シフトレバーの配置 オートバイ

シフトレバーの配置

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/22 07:06 UTC 版)

オートバイ

オートバイの場合には、今日ではほとんどの車種で足で操作して変速するフットシフト: Foot Shift)が用いられるが、1960年代以前には手で操作するハンドシフト: Hand Shift)の車種も見られた。

ハンドシフト

ハンドシフトには大きく分けてタンクシフト(Tank Shift)、ジョッキーシフト(Jockey Shift)、グリップシフト(Grip Shift)の3種類に大別される。

タンクシフトは、燃料タンクの側面に設けられたシフトレバーがリンケージを介して変速機に接続されるもので、最も初期から存在する形式である。同じリンケージを介する形式でも、シフトレバーの位置を大きく変更する目的でフレームにシフトレバーの台座を設置する場合もあり、こうしたものはアメリカの白バイ向け車両に多く用いられたことからポリスシフトとも呼ばれている。

ジョッキーシフトはリンケージを介さずに変速機に直接シフトレバーを連結するもので、更に狭義にはシフトレバーをフットレスト後方まで伸ばして後車軸の手前付近に配置するものを示す。このように配置された場合、シフト操作があたかもを入れるように見えることから、このような名称で呼ばれる[7]

グリップシフトは今日の自転車の変速機でも広く見られる、ハンドルバーのグリップを回して変速を行うもので、旧式のベスパで用いられている。

ハンドシフトは、日本車では1950年代末まで陸王が採用していたのが最後の事例である。改造車両としては今日でもクルーザーをクラシックスタイルに改造する場合に見られる。市販車では、グリップシフト以外のタンクシフト、ジョッキーシフトに類するハンドシフトは、走行中に片手をハンドルから離すことを強いられ、横転事故の原因になりがちであったため、1950年代にはより安全性の高いフットシフトにほぼとって代わられた。例外はサイドカーやオート三輪のような、通常オートバイよりも安定性の高い車種に限られる。

フットシフト

フットシフトのシフトレバーは足で操作することからシフトペダル(: shift pedal)と呼ばれる場合が多い。一端を軸によって支持されたレバーの他端を、足の裏で踏む操作と足の甲で引き上げる操作で変速する方式が主流となっている。先端の操作部には滑り止めのついた突起が車体の横方向へ突出していて、外観形状からシフトペグ: shift peg)とも呼ばれる。またクルーザーやビジネスバイクなどには、中心を軸で支持されたレバーの両端(操作部は棒状または平らな板状となっているが、足の甲で引き上げる操作を考慮し前方に伸びたレバー端のみ棒状とした車種もある)のどちらか一方を足の裏で踏む操作のものもみられ、シーソーペダル: seesaw pedal)とも呼ばれる。いずれの場合も、シフトレバーがトランスミッションから突き出したスピンドル(軸)に直接固定されるものと、リンケージを介して操作を伝達するものがある。

今日のようなフットシフトメカニズムを初めて導入したのはイギリスのベロセットで、1934年の事である。その後多くのメーカーがこの機構を採用したが、1936年BMWのように、フットシフトを採用しながらも非常用にハンドシフトレバーも併設する例が普及の当初には見受けられた[8]


  1. ^ 電気自動車の場合、乗り物に適した電動機が使えるため、ほとんどが多段変速機を必要としない。鉄道車両の場合も、気動車ディーゼル機関車が自動車と同様の手動、もしくは自動の多段変速機を必要とするのに対し、電車電気機関車は最高速度が300km/hを超える高速鉄道用の動力車でも、減速機構は永久一段である。
  2. ^ 一般的なHパターンのMTの場合、レバーの前後及び左右方向の動きを、2本のワイヤーの前後動で変速機に伝えている。
  3. ^ ローラ・T70フォード・GT40など。
  4. ^ アップ、ダウン共に、順に一段ずつ変速を行う方式。
  5. ^ ステアリング・ホイールの奥(下)にパドル状(多くは形)の変速スイッチを一組(アップとダウンを一つずつ)持ち、指先でそれらを手前に引くことで、ステアリング・ホイールから手を離すことなく変速操作ができる。
  6. ^ F1のトランスミッションとは?パドルシフトを使った8速セミオートマチック【自動車用語辞典:F1の技術編】”. clicccar.com. 2020年5月15日閲覧。
  7. ^ ハーレーのクラッチ&シフト(ハンドシフトの仕組み)
  8. ^ [1]





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