「二荒」の語意
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/14 14:41 UTC 版)
かつて、「二荒」の語は「ニコウ」と音読され、「日光」の地名のもととなったが、それ以前は、『延喜式神名帳』の九条家本では「二荒山神社」に「フタラノ」と読みがながあてられていることなどから、「フタアラ」または「フタラ」と読まれていた、とされる。また、奈良時代に勝道が男体山に登頂して「日光山」を開くより前の男体山の呼び名について、山頂の遺跡から古墳時代の遺物も出土しており、勝道以前にも男体山が山岳信仰の対象であったことが認められること、信仰の対象である山の名称が様々に変わるとは考えにくいことなどから、「二荒山」であったとされる。なお、もともとは「フタアラ」だったものが「ア」の脱落によって「フタラ」と読まれるようになった、と考えるのが自然であるとされる。 上代において、「フタ」は名詞・動詞を修飾し、形容詞を修飾することはなく、また、「アラ」は独立して用いられることはなく、名詞を下接、あるいは、形容詞・動詞の語幹の一部となることが多いため、「フタアラヤマ」のもともとの構成は、「フタ・アラヤマ」(二つの荒い山)であると考えるのが自然であるとされる。後に、「フタアラ」が連語であるように意識されて「フタアラの山」あるいは「フタアラの神」などと呼ばれるようになったが、「フタ」はあくまでも「アラヤマ」を修飾していたもので、つまり「二つ」を意味していたとされる。この「二つ」とは、当時、筑波山の男体山・女体山のように、二つの並ぶ山を男女一対とみることが多かったことから、日光における男体山・女峰山のことを指しているとされる。 なお、「アラヤマ」とは、「アラ」が神霊への畏怖の感情をも示すことから、「霊威の強い山」つまり「荒ぶる神霊の鎮まる山」と捉えるのが妥当とされる。
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