『徒然草』に見える人間像
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/03 07:57 UTC 版)
「日野資朝」の記事における「『徒然草』に見える人間像」の解説
徒然草の中にある資朝の逸話は、先入観に惑わされず大胆剛毅なその気性を伝えている。 第152段 西大寺の静然上人、腰かがまり、眉白く、誠に徳たけたる有様にて、内裏へまゐられたりけるを、西園寺内大臣殿、「あなたふとの気色にや」とて、信仰の気色ありければ、資朝卿これを見て、「年のよりたるに候」と申されけり。後日に、尨犬の浅ましく老いさらぼひて、毛はげたるをひかせて、「この気色尊くみえて候」とて、内府へ参らせられたりけるとぞ。 第153段 為兼大納言入道召し捕られて、武士どもうち圍みて、六波羅へ率て行きければ、資朝卿、一条わたりにてこれを見て、「あな羨まし。世にあらん思ひ出、かくこそあらまほしけれ」とぞ言はれける。 第154段 この人、東寺の門に雨宿りせられたりけるに、かたは者どもの集まりゐたるが、手も足もねぢゆがみ、うちかへりて、いづくも不具に異様なるを見て、とりどりにたぐひなき曲者なり、もつとも愛するに足れりと思ひて、まもり給ひけるほどに、やがてその興つきて、見にくく、いぶせく覚えければ、ただすなほに珍しからぬ物にはしかずと思ひて、帰りて後、この間、植木を好みて、異様に曲折あるを求めて目を喜ばしめつるは、かのかたはを愛するなりけりと、興なく覚えければ、鉢に植ゑられける木ども、皆掘り捨てられにけり。さもありぬべき事なり。
※この「『徒然草』に見える人間像」の解説は、「日野資朝」の解説の一部です。
「『徒然草』に見える人間像」を含む「日野資朝」の記事については、「日野資朝」の概要を参照ください。
- 『徒然草』に見える人間像のページへのリンク