エリソ・ヴィルサラーゼ
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エリソ・ヴィルサラーゼ | |
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演奏会にて(ビック)
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基本情報 | |
出生名 | グルジア語: ელისო კონსტანტინეს ასული ვირსალაძე ロシア語: Элисо Константиновна Вирсаладзе |
生誕 | 1942年9月14日(81歳)![]() |
学歴 | トビリシ音楽院、モスクワ音楽院 |
ジャンル | クラシック |
職業 | ピアニスト、音楽教師 |
担当楽器 | ピアノ |
エリソ・ヴィルサラーゼ(グルジア語: ელისო კონსტანტინეს ასული ვირსალაძე、ロシア語: Эли́со Константи́новна Вирсала́дзе、ローマ字翻字例: Eliso Virsaladze, Elisso Wirssaladze[注釈 1]、1942年9月14日 - )はジョージアのトビリシ出身の女性ピアニストである。演奏家としてのみならず、教育者としても名高い。
概要
ジョージアで著名な音楽教師であった祖母アナスターシャ・ヴィルサラーゼよりピアノの指導を受けた後[1]、トビリシ音楽院を卒業すると、さらにモスクワ音楽院に進みゲンリフ・ネイガウスとヤコフ・ザークに学んだ。1962年にチャイコフスキー国際コンクールで3位に入賞し、1966年にはツヴィッカウのピアニストと歌手のためのローベルト・シューマン国際コンクールで優勝した。スヴャトスラフ・リヒテルと親交を結んだ[2]。
ルドルフ・バルシャイ、キリル・コンドラシン、リッカルド・ムーティ、クルト・ザンデルリング、ヴォルフガング・サヴァリッシュ、エフゲニー・スヴェトラーノフ、ユーリ・テミルカーノフ [3]、アントニ・ヴィトなどの著名な指揮者のもと、世界の主要なオーケストラ[4][5]と共演して演奏活動を続けている。室内楽の分野でも活躍しており、オレグ・カガン(ヴァイオリン)、ナターリヤ・グートマン(チェロ)[6][7][8]、ボロディン弦楽四重奏団[9]、タネーエフ四重奏団と共演し、録音も残している。
モーツァルト、ベートーヴェン[7][8]、ショパン[5][10][11][12][13]、シューマン[14]、ブラームス[6]などのヨーロッパの作曲家の作品や、チャイコフスキーをはじめとするロシア音楽を主要なレパートリーとする[15]。
日本には、2014年からほぼ毎年参加している霧島国際音楽祭など、演奏会や講習会であるマスタークラス[16]で頻繁に来日している。
教育者
1967年にモスクワ音楽院の教員に迎えられ1993年に正教授に就任し、教育者としても名高い存在である。1995年から2011年の間はミュンヘン音楽大学、2010年からはフィレンツェのフィエーゾレ音楽院でも教壇に立つ[17][18]。また世界の主要なコンクールの審査員としても大きく活躍している[19]。
著名な弟子にボリス・ベレゾフスキー 、アレクセイ・ヴォロディン、エマニュエル・リモルディ[20]などがいる。
栄誉、栄典
1969年にグルジア人民芸術家章、1989年にソ連人民芸術家章の叙勲を受けた[18]。
主な著作物
ディスコグラフィー
- エリソ・ヴィルサラーゼ、ナターリヤ・グートマン(チェロ)『Suite BWV 1009 . Sonate op. 38 . Sonate op. 36』バッハ、ブラームス、グリーグ、輸入・販売: デジタル・メディア・ラボ〈Live Classics〉、1992年。 NCID BA42069007。[21]
- エリソ・ヴィルサラーゼ、ナターリヤ・グートマン(チェロ)、スヴャトスラフ・リヒテル(ピアノ)『Oleg Kagan-Musikfest Kreuth 1992』ベートーベン、輸入・販売: デジタル・メディア・ラボ〈Live Classics〉、1992年。 NCID BA4247618X。 1992年オレグ・カガン国際音楽祭、旧ヴィルバート・クロイト。
- エリソ・ヴィルサラーゼ、ボロディン弦楽四重奏団(演奏)『Piano quintet, op. 34 ; String quartet no. 2, op. 51, 2』ブラームス、Teldec、1995年。
NCID BA4502146X。
- 邦版『ブラームス』、ワーナーミュージック〈テルデック〉WPCS-6437、1998年。CD 1枚、77分25秒。1990年11月収録。(1) エリソ・ヴィルサラーゼ(P)、ピアノ五重奏曲ヘ短調op.34。(2) 弦楽四重奏曲第2番イ短調op.51-2、ボロディン四重奏団。
- エリソ・ヴィルサラーゼ (1996). Eliso Virsaladze, piano. Russian piano school. 18. ショパン. Melodiya (Мелодия), 各国BMG. NCID BA31300669
- エリソ・ヴィルサラーゼ『Arabeske C-Dur Op. 18 ; Sonate fis-Moll Op. 11 ; Fantasie C-Dur Op. 17』シューマン、リスト、Widmung〈Live Classics〉、1996年。 NCID BB10823713。
- エリソ・ヴィルサラーゼ『In memoriam Sviatoslav Richter』リスト、輸入・販売: デジタル・メディア・ラボ1998〈Live Classics〉、1998年。 NCID BA40039672。 リヒテル追悼。
- エリソ・ヴィルサラーゼ『Etudes Op. 10 & 25』ショパン、輸入・販売: デジタル・メディア・ラボ〈Live Classics〉、1998年。 NCID BA41340251。
- 『ショパン:華麗なる大円舞曲』、CD 69分、デジタル・メディア・ラボ、DICC-24548、1999年9月。
- 『プレイズ・ショパン・イン・ジャパン』、CD 76分、デジタル・メディア・ラボ、DICC-24552、2000年1月。
- エリソ・ヴィルサラーゼ『Klaviersonaten op. 11 & op. 22 ; Waldszenen op. 82』シューマン、デジタル・メディア・ラボ〈Live Classics〉、2000年。 NCID BA46959221。
- 『ピアノ・ソナタ第1番、第2番、森の情景』、CD、デジタル・メディア・ラボ、DICC-24551、2000年1月[注釈 2]。
- エリソ・ヴィルサラーゼ、ナターリヤ・グートマン(チェロ)『By invitation : Natalia Gutman & Elisso Wirssaladze play Beethoven & Mendelssohn』ベートーベン、メンデルスゾーン、輸入・販売: トライエム〈Live Classics〉、2000年。 NCID BA61019458。
- エリソ・ヴィルサラーゼ; タチアナ・ニコラーエワ(ピアノ); ニコライ・ルガンスキー(指揮); リトアニア室内管弦楽団(演奏); サウリュス・ソンデツキス(指揮) (2002). Concerto for two pianos & orchestra, K. 365 ; Concerto for three pianos & orchestra, K. 242 : "Lodron". モーツァルト. Yedang Classics. NCID BB13878802
- ユーリ・テミルカーノフ(指揮)、ニコライ・アレクセーエフ(指揮)、サンクト・ペテルブルグ・フィルハーモニー管弦楽団(演奏)『サンクト・ペテルブルグ・ガラ2003 gala concert 2003』東京 : TDKコア、キングレコード (発売)、2005年(原著2003年)。 DVD 1枚 (112分) カラー, ビスタ; 音声: ステレオ, 伊・露 (PCM), 伊・露 (5.1), 伊、収録: 2003年6月。別題『Gala concert 300 years of St. Petersburg』。
- エリソ・ヴィルサラーゼ; モスクワ国立交響楽団(演奏); ドミトリー・キタエンコ(指揮) (2011). Eliso Virsaladze live. ショパン、シューマン. Melodiya (Мелодия). NCID BB11662551
著作
- 「せんせい、こんにちは(251) / エリソ・ヴィルサラーゼ」『レッスンの友 : ピアノ音楽誌 = Lesson no tomo : a magazine for music lovers』第25巻第1号 (280)、p.14-16、レッスンの友社、1987年1月、 ISSN 0913-3623。doi:10.11501/7959754、国立国会図書館デジタルコレクション/図書館送信参加館内公開。ファイル名0008.jp2。
- 一柳富美子「INTERVIEW ミニ・インタビュー特集 エリソ・ヴィルサラーゼ」『ショパン = Chopin magazine』第4巻第1号 (36)、p.84、ハンナ、東京音楽社、1987年1月。doi:10.11501/7959351、国立国会図書館デジタルコレクション/国立国会図書館内公開。ファル名0046.jp2。
- 「マイ・コンサート」『ムジカノーヴァ = Musica nova』第21巻第12号 (238)、音楽之友社、ムジカノーヴァ、東京音楽アカデミー(編)、音楽之友社、1990-12月。doi:10.11501/7933016、国立国会図書館デジタルコレクション/国立国会図書館内公開、ファイル名0010.jp2。
- 「INTERVIEW エリソ・ヴィルサラーゼ 音楽と実生活の対話が私の人生」『ショパン = Chopin magazine』第7巻第12号 (83)、p.64-66、ハンナ、東京音楽社、1990年12月。doi:10.11501/7959398、国立国会図書館デジタルコレクション/国立国会図書館内公開、ファイル名0035.jp2。
- 「TOPICS エリソ・ヴィルサラーゼ ふと、ロシアの青空が見えた」『ショパン = Chopin magazine』第10巻第8号 (115)、p.71、ハンナ、東京音楽社、1993年8月。doi:10.11501/7959430、国立国会図書館デジタルコレクション/国立国会図書館内公開、ファイル名0037.jp2。
- 「COLOR エリソ・ヴィルサラーゼ MONTHLY ONLY ONE(16)」『ショパン = Chopin magazine』第10巻第9号 (116)、p.34-35、ハンナ、ショパン、東京音楽社、1993年9月。doi:10.11501/7959431、国立国会図書館デジタルコレクション/国立国会図書館内公開、ファイル名0019.jp2。
- 「スポットライト エリソ・ヴィルサラーゼ」『音楽の友』第51巻第9号、p113、日本音楽雑誌株式会社、音楽之友社、1993年9月、 ISSN 0289-3606。doi:10.11501/6022213、国立国会図書館デジタルコレクション/国立国会図書館内公開、ファイル名0058.jp2。
- 「巻頭カラー エリソ・ヴィルサラーゼ」『ムジカノーヴァ = Musica nova』第24巻第10号 (272)、p.1-3、東京音楽アカデミー(編)、音楽之友社、1993年10月。doi:10.11501/7933050、国立国会図書館デジタルコレクション/国立国会図書館内公開、ファイル名0002.jp2。
- Elisso Wirssaladze、百瀬喬「ピアニストインタビュー エリソ・ヴィルサラーゼ」『ムジカノーヴァ = Musica nova』第30巻第12号 (通号 346)、p.58-60、東京音楽アカデミー(編)、音楽之友社、1999年12月。doi:10.11501/7933124、国立国会図書館デジタルコレクション/国立国会図書館内公開、ファイル名0040.jp2<4903790>。
- エリソ・ヴィルサラーゼ「特集 自分なりの解釈と、ショパンのスタイルを守ることとのバランスが難しい エリソ・ヴィルサラーゼ、ショパンを語る」『レッスンの友 : ピアノ音楽誌 = Lesson no tomo : a magazine for music lovers』第37巻第12号 (435)、p.13-17、レッスンの友社、1999年12月、 ISSN 0913-3623。doi:10.11501/7959909、国立国会図書館デジタルコレクション/図書館送信参加館内公開、ファイル名0008.jp2。
- エリソ・ヴィルサラーゼ「エリソ・ヴィルサラーゼ ショパンを語る : 自分なりの解釈と、ショパンのスタイルを守ることとのバランスが難しい。」『レッスンの友 : ピアノ音楽誌 = Lesson no tomo : a magazine for music lovers』第41巻8 (通号 479)、2003年8月、38-43頁、 ISSN 0913-3623。
- エリソ・ヴィルサラーゼ(述)、焦元溥「第1部 エリソ・ヴィルサラーゼ」『ピアニストが語る! : 現代の世界的ピアニストたちとの対話』森岡葉(訳)、p.97−、アルファベータ、2014年、 ISBN 978-4-87198-584-0。増補版2017年、 ISBN 978-4-86598-035-6。
- エリソ・ヴィルサラーゼ、青澤隆明「Interview ロシア・ピアニズムの神髄を現代に伝える エリソ・ヴィルサラーゼ」『音楽の友』第75巻第7号、2017年7月、68-70頁、doi:10.11501/6022213、 ISSN 0289-3606。
関連項目
参考文献
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- 吉澤ヴィルヘルム『ピアニストガイド』青弓社、2006年2月10日。 ISBN 978-4-7872-7208-9。。
- 『ピアノとピアニスト2003』音楽之友社、2003年、28-29頁。 ISBN 978-4276961357。
- 唯夫青澤「特別企画 2014年に来日するアーティストたち(上半期) 鍵盤楽器奏者 : 大御所ヴィルサラーゼ、円熟のピレシュ、スコダの「さよなら公演」」『音楽現代』44巻(2014年1月号号)、芸術現代社、2013年12月15日、86–88頁。NAID 40019917043。
- 唯夫青澤「《巻末》2014年1月~2015年3月来日アーティスト一覧表」『音楽現代』44巻(2014年1月号号)、芸術現代社、2013年12月15日、巻末1-16頁。NAID 40019917043。
- Dürer, Carsten (2007) (ドイツ語). Gespräche mit Pianisten. 2. Düsseldorf: Staccato-Verlag. ISBN 9783932976308
脚注
注釈
出典
- ^ 吉澤 2006, p. 107.
- ^ リヒテル 1998.
- ^ テミルカーノフ 、アレクセーエフ 2003.
- ^ Yedang Classics 2002.
- ^ a b Melodiya 2011
- ^ a b グートマン 1992
- ^ a b グートマン、リヒテル 1992
- ^ a b グートマン 2000
- ^ ボロディン弦楽四重奏団 1995.
- ^ Melodiya 1996.
- ^ ショパン 1998.
- ^ シューマン 2000.
- ^ レッスンの友 2003, pp. 38–43.
- ^ Widmung 1996.
- ^ 音楽の友 2017, pp. 68–70.
- ^ エリソ・ヴィルサラーゼ、新日本フィル《協奏曲》、アレクサンダー・ルーディン指揮、すみだトリフォニーホール、2017年11月27日。2020年10月14日閲覧。
- ^ “ELISSO VIRSALADZE”. PRO ARTIST. 2011年9月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年6月8日閲覧。
- ^ a b “персоналии - Вирсаладзе Элисо Константиновна(ヴィルサラーゼ略歴紹介ページ)” (ロシア語). www.mosconsv.ru. モスクワ音楽院. 2014年4月10日閲覧。
- ^ 菅野恵理子 (2010年6月9日). “メディアはどう伝えたか?聴衆の存在は?―エリーザベト王妃国際コンクール(12)”. www.piano.or.jp. ptna. 2024年5月15日閲覧。
- ^ “japanese official” (英語). EMANUEL RIMOLDI - OFFICIAL WEBSITE. 2018年10月6日閲覧。
- ^ a b Gutman, Natalʹja G.; Virsaladze, Ėliso (2019). The complete cello sonatas. Leipzig Frankfurt am Main: Deutsche Nationalbibliothek
外部リンク
- ヴィルサラーゼ略歴 モスクワ音楽院公式サイト
- ELISSO VIRSALADZE PRO ARTIST、(アーカイブ)2022年6月7日閲覧
- 第21回審査委員の顔ぶれ、ここがすごい(2)ピアノ部門 クラシックソムリエが案内する Road to 仙台国際音楽コンクール
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