アミロイドの定義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/30 14:09 UTC 版)
「アミロイドーシス」の記事における「アミロイドの定義」の解説
アミロイド(Amyloid)はヘマトキシリン・エオジン染色でみるとエオジンで淡いピンク色に染まる無構造の細胞外沈着物である。コンゴーレッド染色で赤橙色に染まり偏光顕微鏡で緑色偏光を呈し、電顕では8〜15nmの繊維構造を呈する物質として定義される。ドイツの病理学者であるウィルヒョウはこの物質の本体を澱粉様物質と考えアミロイド(類澱粉質)と命名したが、その後、この物質の本体は蛋白質であることが判明した。生体に存在する様々な蛋白がアミロイドになることが知られており、それぞれの蛋白に対応したアミロイドタンパクの名称が付けられる。アミロイドが由来する蛋白すなわちアミロイド前駆蛋白は多様であり、一定のアミノ酸配列や構造を有していることはない。蛋白の違いにかかわらず共通したアミロイドの病理学的性状を呈する。アミロイド形成過程では前駆蛋白あるいは前駆蛋白が蛋白分解を受けた断片が立体構造を変化させβシート構造に富む蛋白(断片)が重合・凝集し最終的にアミロイド線維が形成される。形成されたアミロイド線維は不溶性であり、組織、臓器に沈着する。沈着部位や沈着量により臓器の機能不全が生じる。ただしアルツハイマー型認知症の脳にみられるアミロイドβ蛋白(Aβ)の重合・凝集過程では最終的に形成されるアミロイド線維よりもオリゴマーやプロトフィブリルとよばれる中間的な凝集体のほうがより強い神経毒性をもつ。なおレビー小体や神経原線維変化は細胞内のアミロイド類似の線維性構造物であるが細胞外沈着物であるアミロイドとは定義上区別される。
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