「名ばかり管理職」の問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/24 08:26 UTC 版)
「管理監督者」とは、上述したとおり「経営に参加するべき(参加できる)役職」の者のことを刺し残業手当の支給が義務づけられていないが、企業の中には、残業手当による人件費の削減を目的に、単なる社内の職制に過ぎない「管理職」を「管理監督者」とみなし、残業手当を支払わないケースがある。このように本来管理監督者にはあたらない職務の者を管理監督者とみなしているという点では、「名ばかり管理職」ではなく「名ばかり管理監督者」がより正確な表現であると考えられるが、「名ばかり管理職」の方が知名度があるため、以下本項では「名ばかり管理職」で表現を統一する。こうした『名ばかり管理職』は、十分な経験を積まないうちに「管理職」に就かされる。サービス残業(長時間労働)、そして労働量に比べれば低い賃金(後述の店長職など)で企業に酷使されるこれらの「名ばかり管理職」には、体調を崩す者も相次いでいる。悪質な例となると、社員全員に肩書きを付けて「管理職扱い」にし、労働基準法の規制を不当に免れる例もある。このような「名ばかり管理職」は、残業手当が支払われないため、給与総額が役職の無い平社員よりも低くなることが多いという特徴があり、それを悪用する企業が後を絶たない状況が続いている。 こうした『名ばかり管理職』の問題は訴訟にも発展している他、社会からの批判も強い。こうした状況の中で、コンビニエンスストア最大手のセブン-イレブン・ジャパンが、従来は管理職として残業手当を支払っていなかった「直営店」の店長に対し、残業手当を支払うことを発表するといった動きが現れた(ただし同時に店長手当の大幅減額によって相殺したため、給与の額はほとんど変わらないとされる)。また青山商事は残業手当支給を開始し、日本マクドナルドも「名ばかり管理職」とされる店長との間で争われた裁判の一審で敗訴した後、店長に残業手当を支給する方針を発表した。しかしながら日本マクドナルドは人件費総額は増やさないとしているため、サービス残業が増えるだけだとの指摘もある。
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