『Z213: EXIT』
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/23 15:43 UTC 版)
「ディミトリス・リアコス」の記事における「『Z213: EXIT』」の解説
『Z213: Exit』はパリンプセスト(パピルスや羊皮紙に書かれた文書で、以前に書かれたものを不完全に消した再利用したものを指す。以前の文書が読み取れることが多い)を使って、古代と現代の情報源の両方を、二人の主人公の「対話」と結びつける、架空の組織を表現している。本作は、見知らぬ土地へ向かう電車の旅をする名前のない主人公の経験を記録する、虚構の日記への断片的な記述で構成されている。 その男は、日記に簡潔に記されているように、長い間勾留されていた場所から釈放されたか逃亡したかで、その場所は病院、監獄、ゲットー、包領だと暗示されている。その後彼が、現実であるかのような荒廃した土地で放浪する様子は、詳細でどこかカフカ的な雰囲気のなかで描かれ、最も夢のような出来事がじつは最も現実的であるという点を弱めている。道中、主人公は宗教的探求にのめり込んでいくが、同時に何かにつけられているという感じが益々強まっていき、それによってサスペンス的な要素やフィルム・ノワール的要素が感じられる。 テキストは形而上的ではあるが、同時に1940年代の探偵小説に登場する、類まれなものの真相に迫るロサンゼルスの私立探偵をも思わせる。『 Z213: Exit』は、主人公と「腹をすかせたごちそう」が、まるで神聖な儀式を行うかのように子羊をローストして、まだ血がしたたるその体を切って、皮をはいで、はらわたを取り除く、いけにえの描写で終わる。
※この「『Z213: EXIT』」の解説は、「ディミトリス・リアコス」の解説の一部です。
「『Z213: EXIT』」を含む「ディミトリス・リアコス」の記事については、「ディミトリス・リアコス」の概要を参照ください。
- 『Z213: EXIT』のページへのリンク