顕性 顕性の概要

顕性

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/22 06:41 UTC 版)

トウモロコシの草丈の遺伝の研究(1917年)

優性は優れた形質を受け継ぐ、という意味ではなく、次世代でより表現されやすいという意味である。劣性は「劣った性質」という意味ではなく、表現型として表れにくい事を意味する(例えば後述のABO式血液型の対立遺伝子には、A・B・Oと三種類あり、Oが劣性であるが、Oの対立遺伝子が一般的な意味でAやBより劣っているわけではない)。一方で、「優性」「劣性」という表現は、優れた遺伝子、劣った遺伝子、といった誤解を招きやすいことから、2017年9月より、日本遺伝学会は優性を「顕性」、劣性を「潜性」という表現に変更することを決定し、2021年に中学教科書の記述も変更された[1][2]

一般的な植物動物においては、遺伝子は両親からそれぞれ与えられ、ある表現型について一対を持っている。この時、両親から同じ遺伝子が与えられた場合、その子はその遺伝子をホモ接合で持つから、その遺伝形質を発現する。しかし、両親から異なる遺伝子を与えられた場合には、子はヘテロ接合となり異なる遺伝子を持つが、必ずどちらか一方の形質が発現するとき、その形質を顕性形質という。

2倍体の生物において、性染色体以外の常染色体親と親から受け継いだ対の遺伝子を有する。対立遺伝子をAとaの二種とした場合、子の遺伝型はAA・Aa・aaの3通りがある。Aとaの影響が等しければ子の表現型がAaであったときにAAとaaの中間等になるはずだが、多くの場合そうはならず、一方に偏った表現型となる。この時にAaの表現型がAAと同様の場合、aaの表現型を潜性形質といい、Aはaに対して顕性遺伝子、aはAに対して潜性遺伝子という。顕性遺伝子に対して大文字を使い、潜性遺伝子に対して小文字を使う表記法はよくある慣習である。

雌雄で性染色体の数が異なるために生じる伴性遺伝の場合、雌雄で形質の発現に差が出る。例えば多くの哺乳類では、にはX染色体が1つしか存在しないため、潜性遺伝子があれば必ず形質が発現する。その一方ではX染色体を2つ持つため、その両方に潜性遺伝子が存在しなければ発現しない。例えばヒトの色覚異常がある。

顕性という言葉は、広い意味では、対立遺伝子の組み合わせで表現型が変わる現象全般に対して用いられる(例えば、不完全顕性、半顕性、超顕性、量的遺伝学における顕性など)。







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