UltraSPARC T1 ソフトウェアライセンスの問題

UltraSPARC T1

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/28 04:58 UTC 版)

ソフトウェアライセンスの問題

伝統的に、Oracle Databaseのような商用のソフトウェアスイートは、ソフトウェアが動作するプロセッサの個数により顧客に対して課金を行っている。2006年はじめ、オラクルプロセッサ係数 (Processor Factor) を導入しライセンスモデルを変更した。T1のプロセッサ係数は0.25であり、8コアのT2000は2CPUのライセンスしか必要でない[2]

2006年第3四半期には、IBMがバリューユニット価格 (Value Unit, VU) の概念を導入した。T1の各コアは、標準の100PVU/コアではなく30 PVUとなっている[3]

T1の欠点

T1はシングルプロセッサのマザーボードのみしかサポートしておらず、大規模のエンタープライズ環境での垂直方向のスケーラビリティが限定されている。サンは後継のVictoria Falls プロセッサでこの問題を解決することを表明した[4]。また、1個の浮動小数点演算器が全てのコアで共有されているため、科学技術計算などの浮動小数点演算を多用するような用途には向かない。さらに、整数演算に限ってみても、同時代の他のCPUと比較して各コアのシングルスレッド性能はあまり高くはないという欠点がある。

"Rock" プロセッサ

UltraSPARC T1はシングル CPU システムのみを対象として設計されており、SMPで使用できない。Rockなどの将来のサンのチップ・マルチスレッディング (Chip multithreading; CMT) 対応 UltraSPARCプロセッサは、複数チップのサーバアーキテクチャに対応する。Rockプロセッサはデータベースのような伝統的なデータ処理のワークロードを対象としている。従って、Rock UltraSPARC T1やT2の置き換えではなく、UltraSPARC IVなどのサンの SMPプロセッサの後継とみなされている。

RockはUltraSPARC T1と異なり、浮動小数点の処理を対象としている。サンは公式にhardware scoutと呼ばれる、Rockプロセッサのマルチスレッドのハードウェアをプリフェッチに用いる機能を公開している。これはアウト・オブ・オーダー実行の機能の一部である。

UltraSPARC T2 プロセッサ

コードネームNiagara 2として知られた、UltraSPARC T1の後継となるプロセッサは、コアあたり8スレッドをサポートし、各コアが専用のFPUを持っている。つまり8コア/プロセッサ×8スレッド/コア=64スレッドを同時実行可能である。




  1. ^ Thomas Rampelberg; Jason J. W. Williams (2006年5月9日). “Cruisin' with a T2k (PDF)”. DigiTar. pp. p. 6. 2007年2月7日閲覧。
  2. ^ Multi-core Processors: Impact On Oracle Processor Licensing”. オラクル. 2007年8月12日閲覧。
  3. ^ Processor Value Unit Licensing for Distributed SW”. IBM. 2007年8月11日閲覧。
  4. ^ a b Fowler, John (2007年2月6日). “Growth by Design (PDF)” (英語). サン・マイクロシステムズ. pp. p. 21. 2007年2月7日閲覧。
  5. ^ 同時マルチスレッディング (Simultaneous Multithreading; SMT) とする誤りが観られるが、NiagaraファミリーとVictoria Fallsはバレルプロセッサであるのでハードウェアマルチスレッディングではあるが、SMTではない。
  6. ^ Stephen, Phillips (2007年8月21日). “Victoria Falls: Scaling Highly-Threaded Processor Cores (PDF)” (英語). サン・マイクロシステムズ. pp. p. 24. 2007年8月24日閲覧。
  7. ^ サンプレスリリース (2008年4月10日). “2008.04.10 サンと富士通、「SPARC Enterprise」サーバシリーズにUltraSPARC T2 Plusプロセッサ搭載の新機種を投入” (日本語). 2008年4月13日閲覧。
  8. ^ 富士通プレスリリース (2008年4月9日). “富士通とサンが新プロセッサ「UltraSPARC T2 Plus」でUNIXサーバ「SPARC Enterprise」のラインナップを拡充 : 富士通” (日本語). 2008年4月13日閲覧。
  9. ^ “Rick Hetherington : Oracle Innovation Showcase (Conversations with Oracle Innovators)”, www.oracle.com (オラクル), http://www.oracle.com/us/corporate/innovation/innovator-hetherington-191304.html 
  10. ^ 次世代SPARCプロセッサ「SPARC T5」と「SPARC64 X」
  11. ^ Oracle's SPARC T5-2, SPARC T5-4, SPARC T5-8, and SPARC T5-1B Server Architecture (PDF)” (英語). オラクル. pp. p. 6 (2013年7月). 2013年10月19日閲覧。


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