アミロイド生成での役割
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/03 17:10 UTC 版)
αシートは、アミロイドーシス、ポリグルタミンやトランスチレチンのリピートなど様々なタンパク質のミスフォールディング病の中間体となっていると考えられている。例えば、アミロイドβはアルツハイマー病の患者の脳のアミロイドの主要成分となっており、ポリグルタミンリピートはハンチントン病の患者のHuntingtinタンパク質に蓄積される。これらの変異タンパク質はランダムコイルやαヘリックスの構造を持ったタンパク質がβシートに構造変化したものであるが、水素結合とのずれの角度から、これらはαシートを中間体としていると考えられている。 Xuらは、原子間力顕微鏡を使った研究で、アミロイドの形成はまずタンパク質が直径20nm以下のコロイド球状に集結し、それが直鎖状になってついにはアミロイドになるということを示した。直鎖の形成は、クーロン斥力に打ち勝つような電気双極子がコロイド球の中に生成し、それが原動力となって進行すると考えられている。このことは、コロイド球の中にαシート構造があることを示唆している。 リゾチームが天然でαシート構造を持つ数少ないタンパク質であることはよく知られている。ニワトリとヒトのリゾチームのαシートはアミロイドーシスを起こす変異の近くに位置している。変異タンパク質の分子動力学シミュレーションによっても、この変異の近くはαシート構造を取ることが示された。リゾチームは実験環境下で自然にアミロイド繊維化するタンパク質として知られ、天然のαシート領域も変異領域もリゾチームアミロイドの核となっている。 αシート構造とβシート構造が直接移り変わる機構も提唱され、トランスチレチンを用いたシミュレーションで確認されている。
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