人口爆発
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/15 22:13 UTC 版)
歴史
過大な人口に由来する問題は常に歴史を左右してきた。
中国
中国の人口は幾度も増加と急減を繰り返してきている。まず、統一的な政権が生まれ統一的な政策が打たれることで、生活の改善が図られ人口増大が始まる。人口増大と生産増大はやがてずれ始め貧困が発生する。飢饉と世直しを目的にした内戦により人口が急減する。また統一政権の下で人口増大が始まる。このようなサイクルが繰り返されてきた。ただし中国の政権の範囲外からの外敵の侵入といった事例も多いため、一概に内戦だけで人口減が起きている訳ではない。
清代から農業技術の発達(新大陸原産の農業作物の導入)のため、可耕地の増加により人口増加が加速した。20世紀から21世紀初頭にかけて、中華人民共和国は世界最多の人口を保持していたが、一人っ子政策により少子高齢化が急速に進み、2010年代のうちに人口減少に転じるとみられていた。中国政府の公式発表では少し遅れ2022年の発表から人口が減少し始めた。
日本
日本の人口は江戸時代には2600万人程度だったとされる。人口がこの水準に留まっていたのは間引き(子殺し)を行う風習があったためである[7]。関東地方と東北地方では百姓の貧困が原因で「間引き」が特に盛んに行われ、都市では職人や商人の風俗退廃による不義密通の横行が主な原因で行われた。また小禄の武士階級でも行われた[8]。
日本の人口は、開国後に急増を始める。1872年(明治5年)の段階では3480万人だった日本の人口は1912年(明治45年)に5000万人を突破し、1936年(昭和11年)には6925万人に達していた。これは間引きが罰せられるようになったことで大家族の家庭が多くなったのに加え、明治以降の保健・医療など公衆衛生水準の向上、農業生産力の増大、工業化による経済発展に伴う国民の所得水準の向上と生活の安定などの要因により発生した人口爆発だった[9]。
また明治以降の居住の自由化により、特に都市人口の増大が急激だった。第一次世界大戦後の不況で失業者数が増加した昭和初期には人口過剰が重大な社会問題となった。その解決のため政府は日本国外(特にブラジル)への移民奨励キャンペーンを行ったが、人口抑制効果は限定的だった[10]。
第二次世界大戦の社会的経済的混乱を経て、1947年から1949年に第一次ベビーブームが発生。また外地からの引き揚げも加わって人口増加率は年率2%を超えた。1948年(昭和23年)に人口8000万人だったのが、1956年(昭和31年)には9000万人、1967年(昭和42年)に1億人を超えた。当時において日本は中国、インド、アメリカ、ソ連、インドネシア、パキスタンに次ぐ第7位の人口を有する国となった。100年の間に総人口が3倍に増えた計算となる。1971年から1974年の間、第一次ベビーブーム世代の結婚・出産に伴う第二次ベビーブームが発生。しかし戦後は結婚から育児にかけての費用の増加や価値観の多様化、女性への負担などもあって、出生率は全体的には低下傾向にあり、そのため2008年の1億2808万人をピークとして人口減少傾向に入り、近年では少子高齢化が社会問題化している[9][11][12]。
- ^ 【緑の地平5】世界人口70億人突破が発する“地球の危機”/千葉商科大学名誉教授 三橋規宏(企業家倶楽部2012年2月号:VENTURE STORY)
- ^ 国連人口部 (1999) The World at Six Billion
- ^ a b [1]国連人口部 世界人口推計2015年版
- ^ Van Den Bergh, Jeroen C. J. M.; Rietveld, Piet (2004). “Reconsidering the Limits to World Population: Meta-analysis and Meta-prediction” (英語). BioScience 54 (3): 195. doi:10.1641/0006-3568(2004)054[0195:RTLTWP]2.0.CO;2. ISSN 0006-3568 .
- ^ a b 独立行政法人農業環境技術研究所「情報:農業と環境 No.104 (2008年12月1日) 化学肥料の功績と土壌肥料学」
- ^ 人口減少は諸悪の根源かWEDGE Infinity(ウェッジ) 2015年3月3日
- ^ 親子間の葛藤~親殺し・子殺し 守山正
- ^ 国立国会図書館デジタルコレクション『堕胎間引の研究』9頁~54頁 (編著者・出版者:中央社会事業協会社会事業研究所 発行:1936年(昭和11年)10月7日) (2018年11月2日閲覧。)
- ^ a b 明治以降の日本の人口の変化
- ^ 戦間期日本における失業問題とアジア労働市場 - 大阪産業大学 加藤道也
- ^ 第1節 若者を取り巻く社会経済状況の変化
- ^ “日本の少子化の原因と最近の財源に関する議論について”. ニッセイ基礎研究所. 2024年2月28日閲覧。
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