エデト酸とは? わかりやすく解説

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EDTA

分子式C10H16N2O8
その他の名称エデチン酸、ハビドート、セクエストレンAAエチレンジアミン四酢酸、エチレンジニトリロ四酢酸、EDTA、Havidote、Edetic acid、Sequestrene AA、Ethylenediaminetetraacetic acid、Ethylenedinitrilotetraacetic acid、N,N'-(1,2-Ethanediyl)bis[N-(carboxymethyl)glycine]、エデト酸、Versene、ベルセン、エチレンジアミン-N,N,N',N'-四酢酸、Ethylenediamine-N,N,N',N'-tetraacetic acid、2,2',2'',2'''-(Ethylenebisnitrilo)tetraacetic acid、(Ethylenedinitrilo)tetraacetic acid、Ethylendiaminetetraacetic acidエチレンジアミンテトラ酢酸、[Ethylenebis(nitrilo)]tetraacetic acid、N,N'-(Ethane-1,2-diyl)bis[N-(carboxymethyl)glycine]、N,N'-Ethylenebis[N-(carboxymethyl)glycine]、2,2',2'',2'''-(Ethylenedinitrilo)tetrakisacetic acid、Ethylenebisnitrilotetraacetic acid、N,N,N',N'-Tetrakis(2-oxo-2-hydroxyethyl)ethane-1,2-diamine
体系名:N,N,N',N'-テトラキス(カルボキシメチル)エチレンジアミン、(エチレンビスニトリロ)四酢酸、N,N'-[1,2-エタンジイル]ビス[N-(カルボキシメチル)グリシン]、[1,2-エタンジイルビス(ニトリロ)]四酢酸、エチレンビスニトリロ四酢酸、(エチレンジニトリロ)テトラ酢酸、2,2',2'',2'''-(エチレンビスニトリロ)四酢酸、N,N'-(1,2-エタンジイル)ビス[N-(カルボキシメチル)グリシン]、(エチレンジニトリロ)四酢酸、[エチレンビス(ニトリロ)]四酢酸、N,N'-(エタン-1,2-ジイル)ビス[N-(カルボキシメチル)グリシン]、N,N'-エチレンビス[N-(カルボキシメチル)グリシン]、2,2',2'',2'''-(エチレンジニトリロ)テトラキス酢酸、エチレンビスニトリロテトラ酢酸、N,N,N',N'-テトラキス(2-オキソ-2-ヒドロキシエチル)エタン-1,2-ジアミン


エチレンジアミン四酢酸

(エデト酸 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/03 03:28 UTC 版)

エチレンジアミン四酢酸
Skeletal formula of ethylenediaminetetraacetic acid
Ball and stick model of ethylenediaminetetraacetic acid
物質名
識別情報
3D model (JSmol)
略称 EDTA, H4EDTA
バイルシュタイン 1716295
ChEBI
ChEMBL
ChemSpider
DrugBank
ECHA InfoCard 100.000.409
EC番号
  • 200-449-4
Gmelin参照 144943
KEGG
MeSH Edetic+Acid
PubChem CID
RTECS number
  • AH4025000
日化辞番号
  • J4.406G
UNII
国連/北米番号 3077
CompTox Dashboard (EPA)
性質
C10H16N2O8
モル質量 372.24
示性式 (HOOCCH2)2NCH2CH2N(CH2COOH)2
外観 白色粉末
密度 0.86 g/cm3
融点 237–245 °C
510-518 K
(分解)
酸解離定数 pKa pK1=0.0 (CO2H) (µ=1.0)
pK2=1.5 (CO2H) (µ=0.1)
pK3=2.00 (CO2H) (µ=0.1)
pK4=2.69 (CO2H) (µ=0.1)
pK5=6.13 (NH+) (µ=0.1)
pK6=10.37 (NH+) (µ=0.1)[1]
熱化学
標準生成熱 ΔfHo −1765.4 to −1758.0 kJ mol−1
標準燃焼熱 ΔcHo −4461.7 to −4454.5 kJ mol−1
薬理学
S01XA05 (WHO) V03AB03 (WHO) (塩)
投与経路
  • 筋肉
  • 静脈
危険性
GHSピクトグラム
GHSシグナルワード WARNING
Hフレーズ H319
Pフレーズ P305+P351+P338
NFPA 704(ファイア・ダイアモンド)
Health 1: Exposure would cause irritation but only minor residual injury. E.g. turpentineFlammability 0: Will not burn. E.g. waterInstability 0: Normally stable, even under fire exposure conditions, and is not reactive with water. E.g. liquid nitrogenSpecial hazards (white): no code
1
0
0
半数致死量 LD50 1000 mg/kg (経口, ラット)[2]
特記無き場合、データは標準状態 (25 °C [77 °F], 100 kPa) におけるものである。
 verify (what is  N ?)
二ナトリウム塩二水和物
識別情報
3D model (JSmol)
ECHA InfoCard 100.000.409
KEGG
CompTox Dashboard (EPA)
性質
モル質量 372.24
外観 無色結晶
融点 248 °C (478 °F; 521 K) 分解
特記無き場合、データは標準状態 (25 °C [77 °F], 100 kPa) におけるものである。

エチレンジアミン四酢酸(エチレンジアミンしさくさん、ethylenediaminetetraacetic acid)は、金属キレーション剤の1種であり、EDTA あるいはエデト酸と呼ばれることがある。EDTA自体は水に溶けにくいため、後述の様々な利用法で用いるのはEDTAのである。通常、とくに断りのない場合、 EDTA はジナトリウム塩であり、日本薬局方ではエデト酸ナトリウムである。ジナトリウム塩であることを正確に記述したい場合や強調したい場合などは、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム、EDTA・2Na、などと記述される。

錯体の形成

金属-EDTAキレート錯体(Mは金属イオン)

EDTAはキレート剤であり、Ag+Ca2+Cu2+Fe3+Zr4+ などのそれぞれ1価、2価、3価、4価の金属イオンとキレート錯体を形成する(キレート結合)。特にカルシウム、銅、鉄(3価)、コバルト(3価)とは強く結合する。この特性を利用してキレート滴定に広く使われている。EDTAは4つのカルボン酸と2つの3級アミンを持つため、酸塩基反応にも利用される。

使用例

EDTAが持つ金属イオンをキレート(錯化)する性質を利用して、硬水中のMg2+やCa2+をキレートさせて捕集することで軟水化することができ、その目的でシャンプーなどの化粧品に添加される。あるいは金属中毒の治療剤として処方される場合もある。

特に重要な利用法として以下のようなものがある。

  • 工業的洗浄 - 重金属表面に付着したカルシウム、マグネシウムの錯化除去。
  • 合成洗剤の添加物 - カルシウム、マグネシウムの除去(水の軟水化)
  • 写真工業 - 鉄(III)-EDTA錯体の酸化剤としての利用。
  • パルプ・製紙業 - 非塩素系漂白剤を使用する際に生じる過酸化水素の安定化を目的とした重金属の錯化除去。
  • 繊維工業 - 漂白剤安定化のための重金属錯化除去。
  • 農業 - 主に石灰質土壌において、EDTAに鉄、亜鉛、銅を錯化させた状態でまいて、その土壌に乏しい植物の必須元素を補う、肥料としての利用。

またその他にも以下のような利用法が挙げられる。

  • 食料品 - 酸化防止剤、金属封鎖剤(遊離してきた金属イオンを錯体として捕獲して油脂などの酸化を触媒しないようにする)として利用される。これらの用途から「保存料」と書かれることもある[3][4]
  • 乳製品・飲料 - 乳成分由来の汚れの除去。
  • 石油生産 - 無機物の沈殿を防ぐためのボアホールでの利用。
  • 排気ガス - 窒素酸化物の除去。
  • 化粧品 - 酸化防止剤(油脂の酸化を触媒する金属イオンを捕らえる)としての利用。
  • 医薬品 - 急性高カルシウム血症鉛中毒の治療[注釈 1]。一部の採血管において抗凝固剤として利用[注釈 2]
  • 歯科治療 - 歯の根管の洗浄(無機物の除去)。
  • その他の治療 - デトックスキレーション治療、キレート療法等と称し、主にアメリカで行われているという。これに関連してEDTAを合成アミノ酸と呼ぶ例が見られる。確かに広義のアミノ酸に違いないが、大衆向け広告の表現としては疑問がある。

科学の分野では以下のように利用される。

環境への影響

微生物による分解を受けにくいため、水処理としてはやや難易度の高い処理が必要である。一般に次亜塩素酸ナトリウム添加による酸化分解法が採られるが、重金属等の共存下では事前実験が必要である。

ヨーロッパでは使用が規制されている。また、世界保健機関では、飲料水水質ガイドラインとして、0.6 (mg/L)と定めている。これは、EDTAが亜鉛をキレートして、飲料水から亜鉛が摂取できなくなり、亜鉛欠乏に陥ることもあることを懸念しての策である。

注釈

  1. ^ 金属イオンを錯体にして、腎臓からの排泄を促す。
  2. ^ 血液凝固にはカルシウムイオンが必要なのだが、これをEDTAがキレートすることで凝固を防止する。ただし、採血検査の目的によっては他の抗凝固剤が用いられることもある。なお、生体内では抗凝固剤としては利用しない。あくまで、採血した血液の凝固を防止するために用いられる。
  3. ^ 例えば、水の硬度の決定などを行う。ただし、通常はキレート滴定の終点を知るための指示薬が別に必要となる。

出典

関連項目




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