ツルムラサキ ツルムラサキの概要

ツルムラサキ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/02 22:02 UTC 版)

ツルムラサキ
ツルムラサキ
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: ナデシコ目 Caryophyllales
: ツルムラサキ科 Basellaceae
: ツルムラサキ属 Basella
: ツルムラサキ B. alba
学名
Basella alba L. (1753)[1]
和名
ツルムラサキ(蔓紫)
英名
Indian spinach[2]
Malabar spinach
malabar nightshade[3]

名称

和名は、はつる状で、の付け根に紫色の実をつけることから「ツルムラサキ」の名がつけられている[3]。また、日本へはつるが紫色の赤茎種が、青茎種(緑茎種)よりも先に観賞用として導入されたのでこの名がついたともいわれている[4]。日本であるので俗名で「パセラ」と呼ばれることもある[3]。日本国内では、野菜用として流通するもののほとんどは青茎種であるため、現在では名と体が合わなくなってきている[4]

英語名は Indian spinach (インディアン・スピニッチ)[2]や malaber nightshade(マーラバー・ナイトシェード) [3]フランス語名は épinard de malabar(エピナー・ドゥ・マラバー)[3]中国名は落葵(ラオクエイ)という[1]

茎が緑色の種と赤紫色の種があるが、茎が赤紫色の品種はシンツルムラサキ(真蔓紫、学名: Basella alba L. 'Rubra'[5])とよんでいる。ツルムラサキの学名Basella alba(バセラ・アルバ)で、「アルバ」は白という意味で緑色種をさす。シンツルムラサキの学名の品種名 'Rubra'(ルブラ)は赤いという意味で、茎が赤いことからつけられたものである。

分布・栽培地

原産地は熱帯アジア[6][2]東南アジアの熱帯地方[7]といわれる。分布域は、東南アジアから中国の南部地域までの広い範囲にわたる[6]。これら地域では古くから野菜として利用されており、日本へは江戸時代に伝わって主に観賞用として栽培されていた[6]。日本での栽培は極めて少なかったが、戦後の日中国交正常化以後は中国野菜ブームの到来によって次第に増加している[6]

形態・生態

一年生草本で、青茎種(緑茎種)と赤茎種がある[6][2]はつる性で生育旺盛、支柱によく絡みつき、放任すると草丈は3 - 4メートル (m) にも伸びる[8]。青茎種は茎・葉の表裏ともに鮮やかな緑色であるが、赤茎種は茎と葉柄、葉の裏の一部が紫紅色で、葉の表面が緑色である[6]。茎葉ともに毛が生えてなく光沢があり、葉は肉厚で卵円形である[6][9]。青茎種と赤茎種では、茎葉の色に違いがみられるものの、形状や特性について大きな違いはない[6]

花期は夏から秋で[8]、葉の付け根から多肉質の長い花穂が生じる[6]は青茎種が白色であるが、赤茎種ではうす紫色から淡紅色で美しい[6]果実は、未熟果のうちは緑色であるが、熟すると濃紫色の径3 - 5ミリメートル (mm) の美しい実になり1個の種子を含む[6]。秋になって気温が低下すると、急速に生育は衰える[8]


  1. ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Basella alba L. ツルムラサキ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2021年10月27日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 2012, p. 36.
  3. ^ a b c d e f g h i j k 講談社編 2013, p. 25.
  4. ^ a b c d e 板木利隆 2020, p. 311.
  5. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Basella alba L. 'Rubra' シンツルムラサキ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年2月19日閲覧。
  6. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t 農文協編 2004, p. 237.
  7. ^ a b c d e f 主婦の友社編 2011, p. 243.
  8. ^ a b c d e f 板木利隆 2020, p. 308.
  9. ^ a b 加藤俊介. “中国野菜の栽培と利用”. 牧草と園芸 第32巻第5号. 雪印種苗. 2022年2月5日閲覧。
  10. ^ a b c d e 金子美登 2012, p. 128.
  11. ^ a b c d e 丸山亮平編 2017, p. 86.
  12. ^ a b c d e 農文協編 2004, p. 238.
  13. ^ a b c 板木利隆 2020, p. 309.
  14. ^ a b c 金子美登 2012, p. 129.
  15. ^ a b c 農文協編 2004, p. 239.
  16. ^ a b c 板木利隆 2020, p. 310.
  17. ^ 食品成分データベース”. 文部科学省. 2021年10月27日閲覧。
  18. ^ 吉川雅之、薬用食物の糖尿病予防成分 『化学と生物』 2002年 40巻 3号 p.172-178, doi:10.1271/kagakutoseibutsu1962.40.172


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