エトヴェシュの元々の実験
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/12 07:09 UTC 版)
「エトヴェシュの実験」の記事における「エトヴェシュの元々の実験」の解説
エトヴェシュの元々の実験装置は、棒の両端に2つの質量を取り付け、それを細い繊維でつりさげていた。棒、繊維に取り付けられた鏡が光を小さな望遠鏡に対して反射していた。棒の回転のわずかな変化でも光ビームが偏向され、望遠鏡で拡大するとそれが大きな変化にみえる。 地球の基準系(慣性座標系ではない「実験室系」)からわかるように、均衡質量に作用する主な力は張力、重力、地球の回転による遠心力である。重力はニュートンの万有引力の法則により計算され、これは重力質量に依存する。遠心力はニュートンの運動の法則により計算され、これは慣性質量に依存する。 この実験は質量の2つのタイプが異なる場合、2つの力が2つの物体に全く同じようには作用せず、時間がたつにつれて棒が回転するように準備された。回転する「実験室系」から見ると、弦の張力と(はるかに小さいが)遠心力の和が重力を相殺する(ベクトルとして)。慣性系から見ると常に重力と張力の(ベクトル)和が地球とともに物体を回転させる。 実験室系において棒を静止させるためには、棒に作用するそれぞれの物体に作用する張力の反作用が正味0のトルクを生み出す必要がある(唯一の自由度は水平面上での回転である)。系が絶えず静止していると仮定すると – これは力学的平衡を意味する(すなわち正味の力とトルクが0) – 吊り下げられた2つの物体は静止するが、系が静止しているという仮定に反して異なる遠心力が働くと結果として張力の反作用を通じて棒に異なるトルクが及び、棒が自然と回転する。そのため、系はこの状態では存在できない。2つの物体にかかる遠心力に差があると、棒が回転する。
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