〈被害者意識〉が軸の物語
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 06:01 UTC 版)
「メロドラマ」の記事における「〈被害者意識〉が軸の物語」の解説
メロドラマ映画は現代の社会風俗を克明に描く一方で、登場人物は製作者や観客のジェンダー像・社会観を体現する存在でもあるため、映画研究において重要な研究対象となってきた。 サークで頂点に達するアメリカのメロドラマ映画は「被害者意識・犠牲者の立場 (victimhood)」に焦点を合わせている点に大きな特徴があると言われている。登場人物が何かの障害にぶつかり、それを超えられずにもがく姿を軸に物語が展開するのである。そうした障害は経済格差や封建的な偏見など社会全体の圧力として表現され、解決策もさまざまな理由で封じられるため、登場人物たちは壁の前でただ苦しみつづける。こうした状況下の心の動きを映像で表現しようとする過程で、ハリウッド映画はさまざまな表現手法を獲得することになった。 アメリカ映画では現在でもさかんにメロドラマ作品が作られているほか、映画監督のトッド・ヘインズがダグラス・サークのメロドラマ作品群を詳細に分析、カメラワークや構図を意図的に模倣した『エデンより彼方に』(2002) を製作するなど、メロドラマ映画は新たな創作の着想源でありつづけている。
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