UltraSPARC T1 UltraSPARC T1の概要

UltraSPARC T1

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/28 04:58 UTC 版)

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UltraSPARC T1
生産時期 2005年から
設計者 サン・マイクロシステムズ
生産者 テキサス・インスツルメンツ
CPU周波数 1.0 GHz から 1.4 GHz
アーキテクチャ SPARC V9
コア数 4, 6, 8
コードネーム S1
次世代プロセッサ UltraSPARC T2
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T1は全く新しく設計されたSPARC マイクロプロセッサの実装で、UltraSPARC Architecture 2005 specificationに準拠し、 完全な SPARC V9 命令セットを実行する。サンはこれまでにUltraSPARC IVおよびUltraSPARC IV+という二つのマルチコアプロセッサを開発したが、T1はサンにとって最初のマルチコアかつマルチスレッドのマイクロプロセッサである。 T1マイクロプロセッサは 4コア、6コア、8コアのものが提供されており、各コアは4つのスレッドを同時に扱うことができる。すなわちプロセッサ全体で32スレッドを並行して処理することが可能である。

サンのハイエンドの SMPシステム同様、UltraSPARC T1もパーティション化して動作することができる。すなわち、複数のコアに一つないし複数のプロセスやスレッドを動作させ、その他のコアがシステムの残りの処理を実行するよう分割することができる。

搭載システム

T1 プロセッサーは以下のサンと富士通の製品に搭載されている:

  • Sun SPARC Enterprise T1000 と T2000 サーバ
  • Sun Fire T1000 と T2000 サーバ
  • Netra T2000 サーバ
  • Netra CP3060 ブレード
  • Sun Blade T6300 サーバモジュール

特徴

このCPUは発売当時の汎用CPUが想定する最大内部コア数を凌駕する8コア構成までが用意されており、1コア当たり4本のスレッドを同時に処理できる点において、非常に特異な設計になっている。そのため、Webサーバや、中間層の Java, ERP, CRM アプリケーションサーバなど、多数のアクセスを同時に処理する必要があるような用途に向いている。UltraSPARC T1 設計の欠点の一つは、設計時点のトランジスタ数の制約により各コアの演算ユニットを整数演算に限定し、FPUは1個が全コアで共有されていることであり、科学技術計算コンピュータ・グラフィックス等、大量の浮動小数点演算を実行するような運用方法には不向きである。

Web やアプリケーションの処理以外に、UltraSPARC T1 は多数のユーザーアカウントを持つ小さなデータベースアプリケーション(言い換えると1つの処理は軽いが高多重度)に適している可能性がある。サン・マイクロシステムズのとある顧客は、UltraSPARC T1 で動作する MySQLアプリケーションが、AMD Opteronサーバより 13.5倍高速であることを示す結果を公表している [1]

仮想化

T1はハイパーバイザ権限による実行モードをサポートする最初のSPARCプロセッサである。SPARCハイパーバイザはこのモードで動作し、T1システムをそれぞれがオペレーティングシステムのインスタンスを実行可能な32個の論理ドメインに分割することができる。

現在[いつ?]SolarisLinuxNetBSDFreeBSDがサポートされている。




  1. ^ Thomas Rampelberg; Jason J. W. Williams (2006年5月9日). “Cruisin' with a T2k (PDF)”. DigiTar. pp. p. 6. 2007年2月7日閲覧。
  2. ^ Multi-core Processors: Impact On Oracle Processor Licensing”. オラクル. 2007年8月12日閲覧。
  3. ^ Processor Value Unit Licensing for Distributed SW”. IBM. 2007年8月11日閲覧。
  4. ^ a b Fowler, John (2007年2月6日). “Growth by Design (PDF)” (英語). サン・マイクロシステムズ. pp. p. 21. 2007年2月7日閲覧。
  5. ^ 同時マルチスレッディング (Simultaneous Multithreading; SMT) とする誤りが観られるが、NiagaraファミリーとVictoria Fallsはバレルプロセッサであるのでハードウェアマルチスレッディングではあるが、SMTではない。
  6. ^ Stephen, Phillips (2007年8月21日). “Victoria Falls: Scaling Highly-Threaded Processor Cores (PDF)” (英語). サン・マイクロシステムズ. pp. p. 24. 2007年8月24日閲覧。
  7. ^ サンプレスリリース (2008年4月10日). “2008.04.10 サンと富士通、「SPARC Enterprise」サーバシリーズにUltraSPARC T2 Plusプロセッサ搭載の新機種を投入” (日本語). 2008年4月13日閲覧。
  8. ^ 富士通プレスリリース (2008年4月9日). “富士通とサンが新プロセッサ「UltraSPARC T2 Plus」でUNIXサーバ「SPARC Enterprise」のラインナップを拡充 : 富士通” (日本語). 2008年4月13日閲覧。
  9. ^ “Rick Hetherington : Oracle Innovation Showcase (Conversations with Oracle Innovators)”, www.oracle.com (オラクル), http://www.oracle.com/us/corporate/innovation/innovator-hetherington-191304.html 
  10. ^ 次世代SPARCプロセッサ「SPARC T5」と「SPARC64 X」
  11. ^ Oracle's SPARC T5-2, SPARC T5-4, SPARC T5-8, and SPARC T5-1B Server Architecture (PDF)” (英語). オラクル. pp. p. 6 (2013年7月). 2013年10月19日閲覧。






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