アデニン経路
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/02 00:04 UTC 版)
[psi-]と[PSI+]の表現型の違いは、細胞のアデニン合成能を妨害することにより判別を容易にすることができる。P-リボシルアミノイミダゾール(略称:AIR、酵母アデニン合成経路のアデニン前駆体)が赤色の物質の蓄積を誘導し、コロニーの色として裸眼で判別できるようになる。酵母でアデニン経路に関与するADE2遺伝子またはADE1遺伝子の中にナンセンス変異を導入すると、P-リボシルアミノイミダゾールまたはP-リボシルアミノイミダゾールカルボキシレート(略称:CAIR)がそれぞれ蓄積する。CAIRが次の前駆体に変換されるための触媒が存在しないとき、CAIRはAIRに逆行変換される。そのために、どちらの変異体も[psi-]株では赤色の物質が蓄積することとなる。[PSI+]株では、これらの変異があろうがなかろうが、白色を呈す。これから、[PSI+]のeRF3は機能欠失していることが考えられる。 この現象は、[psi-]株ではアデニン合成酵素が途中までしか翻訳されないためにアデニン合成が完結することができないことに基づいている。細胞が[PSI+]になると、ナンセンス変異の読み飛ばしが起こるため、アデニン合成酵素の翻訳が完遂されてアデニン合成が正常に行われる。
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