国際私法 国際私法と関連する概念、区別される概念

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国際私法

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/25 04:15 UTC 版)

国際私法と関連する概念、区別される概念

準国際私法

準国際私法とは、一つの国家内で異なる内容の法が施行されている場合において、適用すべき私法を指定する法のことをいう。一つの国家内で異なる内容の法が施行されている場合を不統一法国という。不統一法国には、地域的不統一法国と人的不統一法国とがある。

日本では一つの国家内には全国的に一つの私法が施行されているが、地域により異なった法が施行されている国もあり、これを地域的不統一法国とよぶ。例えば、アメリカ合衆国においては、それぞれの立法権を有しているため州により法律が異なるし、イギリスでも、イングランド及びウェールズスコットランド北アイルランドなどで法の内容が異なる。

地域的不統一法国においては、同一国内でありながら異なる地域間の取引なので私法上の牴触を生じる場合があり、これを調整するのが準国際私法の役割となる。(一国内において、人種、民族、宗教などにより法律を異にする場合もあり、このような国を人的不統一法国と呼ぶところ、このような場合における牴触規則が準国際私法に含まれるかには見解の対立があるが、人際法の項目で説明する。)

一応、国際私法と区別される概念であるが、問題となる法律関係の解決方法は国際私法と類似の原則が妥当する。そのため、国際私法と準国際私法を区別しないこともある(アメリカ合衆国など)し、区別するとしても国際私法に関する規定を準国際私法に準用することが多い。したがって、実質法には分類されない。

日本国との平和条約発効前の日本においても、台湾朝鮮半島が日本の領土とされた際に、内地・朝鮮・台湾などについて異なる法令が施行される事態が生じたため、共通法(大正7年法律第39号)が制定され、その2条2項において法例の規定を準用すること等により、異法地域間の法の抵触の解決を図ったことがある。

なお、国際私法は、歴史的に見るとヨーロッパにおいて主権国家内部で地域によって異なる法体系を有している地域相互間の問題と解決するための法規範として発生したが、その後主権国家内部で私法が統一されたため、国家間の私法問題を解決するための法規範として位置づけられるようになったという経緯がある。

人際法

一国内において、人種、民族、宗教などにより法律を異にする場合がある。例えば、イスラーム諸国、インドイスラエルにおいては、ある人の属している宗教により、その人に適用される私法が異なる。また、アフリカ諸国(ナイジェリア南アフリカなど)においては、ある人の属している部族により、その人に適用される私法が異なる。これらのように、人の属性により適用される私法を異にする場合に、法律の人的抵触を解決するための法律を人際法人際私法)という。

国際私法は、地域により異なった内容の法律が施行されていることを前提として適用されるべき法を指定するものであり、人際法は、人により異なった内容の法律が適用されることを前提として適用されるべき法を指定するものであるため、両者は類似している。このことから人際法を準国際私法の一類型と考える見解がある[1]。他方、国際私法は前述のように上位法としての性質を有するのに対し、人際法は一つの法域内の問題であり実質法の一部であることから、両者の性質は異なると解する見解もある。

国際民事手続法

渉外的私法関係においては、どこの国家又は地域の法律を適用すべきかという問題のほか、公的機関で解決する必要性が生じた場合にどこの国の裁判所が事件を審理すべきか(国際的裁判管轄権)、ある国の裁判所でなされた判決などにつき、別の国でどのような効力を有するか(外国裁判の承認)、国際司法共助などの問題がある。これらの問題を処理する法規範を国際民事手続法国際民事訴訟法)という。

これらの問題は、法律の適用関係を問題とするわけではないので、狭義の国際私法には含まれないが、私法的法律関係の実効性を確保するための法規範であるため、関連する問題として扱われ、広義の国際私法に含まれるとする考え方もある。




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