方向指示器 法令・規格

方向指示器

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/29 04:35 UTC 版)

法令・規格

方向指示器に関する法令・規格には次のようなものがある。

日本

日本の現在の車両保安基準では、方向指示器の灯光の色は橙色と定められており、前後共に側面方向指示器を除き片側2灯まで設置が認められている[6]。ただし、現行の保安基準が施行される1973年(昭和48年)11月30日以前に登録(製造)された車両についてはこの限りでなく(1960年代までに製造された車の多くは赤色のテールランプ(尾灯)が方向示器を兼用していたが、1970年代からフルモデルチェンジマイナーチェンジを経て赤色のテールランプと橙色の方向指示器が別々になっていった)、また在日米軍の車両については、日本の車両法、道路交通法が適用されないため、前部は車幅灯と兼用、後部はブレーキランプやテールランプとの兼用という車両がある。取り付け位置も詳細に決められており、まず車体の周囲360度からいずれかの方向指示が視認できなくてはならない、さらに個々の方向指示器の動作視認範囲が決められており、たとえば右前面の場合であれば、方向指示器の中心を起点とした車体正面方向中心線から、左周り45度・右回り80度の範囲で点滅動作が視認できなくてはならない。

側面方向指示器とは別に、ディーラーオプションやアフターマーケットなどで販売されているドアミラーや屋根の両端に装着する補助的な方向指示器は、道路運送車両の保安基準の第四十一条の二(補助方向指示器)に規定、分類される。メーカーオプションのドアミラーの場合、側面方向指示器に分類される場合もある。

過去のアメリカ日本の乗用車の一部[注釈 5]と、バス協尾灯の一部には、後部方向指示器を片側三連ずつとし、順次点灯させて点灯部の面積を徐々に増すものや、点灯部が流れるように移動する「シーケンシャルタイプ」と呼ばれるものが存在したが、共に認められていなかった。バス協型には、テール、ブレーキ、ターンの全てを兼用とした赤レンズが三連のものと、保安基準の改正に合わせ、上が橙レンズの三連、下が赤レンズの三連の計6個のランプとした改良型とがある。デコトラなどでこれを真似たカスタムも見られる(三連を大きく超える個数のものもある)が、輝点の移動や点灯面積の変化が認められていないため、保安適合措置違反となる。

しかしながら、2014年(平成26年)10月9日より保安基準の一部改正が行われ、一定の要件を満たすものに限り、方向指示器のシーケンシャル点灯(連鎖式点灯)が認められることになった[7][注釈 6]

また、方向指示器を車幅灯(スモールランプ)としても機能させる改造(俗称:ウインカーポジション)をする使用者がいるが、これは2006年(平成18年)以降の車両と2005年(平成17年)以前の車両で車検可否が変わる。2006年生産車からは、車幅灯は白色及び電球色しか認可されず、従って方向指示器(橙色)との兼用は不可。保安基準には「方向指示器又は非常点滅表示灯と構造上一体、兼用になっているものは橙色も可」となっているが、これは自動車メーカーがこの仕様で承認を取った車両に対してであり、改造には適応されない。2006年以前の場合、車幅灯に橙色を使用できるので、条件を満たせば許可となる。許可条件は以下のとおり。

色はすべて同色(橙色)にし元の白色は点灯させないこと。方向指示器作動時の条件として「方向指示器を出している側の車幅灯は消灯(方向指示の点滅のみ)、出していない方は車幅灯をそのまま点灯させる。

逆に、方向指示器を出している側の車幅灯を消さず、点滅式ではなく明滅式にすると不適合である。また、方向指示器を出していない側の車幅灯まで消灯させることも不可である。面積に関しては前後共に20立方センチメートル以上必要であり、改造によりアフターパーツの方向指示器を装着した場合は面積の基準に注意が必要である。改造により側面から点灯が確認出来なくなった場合は、ドアミラーウィンカーなど補助方向指示器が装着されていれば、合法とみなされ[要出典]、何ら問題ない。

自動車用の灯火のバルブ規格にははT20、T16/10、S25、G18など数種類あるが、このうちウインカー用は特に決まっておらず、改造により規格が変わった場合は視認性や明るさに問題がなければ合法となる。

  • 道路運送車両法
    • 第41条第1項第15号 (方向指示器を装備しない自動車(二輪車等含む)の運用禁止)
    • 第44条第1項第9号 (方向指示器を装備しない原動機付自転車の運用禁止)
  • 道路運送車両の保安基準
    • 第41条 (自動車・自動二輪車の方向指示器に関する詳細)
    • 第41条の2 (補助方向指示器に関する詳細)
    • 第41条の3 (非常点滅表示灯に関する詳細)
  • 道路運送車両の保安基準の細目を定める告示
    • 第48条、第104条、第160条 (自動車・自動二輪車の方向指示器の技術的基準)
    • 第49条、第104条、第161条 (自動車・自動二輪車の補助方向指示器の技術的基準)
    • 第176条、第182条、第188条 (原動機付自転車の方向指示器の技術的基準)
    • 別添59 (方向指示器の技術的基準の詳細)
    • 別紙1 (方向指示器の種類)
  • 道路交通法
    • 第53条 (車両の進路変更時の合図の方法)
    • 第120条第1項第8号 (進路変更時の合図不履行に関する罰則)
    • 第120条第2項 (不必要な合図に関する罰則)
  • また、輸出仕様のテールランプでレンズが赤色の物が存在するが、これに関してはバルブを緑色に着色することで橙色の灯火になるため、レンズが赤色であっても問題はない。

アメリカ

アメリカ合衆国における方向指示器の規定は、世界の中でも独特である。アメリカ車およびアメリカ仕様車では、前部方向指示器は橙色(アンバー)に規定されているが、車幅灯(スモールランプ、ポジションランプ)と兼用にしていることが多く、その場合は光の増減のみで動作を示す「明滅式」である。

また、側面方向指示器の装備義務はないが、アメリカで義務化されているサイドマーカー(側面前方アンバー、側面後方レッド)の前方に方向指示機能を有する場合もある。その場合は正面前部がダブル球の明滅式、側面前方が点滅式で、前部と側面前方が交互に作動する。

後部方向指示器は橙色だけでなく赤色でも良く、赤色の場合はブレーキランプやテールランプと兼用されていることが多い。逆に方向指示器の発光面積の規定が日本や欧州より厳しく、主に欧州メーカーでは本来の方向指示器を赤くし、ブレーキランプも同時に点滅させることで方向指示面積を広げて基準をクリアしているケースもある。

日本や欧州では、これらはすでに保安適合しないため、これらアメリカ独自の仕様を持った車両を日本で運行させることは、現行の保安適合措置が施行される以前の旧型車両、もしくは日本の保安基準が適用されない例外(在日米軍の公用車両や、アメリカ大統領専用車両を含む外交ナンバー装着車両など)を除き許容されない。アメリカ仕様車を日本に輸入し販売する際には、前部方向指示器の改修や側面方向指示器の増設、後部方向指示器の独立した設置など保安適合措置が必要となる。また独立した車幅灯や左側通行にあわせた前照灯照射範囲の改修も必須である。

  • Federal Regulations part571 Federal Motor Vehicle Safety Standards No.108 "Lamps, reflectivedevices, and associatedequipment" (方向指示器を含む灯火類に関する法律)
  • SAE Standard J588e "Turn Signal Lamps for Use on Motor Vehicles" (方向指示器の構造規格)

EU

  • UNECE Regulations (1958 Agreement and addenda) Addendum 5: Regulation No. 6"UNIFORM PROVISIONS CONCERNING THE APPROVAL OF DIRECTION INDICATORS FOR MOTOR VEHICLES AND THEIR TRAILERS" (方向指示器の構造規定)
  • UNECE Regulations (1958 Agreement and addenda) Addendum 47: Regulation No. 48 INSTALLATION OF LIGHTING AND LIGHT-SIGNALLING DEVICES (方向指示器を含む灯火類の実装規定)







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