那国島には隔離分布し、森林伐採などによる獲物が発生する環境の減少、洞窟の埋め立てによるねぐらの破壊、洞窟周辺の農地開発による洞窟の乾燥化などによる影響が懸念されている[3]
絶滅のおそれのある地域個体群環境省レッドリスト[3]

出典

  1. ^ a b c d Fukui, D. & Sano, A. 2019. Hipposideros turpis. The IUCN Red List of Threatened Species 2019: e.T80224148A22099660. https://doi.org/10.2305/IUCN.UK.2019-3.RLTS.T80224148A22099660.en. Downloaded on 16 May 2021.
  2. ^ a b c d e f g h i j k 前田喜四雄 「カグラコウモリ」『日本の哺乳類【改訂2版】』阿部永監修、東海大学出版会、2008年、34頁。
  3. ^ a b c d e f g h i j k 前田喜四雄 「与那国島のカグラコウモリ」「波照間島のカグラコウモリ」『レッドデータブック2014 日本の絶滅のおそれのある野生動物 1 哺乳類』環境省自然環境局野生生物課希少種保全推進室編、株式会社ぎょうせい、2014年、92 - 93頁。
  4. ^ a b c d e f g h i j 前田喜四雄・田村常雄(追補) 「カグラコウモリ」『改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物 (レッドデータおきなわ) 第3版 動物編』、沖縄県文化環境部自然保護課、2017年、101 - 102頁。
  5. ^ 前田喜四雄 「シリーズ 日本の哺乳類 種名検討編, 日本産翼手目(コウモリ類)の和名再検討」『哺乳類科学』36巻 2号、日本哺乳類学会、1996年、237 - 256頁。
  6. ^ a b Vu Dinh Thong et al, "Systematics of the Hipposideros turpis complex and a description of a new subspecies from Vietnam," Mammal Review, Volume 42, Number 2, 2012, Pages 169 - 192.
  • 松村澄子 コウモリの会編 『コウモリ識別ハンドブック』 文一総合出版、2005年、P20 ISBN 4-8299-0015-6
  • 小宮輝之 『日本の哺乳類』 学習研究社<フィールドベスト図鑑>、2002年、P174。

関連項目


「カグラコウモリ」の例文・使い方・用例・文例

  • カグラコウモリ類
  • 旧世界のカグラコウモリ
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