サウンドカード サウンドカードの概要

サウンドカード

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/07 03:59 UTC 版)

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サウンドカードのベストセラー、クリエイティブSound Blasterシリーズ
(Sound Blaster Audigy 2 ZS)

コンピュータに内蔵する形態を採り、主に、PCIPCI Expressといった内部バスによって接続する[2][3]。また、ノートパソコン用にExpressCard型のサウンドカードも存在する[4]。サウンドカードと同類のものに、ノートパソコンなどに手軽に接続できるようにUSBバス接続やIEEE 1394接続等の製品があるが、これらはオーディオインターフェースと呼ばれることが多い(後述)。

現在のパーソナルコンピュータにおいて、音響信号の入出力機能はもはや標準機能となっており、多くの機種において、サウンドのデジタル処理を行うDSPCPUないしはチップセットに内蔵されており、アナログ・デジタル間のコンバートを行うオーディオコーデックを追加するだけでオンボードでサウンド機能を実現できる。かつて普及価格帯にあったサウンドカードは、その価値を標準装備のサウンド機能に譲り、一般ユーザーにおいてはサウンドカードを買い足す必要が薄れた。

現在市販されているサウンドカードは、標準装備のサウンド機能を超えた付加価値を持つ製品である。それらは一般に、ゲーム用や音楽鑑賞用のものが「サウンドカード」と呼ばれ、プロやセミプロが音楽制作などに用いるものが「オーディオカード(あるいはオーディオインターフェース)」と呼ばれる傾向にある。価格は備える音響品質に応じて開きがあるが、サウンドカードは民生用途であることに対し、オーディオカードは商業制作に用いられることと市場が狭いため、それぞれの高級製品を比較した場合にはおおむねオーディオカードに、より高額な製品が多い。

音源の変遷

初期のサウンドカード例 Apple Ⅱ用 Mockingboard V1

パーソナルコンピュータの最初期には音声が出ないか、あってもビープ音のみの環境であった。そこで、パーソナルコンピュータに音楽を奏でる機能を持たせるため、サウンドカードが発売された。ごく初期のものではApple IIの Mockingboard が有名で、PSG音源を搭載していた。その後登場した家庭用パーソナルコンピュータの多くは標準的に音源が内蔵されるようになったため、以降はサウンドカードは(当初は家庭用途を想定していなかった)NEC PC-9800シリーズPC/AT互換機用のものが中心となった。これらの機種用のサウンドカードは、より豊かな音色を出力することのできるFM音源の使用が主流となった(Ad Lib社のサウンドカードやNEC PC-9801-26等)。やがてゲームのBGMなどでMIDIが用いられると、MIDI信号を受けて発音するMIDI音源モジュールをMIDIカード上に実装したものが登場した(ローランドのLAPC-I等)。

1980年代末から90年代にかけて、FM音源に加えPCMで音声の再生を行うPCMデコーダー、および音声を録音するPCMエンコーダーが搭載されたサウンドカードが登場した(Creative Sound BlasterやNEC PC-9801-86等)。この時点でサウンドカードは、パーソナルコンピュータに音源を付加することに加え、音声入出力機能を拡張するものとなった。また、Sound BlasterはMIDIカードとしての機能を有し、Wave Blaster等のドーターボードを搭載することによりMIDI音源としても利用することができた。

この時期に使用されたサウンドカードの多くはジョイスティックを接続するためのインタフェースを備えている。特に、Sound Blasterではジョイスティック接続のためのゲームポートが、MIDIコネクタと兼用となっていた。

Windowsが広く普及した現代では、FM音源の利用はほぼ皆無となり、ゲームBGM再生もMIDIに代えPCMが使われるようになった。また、FM音源やMIDI音源等のエミュレーションを十分に行える処理能力をPCが有するようになった。そのため、サウンドカード上のFM音源やMIDI音源モジュールは需要が薄れ、これを搭載しないサウンドカードが主流となった。

また、外付けタイプのMIDI機器やジョイスティックも2018年現在ではほぼUSBで接続できるため、ゲームポート搭載製品も完全に淘汰された。

カラーコード

サウンドカード上のコネクター群はPC System Design Guide英語版に基づいて色付けされている。[5] それぞれのジャックごとに関連付けられている矢印、円、波形などのシンボルイラストは以下の通り:

機能 コネクター シンボルイラスト
  ピンク アナログマイクロフォンオーディオ入力。 3.5 mm ミニジャック マイクロフォン
  ライトブルー アナログライン音声入力。 3.5 mm ミニジャック 円の内側へ向かう矢印
  ライムグリーン 主ステレオ信号用のアナログライン音声出力(前面スピーカーまたはヘッドフォーン)。 3.5 mm ミニジャック 円の外側へ向かう波形
  茶色/褐色 特別なパンニング(右から左のスピーカー)のためのアナログライン音声出力。 3.5 mm ミニジャック
  黒色 サラウンドスピーカー用のアナログライン音声出力。主として背面ステレオ用に用いられる。 3.5 mm ミニジャック
  橙色 前面中央スピーカーとサブウーファー用のアナログライン音声出力。 3.5 mm ミニジャック
  銀色/灰色 サラウンドサイドチャンネル用のアナログライン音声出力。 3.5 mm ミニジャック
  金色/灰色 ゲームポート / MIDI D-Sub 15 ピン 波形の両端に矢印

  1. ^ 英語圏ではSound boardは音響施設の操作盤などを指すため、PC用語としてはSound boardは通常使われない。
  2. ^ 以前は、PC内蔵型でISAバスのものも存在した。
  3. ^ 基板が剥き出しで内部にねじ止めされる製品はドーターボードの一種である。
  4. ^ ノートパソコン用のものは従来のPCカード型のサウンドカードからExpressCard型に移行している。
  5. ^ PC 99 System Design Guide, Intel Corporation and Microsoft Corporation, 14 July 1999. Chapter 3: PC 99 basic requirements (PC 99 System Design Guide (Self-extracting .exe archive). Requirement 3.18.3: Systems use a color-coding scheme for connectors and ports. Accessed 2012-11-26
  6. ^ 小型のオーディオインターフェース製品では、USBバスパワーによって電源供給を受けるものがある。


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