方向指示器 自動車・オートバイ以外の方向指示器

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方向指示器

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/29 04:35 UTC 版)

自動車・オートバイ以外の方向指示器

自動車、オートバイ装備以外の方向指示器としては以下のものがある。

自転車の方向指示器

自転車の一部車種にフラッシャーとも呼ばれる方向指示器が装備されている、使用目的は自動車・オートバイ用のものと同様であるが法律などによる規定が存在しないために、その形状・動作はさまざまである。かつては自動車のように無色球と橙色のランプカバーを併用したものも少なくなかったが、多くのものは横一列に並べた赤色ランプを発光パターンによって光が流れるように見えるシーケンシャルアクションを電気制御によって行う。また自転車は搭載電源を持たないために、乾電池を用いる。

自転車の方向指示器は1960年後半から少年用スポーツサイクルに多く採用されたが、ギミック的な要素が多く、実用性に疑問があったこと、また自転車の重量が増加することなどから、1990年代にはほとんどが姿を消している。

戦車の方向指示器

戦車に代表される装甲戦闘車両は、多くの国で一般車両の法令、規定適用の例外として扱われており、方向指示器を装備する義務はない。しかしながら近年では、一般道路を走行する場合の周囲への安全を考慮して方向指示器を装備している車両が多い。しかし、これらは法令、規定に沿ったものではなく、あくまで自主的な判断として装備しているもので、一般車両の方向指示器とは異なった実装がされている。一例として、日本の90式戦車の全長であれば、方向指示器は前後のみではなく側面に補助方向指示器が必要とされるが、実際には装備されていない。これらの事情はEU圏の戦車においても同様である。

路面電車の方向指示器

鉄道は他の乗り物と違って決められた線路の上しか走行しないため、これから曲がる方向を予告する必要がない。しかし、かつての鉄道ではポイントの切り替え操作が手動であったことから、接近してくる車両に応じてポイントを切り替える必要があり、特に路面電車では道路上に自動車や他の電車が錯綜する中、通常の鉄道より不規則なダイヤで接近してくる電車に対し、転轍(てんてつ)手が手際よくポイントを切り替えなければならなかった。こうした転轍手の常駐する場所を操車塔(そうしゃとう)と呼び、道路から一段上がった小屋か、一段下がったトーチカのような形をしていた。

通常の天候であれば、操車塔の窓から電車の方向幕や系統板を見て正確なポイント操作ができるが、悪天候や夜間の場合、転轍手が方向幕や系統板の表示を見落としてしまい、誤ったポイント操作によって異線進入を起こすことがあった。こうしたことから、ポイントに接近する路面電車から操車塔へ、どちらに曲がるかの合図をより正確に知らせる必要が生じ、一部の都市や鉄道会社の路面電車では方向指示器を使用することとなった。法令で義務づけられたものではないため、事業者によって様々な形状や色が存在した。

早い時期に方向指示器を取り付けた路面電車車両としては、1950年から1953年にかけて東急玉川線に投入されたデハ80形がある。当時の玉川線は、三軒茶屋交差点において二子玉川園方面と下高井戸方面(現在の世田谷線)が分岐しており、ポイント切り替えの正確を期すことが求められたため、デハ80形は新造時から正面窓上部両側に方向指示器を備えている。その後製造されたデハ200形デハ150形にも方向指示器が取り付けられたが、先に登場していたデハ70形以前の車両には取り付けられなかった。

東急玉川線に次いで方向指示器を導入したのは横浜市電で、1953年製造の1150形が方向指示器を取り付けて登場、1958年製造の1600形も当初から方向指示器が取り付けられていた。ただ、この時期にはこの2形式以外に方向指示器は取り付けられなかった。

一方、神戸市電では既存車への方向指示器取り付けが行われた。500形以降のボギー車全車に方向指示器の取り付け改造を実施して、1958年8月1日から使用を開始した。横浜市電、神戸市電の双方とも中央にプレス加工で矢印を打ち抜いた楕円形のカバーを取り付けた方向指示器(バス用部品)を使用していたが、神戸市電ではカバーにクロムメッキを施していたのに対し、横浜市電では車体色と同一に塗りつぶしていたほか[注釈 13]、取り付け位置も横浜市電では前面窓下、神戸市電では前面裾部と異なっていた[注釈 14]。その後、横浜市電では1967年の1100形と1500形のワンマン改造時に方向指示器を取り付けたが、神戸市電とは異なり、1300形や1400形などのツーマン運行のボギー車には最後まで方向指示器の取付工事は実施されなかった。また、横浜・神戸両市電とも多数在籍していた単車は方向指示器の取付対象外であったほか、神戸市電で300400形といった単車の代替に大阪市電801901形を購入した100200形も方向指示器を取り付けられなかった。これらの事業者以外に方向指示器を使用していた路面電車としては、呉市電が存在した。

しかしその後、1950年ごろに大阪市電で開発された、ポイント前方の架線上にトロリーコンタクターという接点を設けて通過・停車位置によってポイントを転換する方式や、京都市電が特許を取得した、軌道回路を利用してポイントの前で電車が通過するタイミングを利用してポイントを転換する方式[19]が開発され、路面電車のポイント操作は無人化された。これにより操車塔は役目を終えて全廃され[注釈 15]、それとともに方向指示器の役目も終わりを告げた。

神戸市電の廃止後、広島電鉄に譲渡された500形1100形1150形には方向指示器が残っていたが、車体色と同一に塗りつぶされて最終的には撤去された。方向指示器を残したまま営業運転に使われていた最後の路面電車は、前述の東急デハ150形であったが、玉川線から世田谷線に転じた後も、車体更新によって撤去されるまでの間は、前照灯の点灯とともに方向指示器が点灯された状態であった。世田谷線の車両が全て300系に置き換えられると、日本の営業線上で方向指示器を装備した路面電車は全廃された。

なお似て非なるものとして、路面電車の正面下部左右に、テールランプ以外の灯火を装備している車両が存在する[注釈 16]。これは大型自動車のように、道路上における大型通行物の接触注意を喚起しているものであって、方向指示器とは全く関係ない。

飛行機・船舶の「方向指示器」

1. 航空灯 - 翼端灯 (Navigation Lights L/R)
2. 航空灯 - 尾灯 (Navigation Lights Tail)

飛行機、船舶の場合は方向指示器と言う名称ではないが俗にこう呼ばれる場合がある。

飛行機の場合、自機の進行方向を機外に表示する装置として航空灯(ナビゲーション・ライト、Navigation Light 、Position Light )を持つ機体がある。航空灯は右翼端が緑色で左翼端が赤色の前方から左または右に110度、尾部が白色で左右に70度ずつ140度方向に常時点灯させる。航空灯により、他機から進行方向が判別できる。

船舶の航海灯も、色と方向について同様である。

海洋・航空では世界共通で右方優先の原則の為、道路における信号機の色と同じと考えれば理解しやすい。








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