女紅場(によこうば)
- 女紅は女工なり、明治十年大阪北新地女紅場規則に曰く『維新以来百般の開化は人民の幸福たる論をまたず。然るに花街の婦人は歌舞の業而巳を専らとし裁縫烹〓及び文学書数の事に疎じ、さて女紅場を設く諸種の学業を教授す。生徒は此意を体習熟し、而も旧来の弊風を退除し早晩か一家の良婦たるを期す。』と、明治初年上記の主旨に依り全国各地に創設せられしも、今や普通教育機関完備し別に其の必要無きに至れるを以て京阪両地花街の外概ね之を廃す。先生問ふて曰く『女の金銭より大切にしなければならぬ物は何ですか。』蓋し節操の貴ぶ可きを教へんと欲するなり、生徒声に応じて曰く『それは忠兵衛さんです』また花街情景の一たるを失はず。
分類 花柳界
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