上遠野浩平 上遠野浩平の概要

上遠野浩平

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/15 06:57 UTC 版)

上遠野 浩平
(かどの こうへい)
ペンネーム 上遠野かどの 浩平こうへい
誕生 (1968-12-12) 1968年12月12日(55歳)
日本千葉県
職業 小説家
言語 日本語
国籍 日本
教育 学士
最終学歴 法政大学第二経済学部商業学科卒業
活動期間 1998年 -
ジャンル
代表作
主な受賞歴 電撃ゲーム小説大賞(1997年)
デビュー作 『ブギーポップは笑わない』
親族 古今亭ぎん志(従兄弟)
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来歴

1968年千葉県生まれ、神奈川県育ち。神奈川県立野庭高等学校法政大学第二経済学部商業学科卒業。大学卒業後にビル整備会社へ勤めたものの、すぐに退社[1]。作家としてデビューする以前には、日本ファンタジーノベル大賞コバルト・ノベル大賞などの公募新人賞へ投稿を続けると同時にモデラーとしての活動も行っていた[2]落語家古今亭ぎん志は従兄弟にあたる[3]

1991年、「朱金色の死神」で第3回ファンタジア長編小説大賞で最終候補作に選ばれず落選[4]。1996年に「スーパーマジック・ハイパーマシン」が第1回ソノラマ文庫大賞最終候補作となる[5]。1997年、『ブギーポップは笑わない』で第4回電撃ゲーム小説大賞を受賞し、同作で1998年にデビューした。同作は発売から数年間、電撃文庫で最高の発行部数を誇る作品となり、アニメ化・実写映画化などもされ、西尾維新奈須きのこが「上遠野浩平の作品に影響された」と語っているほか、佐藤友哉も影響を受けた事を明かしている[6] など、後進の作家たちに大きな影響を与えている。

デビュー後しばらくは電撃文庫でライトノベルを執筆し、90年代後半に始まったライトノベルブームの礎を築いた重要人物の一人であるとされる[7]。その後、講談社徳間書店祥伝社富士見書房など多くの出版社やレーベルでも作品を発表するようになり、ライトノベル以外でも活躍を見せている。2019年からは、バンダイのデジタルカードゲーム『ゼノンザード』で原案と世界観設定を担当。

作風

作風としては「ブギーポップシリーズ」を中心に、SF作品としての傾向が強く、「戦地調停士シリーズ」や「ソウルドロップシリーズ」のように、ファンタジーやSFとミステリの融合を試みたものも多く見られる。本格ミステリに近い推理小説としては『しずるさんシリーズ』などが挙げられる。また、青春を感じさせる若者の心理的要因や社会や組織に有って生きる人間など、場所も時系列も違う複数の登場人物をそれぞれの視点で進行していく、独特の描き方をする。

全作品に共通する登場人物の性格付けとして、国内メディア作品の青少年キャラクターには多い「若さ故の無鉄砲さ」や「若さの象徴としての、実態のない体制への理由無き反骨心や反逆心」(上遠野自身曰く「身の程知らず」な人間)を書く事がないのも特徴で、多くの登場人物は体制の仕組みの中に取り込まれている事を皆理解しながら、そのまま諦観しているか、それでも大切な何かを持っているかを描いている。

全ての作品とシリーズが世界観を共有をしている。しかし、巻単位では完結させて、どのシリーズのどの巻からでも読む事が出来るスタイルを取っている。そのため、深く読み込むことで、他作品間との登場人物や出来事、影響力などの裏側での繋がりを読み解くことが可能である。

難解な設定を使用することもあるが、文体は平易な言葉を使用し、世代を問わず読みやすい小説が多い。


  1. ^ 上遠野浩平先生インタビュー”. Anima Solaris. 2007年9月21日閲覧。
  2. ^ 波状言論 09-a号”. 東浩紀. 2008年8月8日閲覧。
  3. ^ 金原亭小駒 [@@kingente11thNo5] (2019年9月25日). "そしてお知らせです!ただ今人気急上昇中!!一門の先輩、左吉改め古今亭ぎん志兄さんが真打昇進披露興行が開催中です!後ろ幕はではなんとブギーポップが笑ってます!!!作者の上遠野浩平さんは兄さんの従兄弟だそうです。 披露興行はまだまだ始まったばかり、ご来場お待ちしております!!!—". X(旧Twitter)より2019年9月27日閲覧
  4. ^ 第一次選考通過、第二次選考で落選、『ドラゴンマガジン』平成3年/1991年10月号「選考経過」
  5. ^ 本作はソノラマ文庫での出版は見送られたものの、電撃文庫からデビューした後、「虚無を心に蛇と唱えよ」、『機械仕掛けの蛇奇使い』としてその構想は日の目を見ることになった。他に5つほどのバージョンがあったという。(『機械仕掛けの蛇奇使い』「著者近影」の文より)
  6. ^ 講談社刊 『ファウスト』2005 SPRING Vol.5 「スーパートークセッション」。
  7. ^ 講談社刊 『ファウスト』 2005 SPRING Vol.5 東浩紀 『波状言論』 序文
  8. ^ 波状言論 10-a号”. 東浩紀. 2008年8月8日閲覧。
  9. ^ a b c 講談社刊 『ファウスト』 2005 SPRING Vol.5 東浩紀 『波状言論』
  10. ^ 第4回ジャンプ恋愛小説大賞|JUMP j BOOKS”. 集英社. 2020年9月8日閲覧。
  11. ^ 【アフターコロナの恋愛事情】『しずるさんと見えない妖怪 ~あるいは、恐怖と脅威について~』上遠野浩平|JUMP j BOOKS”. note (2020年11月6日). 2020年11月6日閲覧。
  12. ^ ブギーポップの衣装について論じている。


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