天地人 (NHK大河ドラマ) 概要

天地人 (NHK大河ドラマ)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/26 06:55 UTC 版)

概要

原作は、2006年に発表された火坂雅志新潟市出身)の同名小説。主人公は上杉景勝に仕えた上杉家の家老・直江兼続。脚本は、NHKでは2007年前期の朝の連続テレビ小説どんど晴れ』を手がけた小松江里子が担当した。火坂作品では初の大河ドラマ化。なお、本作以降小説家による原作付きの大河ドラマは2018年放送の『西郷どん』まで途絶えている。

主に舞台となるのは、戦国時代。映像作品史上では初めて、兼続が単独の主人公として取り上げられる作品である。同時に、大河ドラマ史上初めて関ヶ原の戦いに敗れた側の武将が主人公となる作品でもある。ひたすら利のみを求める戦国時代に、「愛」を重んじ、「義」を貫き通した武将・直江兼続。主君・上杉景勝をはじめ、師と仰ぐ上杉謙信や友人・石田三成との深い係わりを主軸に、同時代に生きた戦国武将や妻・お船をはじめとする女性たちとの人間関係、利を求める社会において発生する格差など現代社会に通じる問題、といった様々なテーマを盛り込みながら、兼続の生涯を描く。

主演の妻夫木は、大河ドラマへの出演自体が初めてであった。兼続が終生仕えることになる上杉景勝は、2001年の『北条時宗』以来の大河ドラマ出演となる北村一輝が演じた。

記録的視聴率を記録した前作『篤姫』同様、ホームドラマ的な雰囲気、若手俳優の積極的な起用、少年時代の兼続(与六)を演じた加藤清史郎の演技などにより、最高視聴率26.0%、平均視聴率 21.2%という高い視聴率を記録した(視聴率は関東地区ビデオリサーチ社調べ[1])。2022年現在、全話平均視聴率が20%を越えた最後の大河ドラマとなっている。

兼続の幼年時代を演じた加藤清史郎のセリフ「儂(わし)はこんなところ来とうはなかった!」は新語・流行語大賞にノミネートされた[2]。また、加藤清史郎は視聴者から再登場を要望する声が多かったため、兼続の子・竹松(直江景明)役で再出演した。

原作の小説やドラマ上の脚色もあり、史実と異なる設定や創作、重要人物(新発田重家最上義光など)が登場しないなどの指摘があった[3]。兼続の人物像も「元服したのに前髪を付けているのはおかしい」との指摘があった[3]。ドラマで謙信が籠る春日山城の毘沙門堂の置かれた岩屋が実在すると思いこんだ観光客が現地を訪れ、岩屋が無いことに落胆するケースもあったという[3]。また、当時では使われない「平和」「家族」といった言葉の使用など、小松江里子の脚本も専門家から書き直しを指摘される箇所があったほか、兼続が宿敵・伊達政宗と和解したり、徳川家康から息子・秀忠の将来を託されたりするなど、史実と異なる予定調和的なシーンも多かった。5月10日放送の「本能寺の変」の演出ではサブリミナル効果を指摘する声が挙がり、物議を醸した[4]

オープニングテーマが吹奏楽の定番シリーズニュー・サウンズ・イン・ブラスで編曲されているが、放送されているのとは違い、ロングヴァージョンになっている。これは音楽を担当した大島本人が新たにスコアを書き直し、大島本人と編曲者の星出尚志との共作で出しているためである。


注釈

  1. ^ 公式ホームページでの表記は「ねね」となっているが、ドラマ本編中の台詞では「おね」と呼ばれている。
  2. ^ 公式ホームページでの役名は「淀殿」。
  3. ^ 実在の長政の妻は正室の糸姫(秀吉養女)と栄姫(家康養女)の二人だが、双方とも本作に登場する里と長政の妻であった期間と一致していない。
  4. ^ ちなみにこの瘤の演出は、家康役の松方弘樹の発案である[5]
  5. ^ 当初は幸村の妹という設定だったが、年齢的に辻褄が合わないことが判明したため、姉に変更された。
  6. ^ 2014年の大河ドラマ『軍師官兵衛』でも同役を演じている。
  7. ^ a b c アナウンサーによる冒頭ガイドはなく、直接オープニングに移行した。
  8. ^ 4月からは、『もぎたて!北海道』、『ぬくだまりの宿 みちのく亭』、『ゆきねえの名古屋なごやか喫茶』、『博多屋台 こまっちゃん』が始まったが、これらも終了までは差し替え対象となった。

出典

  1. ^ a b ビデオリサーチ NHK大河ドラマ 過去の視聴率データ
  2. ^ 2009年ユーキャン新語・流行語大賞の候補語”. 自由国民社. 2012年7月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年5月13日閲覧。
  3. ^ a b c 2009年5月29日週刊朝日「天地人はこんなに変だ!」
  4. ^ “NHK、大河「天地人」でサブリミナル技法? の指摘”. MSN産経ニュース. (2009年5月14日). オリジナルの2009年5月17日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20090517014624/http://sankei.jp.msn.com/economy/business/090514/biz0905141008008-n1.htm 
  5. ^ NHK大河ドラマ・ストーリー 天地人 完結編(ISBN 978-4-14-923352-9)72ページ
  6. ^ NHKオンデマンド 天地人”. NHK. 2012年9月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年9月3日閲覧。
  7. ^ NHK INFORMATION「NHKトップトーク(会長 2009/1/8)」”. NHKオンライン→経営情報 (2009年1月8日). 2012年12月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年1月9日閲覧。
  8. ^ “NHK大河ドラマ「天地人」にABU賞”. ZAKZAK (産経デジタル). (2009年10月7日). オリジナルの2009年10月11日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20091011070711/http://www.zakzak.co.jp/entertainment/ent-news/news/20091007/enn0910071232008-n2.htm 2009年10月9日閲覧。 





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