そんがい‐ばいしょう〔‐バイシヤウ〕【損害賠償】
損害賠償(そんがいばいしょう)
”損害賠償”とは、不法行為などによって損害を与えた場合に、その損害を補てんして損害がなかったのと同じ状態にする法律上の義務のこと。
たとえば、他人の特許権、商標権、著作権を侵害した場合は、その侵害によって権利者に与えた損害は侵害者が賠償しなければならない。権利者の側からみれば、特許権等を侵害した者に対しては、損害賠償請求権があることとなる。
ただし、権利者は、侵害行為によって受けた損害額を立証しなければならない。権利者の受けた損害の立証が困難であることから、侵害行為により侵害者が得た利益が、権利者の損害額であると推定する旨の規定が設けられている(特許法第102条、商標法第38条、著作権法第114条)。侵害者の利益額を立証するためには、侵害者による侵害品の販売個数と、1個当たりの利益を証明すればよいことになる。
ただし、侵害品1個当たりの利益の証明が困難である場合が多い。侵害者の帳簿などが無いと証明できないからである(営業秘密などの観点からこれを裁判において提出させるのは難しいケースが多い)そこで、特許法は、侵害者による侵害品の販売個数に、権利者が販売した場合の1個あたりの利益を乗じた額を損害額として請求してもよいとしている。
これも証明できなければ、通常のライセンス料を損害額として請求することができる。
なお、日本では、損害額を超えた賠償額は認められていないが、米国では故意に侵害した者に対して、懲罰的に損害額の3倍の賠償額(3倍賠償)の支払いが命じられる場合もある。
(執筆:弁理士 古谷栄男)
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