顕性 歴史的経緯

顕性

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/22 06:41 UTC 版)

歴史的経緯

顕性について初めて系統だった報告をしたのは、グレゴール・メンデルである。メンデルは、時間をかけてエンドウの7つの対立形質について純系の品種を選びだした。たとえば種子が丸形かシワ形、さやの色が緑色か黄色か、などの対となる形質である。メンデルは7つの形質のそれぞれについて、対となる形質を示す品種を交雑させた。すると子の世代では、対立形質の一方のみが現れた。例えば丸い種子とシワのある種子からできた個体を交配すると、子の世代の種子はほぼ全て丸くなった。メンデルはこの実験の解釈として顕性、潜性という概念を導入した。

その後、この雑種第一世代自家受粉させると、第二世代では祖先の形質が再び現れ、その比率は3:1となった。これに関して、メンデルは遺伝因子が2つに分かれて粒子的に遺伝するためと考えた。顕性をA、潜性をaと書くと、純系品種はAA、aaのように2つの同じ因子をもつ。それを掛け合わせた雑種第一世代では全てAaの組み合わせとなり、雑種二世代目ではAA:Aa:aa=1:2:1となる。このときAAとAaの形質の区別がつかないため、分離比は3:1となる。

メンデルは顕性、潜性を絶対的なルールとは考えなかった[3]。例えば、インゲンの花の色に関しては、雑種の花の色は純系の親よりも薄くなると報告している[3]

メンデルの研究は後に再評価されて、メンデルの法則と名付けられた。メンデルがエンドウで報告した顕性潜性の関係(完全顕性)は、「顕性の法則」と呼ばれたが、完全な顕潜が現れるのはむしろ例外的だと考えられており[4]、現在は「法則」とは呼ばれないことが多い[注 1][注 2]。なお、メンデル自身は法則という呼称を使っていない[5]







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