おなりの霊力
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/16 05:13 UTC 版)
古来、琉球では女性の霊力が強いと考えられており、神に仕えるノロやシャーマンであるユタも女性だった。おなり信仰では、姉妹(おなり)が兄弟(えけり)に対して霊力が高く、おなりはえけりを守護する能力を持つと考えられた。この信仰は、宗教祭祀における女性の優位を支える原理となった。 おなり神(妹)の霊力はえけり(兄)がマキョ(後述)を出て離れている時に最も強くなると信じられており、その事から、男が漁労、旅行や戦争に行く時は、妹の毛髪や手拭をお守りとして貰う習俗が長く続き、現代も一部に残っている。 おなり神信仰において、兄と妹の関係性は別格とされる。既婚者の男性を霊的に守るのも伴侶である妻ではなく妹と考えられており、近世までは既婚者に大事があった場合でも、その妹が呼び出されて祈念を行うということがよくあったという。このことは、兄と妹の関係性が、場合によっては夫と妻の関係性より強固であり、尊重されることを意味している。旅行や戦争の時、兄弟が毛髪等を貰った相手は自分の姉妹からが全体の6割から8割に達し、自分の妻から貰ったのは5分から6分であり妻よりも自分の姉妹から貰った割合の方が多くなっている。また、兄妹の霊的な絆は父娘のそれよりも強いと感じられていた。
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