顕性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/22 06:41 UTC 版)
顕性の程度
完全顕性
一つの遺伝子座で対立遺伝子がヘテロ接合になっているとき、一方の形質のみが現れる現象が完全顕性である。現れる形質が顕性で、現れない形質が潜性である。通常、単に顕性といえば完全顕性を指す。完全顕性は、例えばエンドウの豆の形に表れる。エンドウの豆には丸形とシワ形があるが、丸い形質が顕性となり、ホモ接合(RR)でもヘテロ接合(Rr)でも種子は丸くなる。シワがつく形質は潜性で、ホモ接合(rr)のときのみ種子にはシワがつく。
不完全顕性
顕潜関係が明瞭ではなく、ヘテロ接合の表現型がホモ接合のそれとは異なる場合、不完全顕性という。例えば、赤い花をつける純系品種(RR)のキンギョソウと、白い花をつける純系品種(rr)を交配すると、中間のピンク色の花をつける(Rr)。ピンク色の花を自家受粉させるとRR:Rr:rr=1:2:1 となる。
共顕性
対立遺伝子がヘテロ接合になったとき、どちらか一方ではなく両方の形質が現れる現象を共顕性という。ヒトの血液型が良い例である。ヒトのABO式血液型は、A型、B型、O型、AB型の4つとそれらの亜種がある。これは、両親から受け継ぐ、遺伝子の組み合わせを基に決定される。ABO式血液型の対立遺伝子には、A・B・Oの3種類があるが、組み合わせの遺伝型がAAまたはAOになった時にはA型、BBまたはBOになった時にはB型、OOになった時にはO型、ABになった時にはAB型という表現型にそれぞれなる。この時、A型とB型はO型に対して顕性形質であり、遺伝子Oが潜性遺伝子、AとBはOに対して顕性遺伝子であるが、AとBの間には顕潜関係が無い。また、血液型AB型の場合は、A型とB型の中間の形質というより、合わせた(足して2で割らない)形質である。
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