SEVENTH HEAVEN (BUCK-TICKのアルバム) チャート成績

SEVENTH HEAVEN (BUCK-TICKのアルバム)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/05 09:41 UTC 版)

チャート成績

オリコンチャートの初登場順位として、本作のLPが初登場1位、CDが5位、CTが19位となり、総合では最高位3位、登場回数18回で売り上げ枚数は9.6万枚となった。本作のLP盤において、BUCK-TICKは初の1位獲得となった。

本作の売り上げ枚数はBUCK-TICKのアルバム売上ランキングにおいて12位となっている[27]。また、2022年に実施されたねとらぼ調査隊によるBUCK-TICKのアルバム人気ランキングでは10位となった[28]

収録曲

全編曲: BUCK-TICK

一覧

A面
#タイトル作詞作曲時間
1.FRAGILE ARTICLE 今井寿
2.…IN HEAVEN…桜井敦司今井寿
3.CAPSULE TEARS -PLASTIC SYNDROME III-今井寿今井寿
4.CASTLE IN THE AIR今井寿今井寿
5.ORIENTAL LOVE STORY桜井敦司今井寿
合計時間:
B面
#タイトル作詞作曲時間
6.PHYSICAL NEUROSE今井寿今井寿
7.DESPERATE GIRL桜井敦司星野英彦
8.VICTIMS OF LOVE桜井敦司今井寿
9.MEMORIES…桜井敦司今井寿
10.SEVENTH HEAVEN今井寿今井寿
合計時間:
2002年初回限定盤
#タイトル作詞作曲時間
1.FRAGILE ARTICLE 今井寿
2.…IN HEAVEN…桜井敦司今井寿
3.CAPSULE TEARS -PLASTIC SYNDROME III-今井寿今井寿
4.CASTLE IN THE AIR今井寿今井寿
5.ORIENTAL LOVE STORY桜井敦司今井寿
6.PHYSICAL NEUROSE今井寿今井寿
7.DESPERATE GIRL桜井敦司星野英彦
8.VICTIMS OF LOVE桜井敦司今井寿
9.MEMORIES…桜井敦司今井寿
10.SEVENTH HEAVEN今井寿今井寿
11.SEXUAL INTERCOURSE (unreleased version)」桜井敦司今井寿
12.…IN HEAVEN… 〜MOONLIGHT (Climax Together Live)」桜井敦司今井寿
合計時間:

曲解説

  1. FRAGILE ARTICLE
    「SEVENTH HEAVEN」を三拍子アレンジしたインストゥルメンタル[29]。本曲は森岡賢が制作しており、ヤガミによれば櫻井が森岡に「この曲(「SEVENTH HEAVEN」)のコード進行で、ディズニーランドみたいに弾いてほしいんだ」と依頼したところ、翌日には仕上げてきたために「すげぇな! 天才じゃん!」とメンバー一同が大絶賛したという[30]。当初は調べないと意味が理解できないような英語の歌詞を今井がつけていたが、仮歌で櫻井がスキャットで「ラララ」と歌ったところ、メンバーの反応が良かったためにスキャットが採用されることとなった[29]。今井は後に苦心して作詞した歌詞が採用されなかったことに苦言を呈した[29]
  2. …IN HEAVEN…
    ドライブ感のある8ビートをテーマに作られ、今井自身は「ライブ向けの曲」と語っており、発売前にライブで演奏されていた[31]。サビでのハイトーンコーラスは星野英彦によるもの[1]。歌詞は心中がテーマになっており、櫻井は本曲を聴いたイメージがそれ以前に自身が描きたかった世界に結びついていたと述べている[29][1]
  3. CAPSULE TEARS -PLASTIC SYNDROME III-
    アイルランド音楽をイメージしてアレンジされた曲。メロディ制作が難航し、でたらめにギターを弾いたところイントロが完成したと今井は述べている[29]。歌詞は今井が小学生の頃に視聴したフジテレビ系テレビアニメ『アンデルセン物語』(1971年)から着想を得ている[29][31]。櫻井はコーラスが面白いと述べ、松田聖子になった気分で歌っていると述べている[29]。コンサートツアー「SEVENTH HEAVEN TOUR」のオープニング曲として採用された[1]
  4. CASTLE IN THE AIR
    最初にサビが思い浮かび、今井が以前から持っていた「空中に浮かぶ楼閣」というイメージに合うと思い、そこから膨らませた曲。メロディやアレンジを試行錯誤し完成まで苦労したという。歌詞は近未来を暗いイメージで想像した時のドロドロした感じを出した[31]。今井は「以前から頭にあったタイトルから、イメージをふくらませた曲で、そういう作り方って滅多にないんだけど大成功でした」と述べている[29]。櫻井は何度も違う歌い方を試し、最終的に限界まで低く淡々とした表情のない声で歌い、そこにファルセットを加えることにより絶妙なニュアンスが生まれたと述べている[29]
  5. ORIENTAL LOVE STORY
    今井はメロディアスでありながら感情を抑えたリードと、音数を減らし空間と広がりのあるアレンジを目指した。樋口豊が初めてフレットレスベースを使用した曲で、今井は「曲のイメージにあったおおらかな味が出ている」と評している[31]。しかしフレットレスベースは演奏が困難であり、2ミリほど指がズレただけで音が変わってしまう状態であったが、樋口は曲に合っていたためフレットレスベースの使用を決心した[29]。櫻井はストーリー性のある歌詞を目指し「風景画が風に吹かれて1枚1枚めくれて飛んでいき、それが物語になっていて、最後に真っ白な絵が残る」というイメージで作詞した[29]。櫻井は東洋的な恋は澄んでいて純粋であるとのイメージがあったことから、タイトルには東洋的恋愛物語という意味が込められている[29]
    セルフカバー・アルバム『殺シノ調べ This is NOT Greatest Hits』(1992年)ではアップテンポなロックナンバーにアレンジされている。
  6. PHYSICAL NEUROSE
    今井は「スコーンと抜けた感じのB級ポップ」を目指したという。歌詞も世紀末の危うさをモチーフにしながら、逆説的な能天気さで、ブラックユーモア風に書かれている[31]。ヤガミは曲初めのラジオのような効果音は森岡のアイデアであると述べている[32]。櫻井は日本語が少なく英語だらけの曲であるが、発音などは気にせずノリで歌ったと述べている[29]。ヤガミは本曲の演奏に苦労したと述べ、小節の切り方が変則的であり演奏に行き詰まったこともあったという[29]
    「NEUROSE」とはドイツ語の「ノイローゼ」であり、ドイツ語のノイローゼと英語の「PHYSICAL」が混じったタイトルになっている。なお英語でノイローゼを指す単語は「neurosis」(発音はニューロシス)となる。
    トリビュート・アルバムPARADE〜RESPECTIVE TRACKS OF BUCK-TICK〜』(2005年)において、AGE of PUNKによるカバーが収録されている[33]
  7. DESPERATE GIRL
    メジャーデビュー後、星野が初めて作曲を手掛けた曲。「8ビートだよ、おっかさん」[29]という仮タイトルが示すとおり、オーソドックスなロックンロール。他にもデモを聴いた櫻井が「ジルバだ」と言って命名された「ジルバで踊ろうZE」という仮タイトルもある[29]。歌詞について星野から櫻井へ「曲調とは裏腹で哀しいものを」という要求があった。タイトルには「絶望的な少女」といったニュアンスが込められている[31]
  8. VICTIMS OF LOVE
    ベースのリフがリードをとるミディアム・テンポの曲[31]。歌詞中の「離れないで花びら」とはエロティックな表現であると櫻井は述べており、情事の後に残る虚しさを表現したとも述べている[29]。櫻井はそれまでの作詞に関して明確なビジョンもなかったために漠然とラブソングを制作していたが、本曲によって自身の方向性が見えてきたと述べている[34]
    『殺シノ調べ This is NOT Greatest Hits』の再録バージョンではスローテンポになっており、同作発表以降のライブでは同バージョンをもとに演奏が行われ、演奏時間は10分近くにも及ぶようになった。
  9. MEMORIES…
    原型だけ昔からあったものを作り直した曲。今井が夢の中で聴いたメロディが元になっている[31]。ヤガミがどのようなシチュエーションで制作された曲であるか尋ねたところ、今井は夢の中で舘ひろしアコースティック・ギター弾き語りで本曲を歌っていたと述べ、起床してからすぐに思い出して制作したことを告げたところ、ヤガミはイタコのようであるとの感想を持ったほか、「本当に何か降りてきて作ってんのかな」とも思ったそうであるが、「彼(今井)はプロの世界で磨かれて、どんどんスキルアップしてる最中だったんだろうね」と最終的に総括した[32]
    コンサートツアー「SEVENTH HEAVEN TOUR」において最終曲として演奏された[1]
  10. SEVENTH HEAVEN
    原曲はインディーズ時代から演奏していた「CHATTY BUNNYにささやいて」という曲で、歌詞とアレンジを変更したもの[1]ジューシィ・フルーツのアルバム『27分の恋』(1982年)において表現されたアメリカ合衆国ソビエト連邦の間を27分でミサイルが到達するという事実に基づき、近未来的な不安感を表現した曲であると今井は述べている[29]。また、広瀬隆の著書『危険な話 チェルノブイリと日本の運命』(1987年)にも影響され、核戦争原子力発電所など知らないうちに大きな何かに巻き込まれて死んでしまうかもしれない、そうなる前に愛する人に本当のことを伝えたいという歌であるという。歌詞中の「KISS」とは地球ミサイルが接触することであり、コバルト放射能を表している[29]。今井はそれらを狂気であると述べ、「そんなふうに殺されてしまうのなら、至極の天国に行きたいって。<天国>というものを、狂気のいきつくところに置いてみたんです」と述べている[29]。偶然にも「MEMORIES…」の歌詞と共通する部分があり、櫻井は「今井にしては血の気のある詞」と評している[29][31]

スタッフ・クレジット

BUCK-TICK

参加ミュージシャン

スタッフ

  • サカグチケン - アート・ディレクション、デザイン
  • 北岡一浩 - 写真撮影
  • 渡辺さゆり - スタイリスト
  • 大久保紀子 - ヘアー・メイク
  • 岡元美也子 - ヘアー・メイク
  • 古居隆志 - コーディネーター
  • おおのあきこ - コーディネーター
  • 豊島直己 - チーフ・プロモーター
  • Shaking Hands Inc. - マネージメント
  • 高木修 - マネージメント
  • 枡岡慶彦 - マネージメント
  • ヤスハラショータク - マネージメント
  • 浅見繁男 - ロード・マネージャー
  • サワキカズヲ - アーティスト・プロデューサー
  • 樋口和光 - スーパーバイザー
  • ラ・ケンジントン - スペシャル・サンクス
  • クレイジーキャット - スペシャル・サンクス
  • パール楽器製造 - スペシャル・サンクス
  • Yuko & Tomoko - スペシャル・サンクス
  • あおきしげる (Doll House) - スペシャル・サンクス

  1. ^ a b c d e f g HYP NO.3 1990.
  2. ^ BUCK-TICK ~since 1985-2011~ 2011, p. 25- 「BUCK-TICKの26年間の足跡ストーリー1985-2011」より
  3. ^ a b LOVE ME 1989, p. 70- 「BUCK-TICK STORY CapterIV--1987.6.→1989.1.」より
  4. ^ LOVE ME 1989, p. 74- 「BUCK-TICK STORY CapterIV--1987.6.→1989.1.」より
  5. ^ LOVE ME 1989, pp. 74–75- 「BUCK-TICK STORY CapterIV--1987.6.→1989.1.」より
  6. ^ LOVE ME 1989, p. 77- 「BUCK-TICK STORY CapterIV--1987.6.→1989.1.」より
  7. ^ a b SHAPELESS 1994, p. 117- 「今井寿 SOUND」より
  8. ^ a b c LOVE ME 1989, p. 75- 「BUCK-TICK STORY CapterIV--1987.6.→1989.1.」より
  9. ^ LOVE ME 1989, p. 76- 「BUCK-TICK STORY CapterIV--1987.6.→1989.1.」より
  10. ^ a b ヤガミトール 2018, p. 133- 「三.BUCK-TICK」より
  11. ^ a b c ヤガミトール 2018, p. 126- 「三.BUCK-TICK」より
  12. ^ 市川哲史 1992.
  13. ^ ヤガミトール 2018, p. 134 - 135- 「三.BUCK-TICK」より
  14. ^ a b c d e f WORDS BY BUCK-TICK 2002, p. 69.
  15. ^ a b c d WORDS BY BUCK-TICK 2002, p. 70.
  16. ^ WORDS BY BUCK-TICK 2002, pp. 69–70.
  17. ^ BUCK-TICK ~since 1985-2011~ 2011, p. 90- 「File7 BUCK-TICK REVIEW〜オリジナルアルバムレビュー&全作品アーカイブ 1986-2011」より
  18. ^ B-T DATA 2013, pp. 162–163- 「DISCOGRAPHY 1986-2013」より
  19. ^ a b [BUCK-TICK] 全国ツアー&初期作品が紙ジャケ化”. 音楽ナタリー. ナターシャ (2007年7月1日). 2022年2月5日閲覧。
  20. ^ BUCK-TICK、ニュー・アルバム&紙ジャケ12タイトルが発売!”. CDジャーナル. 音楽出版 (2007年7月12日). 2022年2月5日閲覧。
  21. ^ a b c d B-T DATA 2013, p. 133- 「oral biography KEY PERSON INTERVIEW サカグチケン GRAPHIC DESIGNER」より
  22. ^ BUCK-TICK ~since 1985-2011~ 2011, pp. 26–27- 「BUCK-TICKの26年間の足跡ストーリー1985-2011」より
  23. ^ a b LOVE ME 1989, p. 78- 「BUCK-TICK STORY CapterIV--1987.6.→1989.1.」より
  24. ^ a b c WORDS BY BUCK-TICK 2002, p. 4.
  25. ^ a b c d WORDS BY BUCK-TICK 2002, p. 5.
  26. ^ WORDS BY BUCK-TICK 2002, pp. 4–5.
  27. ^ BUCK-TICKのアルバム売上ランキング”. オリコンニュース. オリコン. 2022年2月27日閲覧。
  28. ^ 「BUCK-TICK」のアルバム人気ランキングTOP25! 1位は「狂った太陽」に決定!【2022年最新投票結果】”. ねとらぼ調査隊. アイティメディア (2022年2月9日). 2022年2月23日閲覧。
  29. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u WORDS BY BUCK-TICK 2002, p. 72.
  30. ^ ヤガミトール 2018, p. 134- 「三.BUCK-TICK」より
  31. ^ a b c d e f g h i Oral History 2006.
  32. ^ a b ヤガミトール 2018, pp. 134–135- 「三.BUCK-TICK」より
  33. ^ BUCK-TICK、トリビュート・アルバムの詳細が明らかに”. CDジャーナル. 音楽出版 (2005年11月30日). 2022年3月21日閲覧。
  34. ^ 別冊カドカワ 2018, p. 26- 帆苅智之「PERSONAL INTERVIEW 変化と進化の座標 櫻井敦司」より





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