ガンダム Gのレコンギスタ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/04 08:40 UTC 版)
評価
富野由悠季
本作の監督をした富野由悠季は、『パシフィック・リム (映画)』や、マーベルの『アイアンマン』、『アベンジャーズ』を打倒するつもりが「惨敗だった」と明言した上で、「駆け足で作って体力負けした」と語って、本作では全てのカットに目配りが出来ず[注 3]、視聴者からの反応を見て発狂できるスタミナもなかったとして、初代ガンダムの劇場三部作を作った時のような充実感がなく、本人の感覚としても盛り上がらなかったと述べている[24]。
ストーリー
技術文明の頂点を極めながらも、宇宙戦争の歴史となり人類が滅亡しかけた宇宙世紀が終焉し1000年以上の時が過ぎた。生き残った人々は「リギルド・センチュリー(R.C.)」という新たな世紀を迎え、技術進歩に自ら制限をかけることで再び繁栄を始めていた。
前世紀の遺物・軌道エレベータのキャピタル・タワーは、宇宙から供給される唯一のエネルギー源フォトン・バッテリーを地球に搬入する唯一の経路として神聖視され、慎重に復元・維持されていた。かつて南米と呼ばれたエルライド大陸にある地球側基地とその周辺キャピタル・テリトリィは、世界的な「聖地」となっていた。また世界的宗教「スコード教」は宇宙からの恵みへの感謝と技術の発展・進歩を禁じているからこそ現在の平和と繁栄があると説き、人々に浸透していた。
一方、かつて「北米」と呼ばれたアメリア大陸の国家「アメリア」と、かつての欧州地域の国家「ゴンドワン」とは、あたかも旧世紀以前のような大陸間戦争を始めていた。彼等はより強力な武装を求め、禁忌である封印された宇宙世紀時代の技術を、「ヘルメスの薔薇の設計図」と呼ばれる密かに流通していた技術データベースから採掘・復元し始めてしまう。アメリアはいち早く宇宙戦艦を試作建造するが、国際会議の反発に遭い解体廃棄したと発表する。だが密かに諜報独立部隊である「海賊部隊」に与えて運用を開始し、タワーからフォトン・バッテリーを強奪するなどの作戦を行わせ、宇宙技術の運用ノウハウを蓄積する。キャピタル側は従来の自衛組織キャピタル・ガードによる警備体制や装備見直しを迫られ、対外対抗組織「キャピタル・アーミィ」設立や対抗技術の導入検討を始める。また、アメリアはこれも「禁忌破り」である天体観測によって月周辺の小天体の活発化を知り、「宇宙からの脅威」が来襲する可能性について憂慮しはじめる。
そんなある日、宇宙から所属不明のMSがキャピタル・テリトリィに降下してきた。このMSが物語の主人公のキャピタル・ガード候補生の少年ベルリ・ゼナムと、海賊部隊の少女アイーダ・スルガンを引き合わせ、物語は始まる。
- 第1話 - 第6話
- R.C.1014年。所属不明の謎のMSが宇宙よりキャピタル・テリトリィに降下して来た。それを正式発足直前のキャピタル・アーミィ(以下「アーミィ」と略す)のMS隊と海賊部隊のMS隊は確保を巡って競り合った。謎のMSは海賊部隊が、脱出したパイロットの少女はアーミィが確保した。MSは海賊部隊に「G-セルフ」と名づけられ、記憶を失っていたパイロットの少女はアーミィに「ラライヤ・マンディ」と仮の名を与えられた。
- 1週間後、ベルリ・ゼナム達キャピタル・ガードの候補生達は、軌道エレベータでの宇宙実習中に突然、海賊部隊が操縦する「G-セルフ」の襲撃を受ける。エレベータにはラライヤも同乗していたが、何故かG-セルフを見て取り乱す。作業用MSレクテンで応戦したベルリ達は巧みな操縦と連携でG-セルフの鹵獲に成功する。G-セルフのパイロットはアイーダ・レイハントンと名乗る少女だった。ベルリは彼女に不思議な感覚を覚える。そして海賊部隊では唯一アイーダしか認証しなかったG-セルフは、何故かベルリを認証し「Gメタル」を発行、パイロットと認識してしまう。
- ラライヤはベルリの友達のチアリーダーであるノレド・ナグが通う「セントフラワー学園」に編入された。ベルリは国賓歓迎式典の警護に借り出されたが、最中に海賊部隊のカーヒル・セイント率いるMS部隊がアイーダとG-セルフ奪還のため、テリトリィを襲った。ベルリは幽閉されているアイーダを助け出そうと、先輩ルイン・リーと共に救出に走る。ラライヤを連れたノレドとルインのガールフレンドのマニィ・アンバサダも後を追う。ベルリはアイーダをなんとか救出したが、キャピタル・ガードの指示でG-セルフへ搭乗させられ、直後にカーヒルの激しい攻撃を受ける。同乗しているアイーダを守ろうと応戦したベルリは、カーヒル機のコクピットを撃ち抜いてしまう。カーヒルはアイーダの想い人だった[25]。アイーダはベルリにカーヒルを返せと訴える。そこへキャピタル・ガード調査部のクンパ・ルシータが現れ、アイーダとラライヤの身柄を確保し、G-セルフも接収された。
- 翌朝、海賊部隊所属のクリム・ニックはMSモンテーロ単機で再度アイーダ救出の奇襲をかける。クンパの計らいでG-セルフに触れる機会を得たアイーダはベルリ、ラライヤ、ノレドを乗せたままG-セルフを発進させる。ガードの教官でアーミィの一員でもあるデレンセン・サマターがMSカットシーで迎撃したが、アイーダはクリムと合流するや、戦闘を避け撤退するよう指示し、ベルリ達を乗せたまま、G-セルフとモンテーロはカリブ海の海賊部隊の基地へと帰還する。
- アイーダは海賊部隊で姫と呼ばれる特別な存在だった。同部隊の戦艦メガファウナ艦長のドニエル・トスはアイーダが連れ帰った人質3名を尋問するが処遇に窮した。クリムは好奇心からベルリにG-セルフを操縦させ、ベルリは指示通り動かしてみせる。そこへ正式発足したアーミィのカットシーの編隊がベルリ達人質の解放を求めて飛来した。ベルリはカーヒルを殺したせめてもの償い代わりに艦は守るとアイーダへ宣言し、G-セルフで飛び出す。海賊部隊はノレドとラライヤを人質として担保しベルリを送り出す。ベルリは交渉を求めてカットシーへ接近したが、クリムの介入により会話は果たせず、防戦戦闘を強いられる。3機のカットシーの攻撃に囲まれ窮地に陥ったベルリが「スコード!」と祈りの言葉を叫ぶと首に掛けていたGメタルが共鳴、G-セルフに搭載された特定の者を護るための自動防衛機能が働き、機体の表面からフォトン・シールドを発生させ[16]、周囲の敵MSのビーム・サーベルのビーム刃を押し退け、ビーム・ライフルを歪曲させた。想定外の反撃にカットシーを率いていたデレンセンは撤退を指示した。
- メガファウナは本国からの軍令で艦隊作戦のための陽動行動を開始し、宇宙に上がろうとする。一方、アーミィの謎の人物マスクは新型可変MSエルフ・ブルックの一号機とカットシー6機を率いてメガファウナを追う。ベルリはエルフ・ブルックの攻撃で窮地に陥ったモンテーロをコア・ファイターの「水の玉」で救い、更にG-セルフにドッキング後、ビームサーベルでアーミィ部隊を撃退する。ドニエルはアイーダにベルリの働きを褒めるよう諫言する。アイーダは葛藤を隠して責務を果たす。
- ベルリはノレドにも促され、脱走も視野に入れていたが、弾道飛行中の高高度での作戦中にベルリ奪還の任を帯びたデレンセンの乗るMSエルフ・ブルの襲撃を受ける。新装備「リフレクターパック」を装備し、機体色も変わっていたG-セルフを、デレンセンは海賊が運用しているものと確信して執拗に攻撃を続ける。ベルリは加勢に来てくれたクリムを救おうと反撃した結果エルフ・ブルを撃墜する。皮肉にもその決着の瞬間に、両者は互いにキャピタルガード養成学校での師弟だと気付いてしまう。ベルリは苦悶する。
- 第7話 - 第10話
- ベルリの母で軌道エレベータの運行長官であるウィルミット・ゼナムは禁忌を破ったかのような武装強化を行っていくアーミィと、息子の「救出」がその口実として利用されていることに苛立っていた。ウィルミットは一計を案じ、設備視察中事故を装い単身大気圏グライダーでメガファウナへと向かう。メガファウナではクリムがラライヤにG-セルフを操縦させ、能力を確認していたが、そこをマスクが率いるエルフ・ブルック編隊が襲った。ベルリはラライヤと交代し迎撃したが苦戦した。アメリアの可変MAアーマーザガンが本国から到着し窮地を救う。アメリア軍の長でアイーダの父親でもあるグシオン・スルガンも救援部隊に帯同して到着した。グシオンはベルリに搬送してきた「トリッキーパック」を使うよう指示する。ベルリは不慣れなパックに苦労しつつも活用しマスク部隊を撃退する。一方アイーダはレーダーに映った高高度から接近する未確認機の迎撃に向かっていた。その「未確認機」はウィルミットの操縦するグライダーだった。後から追いついたG-セルフがグライダーを受け止め、母子は再会を果たす。ウィルミットはグシオンに対し、世界を騙しメガファウナを運用して宇宙技術を蓄積・開発してきた事を非難したが、グシオンは月の写真を見せ、周辺の小天体の動きが活発であること、「宇宙からの脅威」の可能性を示唆し、備えが必要であると主張した。マスクは戦艦ガランデンへ帰投し、同艦の補充兵となったマニィと遭遇する。マニィはマスクの正体はルインだと気付く。
- クリムは別任務のためアーマーザガンで本国へ戻った。ベルリとウィルミットはもし宇宙からの脅威が事実ならば、キャピタルは協力して対応する必要があると認識し、メガファウナをキャピタルに迎えると提案する。グシオンはその提案を受ける。ウィルミットはキャピタル・ガードへ連絡し、護衛誘導を要請する。途上でノレドはベルリがウィルミットの実子ではないことをアイーダに教える。アーミィのマスク部隊の奇襲を退けた後、キャピタル・ガードのケルベス・ヨー達がメガファウナに合流、その誘導で無事テリトリィ近傍に到着する。ゼナム親子とスルガン親子、ノレド、ラライヤの6名はキャピタルに入国し、スコード教のゲル法皇に謁見、法皇に宇宙からの脅威や宇宙に住む人の存在について質問する。法皇は宇宙に住む人の存在を肯定する。グシオンはまた宇宙とキャピタル・タワーとにエネルギー供給が一手独占されている現状は悪で、その開放が必要だと意見するが、法皇はその考え自体が脅威であると返す。そこにクンパが到着する。グシオンは過去の国際会議で月の裏側のスペースコロニー「トワサンガ」が公然となったことを語るが、クンパはそれを方便に禁忌破りの宇宙艦隊でエレベータの終点地の聖地ザンクト・ポルトを占拠するというアメリアの目的を言い当てて去る。ケルベスがベルリとアイーダを呼び戻しに来た。ラライヤがそれを追いかけノレドも追う。メガファウナがアーミィに発見されたのだ。アーミィの新型MS「ウーシァ」3機とカットシー隊がメガファウナへ迫りG-セルフ、ベルリ、ラライヤの引き渡しを要求する。アイーダのG-アルケインやガードのMSレックスノー隊が防戦に当たる。G-セルフはケルベスがアーミィから調達した「高トルクパック」を装着した。アルケインはベッカー・シャダムのウーシァに襲われピンチに陥る。ベルリは恋を自覚、バックパックを囮とした戦術でアイーダを救出・ウーシァ隊を無力化しメガファウナへと帰投する。
- 法皇は考えがあるとウィルミット、グシオンとの会談を続ける。グシオンは会談後、アメリアで計画していたキャピタルタワー占拠計画は最早不用になったと判断、至急本国に戻り正式中止したいと言う。ウィルミットは、グシオンにエレベータと大気圏グライダーの最速の足の提供を申し出る。法皇はザンクト・ポルトへ急行すると表明。ウィルミットは帯同を決意、グシオンも後から追うことにした。3名はその日の最終便で宇宙へ向かう。クンパとマスクもそれを追うかのように乗りこんだ。メガファウナもガードのケルベス達を乗せ、テリトリィを脱出し宇宙へと向かう。アメリア艦隊からの襲撃に備えアーミィのガランデンも飛び立った。
- 第11話 - 第13話
- グシオンがアメリアへ帰着する前に、アメリア大統領ズッキーニ・ニッキーニが強権を発動し、キャピタルタワー占拠作戦が発動されてしまう。2隻の先行艦サラマンドラとガビアルのMS大隊は大尉に昇進したクリムが率いていた。帰り着いたグシオンは大統領に即時中止を具申するが、却下される。グシオンは諦めて後続の主力艦隊の指揮を執るが、戦術上の理由を作り進路をザンクト・ポルトへ変更してしまう。サラマンドラとガビアルは当初計画どおりアンダーナットへの攻撃を開始する。アンダーナットからはアーミィが応戦。追うメガファウナとガランデンもサラマンドラ隊の阻止を試みる。ガランデンから発進したマスクの新型MSマックナイフ隊はサラマンドラへ牽制を行った後、本来の命令であるG-セルフとラライヤの奪還作戦を試みる。ケルベスの乗るレックスノーを拉致し、メガファウナにG-セルフとラライヤへの人質交換を求めた。マスクに誘い出され、ベルリとマスクは初めて宇宙服で直接対峙するが、その間にケルベスは自力脱出、ベルリもG-セルフへと逃れ、マスクの作戦は失敗する。一方サラマンドラもアンダーナットとガランデンからの攻撃を捌ききれず、周回軌道航行の時間制約によりアンダーナットの占拠は失敗する。
- クリムはキャピタルタワーの救助規定に目を着け、ガビアルを難破船に擬装しザンクト・ポルトに兵を送り込み占領する計画を立案する。マスクのMS隊はサラマンドラの撃沈を目指し、フォトン・アイを装備した誘導弾で攻撃したが、「アサルトパック」を装備したG-セルフの長距離狙撃に阻まれる。クリムの作戦は奏功しザンクト・ポルトはアメリア軍に占領される。グシオンも到着した。メガファウナは144番ナットへ向かい、アイーダ、ベルリ、ラライヤ、ノレドの4名でザンクト・ポルトに先行偵察へ向かった。ザンクト・ポルトの聖堂にはゲル法皇、ウィルミット、クンパ、グシオン、クリムが揃っていた。クリムは法皇にタワーの管理をアメリアに委譲しろと迫る。そこへアイーダ達も追いついた。その時ザンクト・ポルト上空のガビアルが何者かに撃沈された。月方向より所属不明の艦隊がMSを多数発進させ迫ってきたのだ。
- 謎の艦隊はノウトゥ・ドレット将軍の率いるトワサンガの強硬派勢力「ドレット軍」だった。アメリア軍は迎撃態勢に入る。ガランデンのアーミィはアメリアに共同戦線を張ろうと呼びかける。ベルリ、ノレド、ラライヤ、アイーダ、ケルベス、ルアンはガランデンに寄り、ベルリとノレドはマニィと久々に再会する。トワサンガ艦隊から交渉団の小艇がザンクト・ポルトへ向かい始めたが、クリムは投降に見せかけてトワサンガ艦隊旗艦を奇襲する作戦を立案・実行する。ミック、マスク、マスクの副官バララ、ベルリ、ルアン達が参加するが、怪しまれて失敗、撤退する。
- 交渉団は聖堂に到着し、トワサンガ軍は地球上の大陸間戦争の状況を鑑みて組織したもの。地球再建の為にはトワサンガ艦隊の港も必要。タワー侵略の意図はない。地球に禁制の技術を流布した亡命者の名簿を地球側でまとめて提出して欲しいと伝えてきた。アイーダはトワサンガの現状を自身らの目で直接確認すべきだと、ベルリらとトワサンガへ向かうことを決意する。
- 第14話 - 第15話
- 交渉団は聖堂でグシオン、ウィルミットとの会議を行い、トワサンガ政府から地球上の各国政府宛の要望書を提出、グシオン達は受領する。アイーダ、ノレド、ラライヤが見学し、記憶を取り戻したラライヤは交渉団3名の名前を語る。彼女はトワサンガの別の軍に居たという。クンパは部隊を補強するのでドレット将軍をザンクト・ポルトから離れた場所での戦闘で叩けとマスクに指示する。マスクはトワサンガ艦隊の混乱と陽動を狙って、投降すれば地球居住権を与える旨の通信筒をドレット艦隊の旗艦に撃ち込み、直後にガランデンを月へ向けて発進させる。サラマンドラとメガファウナがそれに続く。ドレット艦隊のMS部隊はしばらく追撃したが、その中の1名リンゴ・ロン・ジャマノッタは投降してベルリに捕えられる。
- ドレット艦隊のマッシュナー・ヒュームは地球艦はトワサンガ本国で拿捕が可能。自分達は増援部隊と共に次の「レコンギスタ作戦」を遂行するのだと語った。そのマッシュナーの艦クノッソスより支援機アリンカト2機に分乗したロックパイ・ゲティのMS小隊がメガファウナとサラマンドラの撃沈を狙い発進する。クリム達はMS隊で応戦出撃し、メガファウナは網によるバリアの敷設を行う一方、G-セルフにアサルトパックを装備させ出撃させる。ベルリがG-セルフ単独でロックパイ達をほぼ無力化し、撤退を始めさせた後、クリム達が逆追撃して撃退に成功する。この間ラライヤもリンゴの乗機だったモランを操り自らメガファウナを防衛した。
- メガファウナとサラマンドラはトワサンガの宙域に達し、ラライヤの水先案内でシラノ-5のサウスリングに寄航する。コロニー内部へ進入直後、クリム達はMSザックスに乗る本国守備隊のガヴァン・マグダラに取り押さえられてしまう。ラライヤ、ベルリ、アイーダ、ドニエル、ケルベス達は無事守備隊の目を逃れ、ラライヤの故郷の街郊外のモライの林に着く。ラライヤの隣人でレジスタンスのフラミニア・カッレ達が迎える。フラミニアはベルリとアイーダの姿に驚き、引き合わせたい人物がいると語る。
- 第16話 - 第18話
- ベルリ達はフラミニアにレジスタンスのリーダー、ロルッカ・ビスケスの家に案内され、ロルッカとミラジ・バルバロスに会う。二人はベルリとアイーダを「レイハントン家の皇子、皇女」と呼び、2人の生家であるレイハントン家の屋敷へと案内する。アイーダは屋敷の子供部屋で実の両親の写真を見つけ涙する。ロルッカとミラジはベルリとアイーダが実の姉弟であること、幼い頃にピアニ・カルータ大尉により地球へ亡命させられ、捨て子として処理されたこと、G-セルフは「YG-111」という制式名でロルッカ達がドレット軍用に製造し、事前偵察用機として採用されたこと、採用決定後にレイハントン家の遺伝形質を持った人間だけを生体認証するレイハントン・コードを追加実装したことなどを明かす。アイーダはロルッカとミラジに対し怒り、今後は自身で行動目的を決めていくと宣言する。
- トワサンガの政権と軍部はクリム・ニックがアメリア大統領の息子であることを知り、クリムを国賓待遇に変更し、サラマンドラをセンターリングへ迎え歓待した。また遅れて到着するアーミィのガランデンも歓迎しようとする。クンパやマスク、クリムもトワサンガの軍事力を取り込みたい意図で共通している。ベルリは周囲の制止を無視し、G-セルフ単独で接近中のガランデンへ意図確認に出向くが、ガヴァンのMS隊に発見される。ガヴァンはラライヤが帰還したものと思い問いかける。ベルリは応答できず怪しまれ、G-セルフはネットで捕縛され爆破されそうになる。ベルリは必死でネットから逃れ、ザックス数機を傷つけ撤退させる。ガヴァンはG-セルフの想定外の性能に驚く。
- サウスリングの農業ブロックの外壁がメンテナンス不良から剥がれ、大量の瓦礫や土砂が宇宙に流出した。アイーダの判断で、メガファウナはロルッカ、ミラジ、フラミニア達を乗せたまま出航し、瓦礫回収作業を手伝う。ドレット軍はG-セルフをアーミィ側に奪取したいクンパに実験機のMSビフロンを供与した。バララがビフロンの試運転に出かけ、マスクも付き添う。クリムは警戒してミックと共にマスク達を追う。ラライヤはレジスタンスから贈られたMSネオドゥで瓦礫撤去に向かおうとしたが、予期しない挙動により制御を失い、ビフロンと接触してしまい小競り合いとなる。これを発端にメガファウナのMS隊、ガランデンのMS隊、サラマンドラのMS隊は地球人同士で三つ巴の戦闘を始めた。そこにロックパイらトワサンガのMS隊が到着し、停戦し瓦礫撤去作業を行えと指示する。ロックパイはシラノ-5へ寄航中のヘルメス財団の艦艇カシーバ・ミコシやクレッセント・シップの機嫌を損ねる行為はトワサンガと地球のエネルギー供給が絶たれる危険を孕むと解説する。ベルリが先陣を切って瓦礫撤去作業を開始し、他の地球勢も競うように撤去作業を始めた。
- その最中、クンパはガランデンのランチでメガファウナに接舷して潜入しロルッカと会話する。クンパ・ルシータの本名は「ピアニ・カルータ」といい、かつてベルリとアイーダを地球に亡命させたトワサンガ人だった。クンパは政争の火種となるベルリとアイーダを再度呼び寄せたロルッカを非難し、ロルッカは地球の急激な技術進歩はクンパの所業だろうと非難する。クンパはアイーダにも見つかり、メガファウナから去る。
- アイーダは自分の役割について悩んだ後、生家とドレット家との争いの元となったヘルメス財団本拠地、金星軌道上にあるとされるスペースコロニー群であるビーナス・グロゥブを自身の目で確認したいと言い出す。G-セルフ奪取を狙い攻撃を仕掛けてくるトワサンガ軍、アーミィの追っ手から逃れるにも好都合なビーナス・グロゥブへ戻るクレッセント・シップへ逃げ込む計画を立てて実行に移す。
- メガファウナは安全のためカシーバ・ミコシを背にした近傍の宙域に停泊していたが、各々異なる思惑からG-セルフの奪取を狙うマスク、ガヴァン、ロックパイ、クリムのMS隊が来襲する。マニィはマスクのメガファウナへの潜入を手伝ったが、直後にMS戦が始まり、メガファウナの艦内に取り残される。メガファウナはクレッセント・シップに向けて発進し、G-セルフがMS隊を引きつけている間にクレッセント・シップ内側へ無事到着する。ベルリのG-セルフはロックパイのMSガイトラッシュの猛攻を受けるが、ビームマント発生器を破壊して辛くも撃退する。その後ベルリの持っていたGメタルを鍵としてクレッセント・シップのエンジン起動が促進され、ビーナス・グロゥブへ向けて出航する。クレッセント・シップのエンジンルームには、レイハントン家の紋章があり、ベルリはこの部屋でアイーダと共に亡き父母への思いを馳せ、自身を取り戻していった[16]。
- 第19話 - 第22話
- クレッセント・シップ艦長のエル・カインドは、「アグテックのタブー」で地球に高度な技術の開発や利用を禁止してきた理由を、かつての人類が大量消費と戦争で地球を住めなくしたからであると説明した。その代償としてヘルメス財団はエネルギー源のフォトン・バッテリーを無償で地球圏に供給を続けてきたとも解説する。アイーダはエネルギーの独占は悪であるとの自分の思想はアメリアで周囲から教えこまれたもので自身での判断ではなかったことに気づく。ベルリからの地球圏での戦争状態を止めて欲しいという願いや、カインドからの助言を受け、アイーダはグロゥブを治めるラ・グー総裁に会うことを決める。
- ビーナス・グロゥブが間近となった頃、「ジット団」と名乗るMS隊が出迎えの名目でクレッセント・シップに降り立つ。だが彼等は武力で船を占拠。呼応してフラミニアと助手のヤーンはG-セルフを強奪しようとする。二人もジット団のスパイだった。止めようとしたベルリは麻酔で眠らされ、メガファウナのクルーたちは全員軟禁、クレッセント・シップのクルーも人質にされてしまう。
- ジット団はキア・ムベッキをリーダーとする地球へのレコンギスタを主目的とするビーナス・グロゥブ内の新勢力だった。彼らはトワサンガのハザム政権とも協力関係を結んでいた。ジット団はクレッセント・シップの針路を彼らの基地ジット・ラボラトリィへ変更させたが、ビーナス・グロゥブの警察テン・ポリスのMS隊に見つかり咎められた。キアと部下達はテン・ポリス撃退のためMSで出撃する。この隙を突きメガファウナはクレッセントシップから脱出する。ベルリはG-セルフをフラミニア達から取り返し、キアのMS隊と対峙する。予想外の性能を示したG-セルフにキアは興味を抱き、鹵獲しようとMSジャイオーンで執拗にG-セルフを追撃するが、ジャイオーンのビームサーベル攻撃がコロニーの海洋を構成するシー・デスクに大穴を開けてしまう。とめどなく流れ出る大量の海水を前にキアは狼狽する。穴に飛び込んだジャイオーンをベルリが追い、キアの部下のMSも続く。
- 一方メガファウナはジット・ラボでアイーダ、ラライヤ、ノレド、マニィ、リンゴ、ケルベス達を降ろした後、首都ロザリオ・テンへと向かった。マニィとノレドはジット・ラボで新型MSのG-ルシファーを鹵獲する。キアはラボから組み立途中の大型MAコンキュデベヌスを持ち出し、ジャイオーンとドッキングして再度ベルリに挑むが、海水流出による環境破壊の進行を看過ごせず、戦闘を中断して、コンキュデベヌスの機体で穴を塞ごうと自沈させる。部下のクン・スーンはキアを助けようとMAジロッドで後を追ったが、救助を拒むキアはレコンギスタの完遂を部下に託して浸水する機体と運命を共にした。悔しさを噛みしめクンはポッドで脱出する。2機のMAによって海底の穴は塞がれた。ベルリたちはロザリオ・テンに集合し、若々しい容姿のラ・グー総裁と面会する。ラ・グーは一行を歓待しつつ、ジット団を止められなかった管理不行き届きなどを詫び、長い年月で人心が変わってきている事、ビーナス・グロゥブで発生する「ムタチオン(突然変異)」への絶望からレコンギスタを望む層が生まれたのだと明かす。ラ・グーはムタチオンにより200年近く生きていると告げた。
- メガファウナのクルーを招待しての昼食の後、ラ・グーはアイーダと改めて面談する。フォトン・バッテリーの集合体であるビーナス・グロゥブは、地球圏が真に枯渇する将来が訪れた時に、地球を丸ごと隣の若い銀河に移動[8] させるための物で、それを実現するには球全体をフォトン・バッテリーで充たした状態の物が、あと3つは必要とラ・グーは語る。
- だが、その高い理想のために集ったビーナス・グロゥブの民であっても、たった数百年で当初の理想を忘れ、困難に絶望し、ピアニ・カルータやジット団のような地球へ戻ろうとする勢力を生んでしまったこと。それらを鑑みてより一層、高度な技術は地球圏の人々からは隠匿すべきだと考えてきたのだと語る。アイーダは絶望の理由を問う。ラ・グーは身体劣化の病「ムタチオン」の実情をラ・グー自身の身体でアイーダに見せる。アイーダは驚愕しつつその姿を受け止め、正しい人の在り方についてより深く考えていく。
- ジット団はキア・ムベッキを弔いつつレコンギスタ作戦を発動、制止するテン・ポリスをフルムーン・シップからのビーム射撃やクンの新MSマズラスター他のMS隊での攻撃で実力で排除して、地球へと出発する。それを追ってクレッセント・シップとメガファウナも、ジット・ラボの新武装、新MS・新MAを載せて地球へと出発する。ジット・ラボのエンジニア達や数名のテン・ポリスも旅に加わった。
- 地球周回軌道まで帰還したベルリ達はアーミィの基地になった第3ナットの偵察に向かうが、ベッカーのウーシァ部隊より攻撃を受ける。ベルリはビーナス・グロゥブで得た、これまでの6つのバックパックの機能をすべて包含するバックパック「パーフェクトパック」の独自武装フォトン・トルピードを試射して反撃した。たった一射で敵部隊を壊滅させたその威力にベルリは恐怖する。第3ナットに着いたベルリ達はアーミィの新造戦艦ブルジンを見る。ベルリはウィルミットと久々に対面する。ジュガンとクンパはベルリ達に、ドレット軍がカシーバ・ミコシを占拠しゲル法皇を人質にした事件が起きたこと、それをマスクが解放したことなどを解説する。トワサンガで歩み寄りを見せたアーミィとドレット軍は決裂していた[26]。ジュガンは紛争勝利のため、G-セルフをアーミィ戦力に組み込み、アイーダは人質にすると述べるが、ベルリ達はウィルミットの反対を傘にして第3ナットを脱出する。ベルリは職務のみに没頭し、息子の動静に無頓着なウィルミットに落胆して愚痴をこぼすが、アイーダらに励まされ、ベルリも誇りに思える母だと気を取り直す。ビーナス・グロゥブまでベルリらに同行していたマニィは、ジット・ラボから入手したMAジーラッハでメガファウナを離れ、ガランデンへ帰投、マスクと再会する。
- 第23話 - 第26話(最終話)
- ベルリ達はアメリア艦隊のグシオン総監を訪ねる。グシオンもまた、メガファウナとG-セルフとをアメリア軍へ編入し、自戦力として使いたい意向を示すが、ベルリは地球の誰かの命令で戦うのは嫌だと述べ、アイーダとノレドはそれがメガファウナの総意だと補足する。アイーダはグシオンに育ててくれた感謝を伝え、出来ることは協力はするが、メガファウナは独自に地球圏の争乱の収拾のため行動すると伝え、軍編入を固辞した。
- その後、アーミィのベッカーのウーシァ部隊と、ドレット軍のロックパイが駆るガイドラッシュ率いる部隊の交戦にベルリらは遭遇する。それを止めようと、その戦場の中心となっていたガイドラッシュを、パーフェクトパックの力を駆使して撃墜するベルリ。パーフェクトパックの絶大な力を扱う者としての責任を抱え込みすぎるベルリを、G-ルシファーを操縦するラライヤとノレドは叱ってみせた。
- 各勢力が最終決戦に向けて準備を整える。アメリア軍のクリムにはジット・ラボ製の強襲MSダハックをコアユニットとする新型MAダーマ、ミックにも同じくジット・ラボ製の新型MSトリニティが、ロルッカとミラジの手によって渡る。アーミィのマスク部隊はジット団のフルムーン・シップと接触、ジット団もレコンギスタを円滑に進めるため、互いの利害が一致し同盟を組む。マニィはマスクにベルリと友達になって欲しいと懇願するが、ベルリはレイハントン家の子供だったとの説明に、マスクはより一層ベルリを生まれながらの権力者で“独裁者”に成りかねない危険な存在だと、警戒と敵意とを強めてしまう。マニィは説得を諦め、ルインのために共にベルリと戦うことを決意する。
- アメリア軍のグシオンは、クリムに反対されるも、事態の更なる悪化を防ぐため、ドレット軍との休戦協定の会合を開こうとしていた。帰還したマニィにマスクの横を譲ったバララは表面上は潔く冷静さを装うも、ジット団から提供されたMAユグドラシルで出撃し、その鬱憤をぶつけるかの如く、凄まじい火力で休戦協定の会合を開こうとしていたアメリア艦隊とドレット艦隊を壊滅させ、ドレット軍の旗艦ギニアビザウにいたドレット、アメリア軍の旗艦ラトルパイソンにいたグシオンも命を落とす。多くの命を奪うユグドラシルを阻止せんとメガファウナも参戦、アイーダは新装備を施したG-アルケイン フルドレスで出撃する。G-ルシファーとG-アルケイン フルドレスが活路を拓き、G-セルフ パーフェクトパックが懐に入り込む、三機の連携による活躍でユグドラシルは撃破された。撃破後、休戦を信じていた父の死に悲嘆に暮れるアイーダを見て、ユグドラシルのような大量破壊兵器を戦場に送り込むマスクの存在を危険視するベルリであった。
- マスクが駆るジット団より譲渡された最新型のG系統MS「カバカーリー」によって、唯一生き残っていたマッシュナーの艦も撃沈されたことでドレット軍は壊滅。戦場に残ったのはアーミィとジット団の連合軍、グシオンに代わってクリムが率いるアメリア軍、その争いを止めようとするベルリらメガファウナの海賊部隊の三勢力となった。最終決戦は大気圏上層での戦いとなり、地球の重力に引かれ、戦いはより混戦の色合いを強める。ベルリのG-セルフもマスクのカバカーリーとマニィのジーラッハの襲撃を受ける。クリムらの母艦サラマンドラが艦の機能を過信しすぎて操艦を誤り大気圏突入を失敗する中、大気圏を無事突破した各勢力の兵士たちの眼前には、ギアナ高地の広大な大地が広がっていた。
- そこに漁夫の利を得ようと、ズッキーニ大統領が派遣した新たなアメリア軍までが参戦。乱戦の中、クリムとミックはジット団のチッカラとクンと対決、死闘の末この勝負を制する。アーミィを指揮するジュガンや、このレコンギスタにまつわる争乱の根源を作った黒幕クンパはその戦火の最中で死亡する。戦いをやめさせようと戦場を駆けるベルリだったが、単機での大気圏突破と、ジット・ラボ製MSの想像以上の戦闘力にG-セルフの高圧縮バッテリーであってもエネルギーが底を尽きつつあった。その状況下で戦闘を沈静化させるためには、この戦場で一番大きなフォトン・エネルギーを持つ機体を撃墜することに尽力しようとフォトン・サーチャーを発動する。その反応の先にいたマスクが駆るカバカーリーと再び遭遇、決戦となる。壮絶な一騎討ちの末、G-セルフとカバカーリーは相討ちとなるも、パイロットのベルリとマスクは互いに無事生き残る。ラライヤたちメガファウナの海賊部隊の奮戦もあり、ようやく沈静化していく戦場。ベルリとマスクの決着を見届け、アイーダが停戦と負傷者らの救助を宣言、戦いは終結した。
- その戦いからしばらくの時が流れ、ビーナス・グロゥブに帰る前に地球一周旅行をするクレッセント・シップとそれに同乗するアイーダらメガファウナの面々。それを遠くから見送るルインとマニィの姿もあった。それぞれが新たな道を見い出す中、ベルリは一人でクレッセント・シップから日本に降り、自身の目で本当の意味で世界を知るために、シャンクによる地球一周に旅立ち、富士山から世界へと駆け出していった。
作品設定・用語
世界観・歴史
- リギルド・センチュリー(Regild Century)
- 『機動戦士ガンダム』などの物語の舞台であった「宇宙世紀」の後に制定された年号[27]。略称は「R.C.」。「リギルド」は「再鍍金」の意味で、虚飾にまみれた大人たちの世界の鍍金を、若者たちが剥がして新たな世界を築いていくという含意からきている[12]。
- 本作の物語は、改号から10世紀以上が経過し、宇宙世紀時代の記憶も薄れたR.C.1014年が舞台となる。宇宙世紀が何世紀まで続いたのかは不明だが、劇中では「宇宙世紀を含めて2000年を越す歴史」がある旨の台詞がある[28]。
- R.C.の世界では、宇宙世紀時代の技術体系を進歩させることは「アグテックのタブー」として禁忌とされているが、あくまでそれ以上の技術の「進歩」が禁止されているのであって、在来の技術自体は存続し使用されている。
- クンタラ
- 宇宙世紀末期、地球規模の食糧難に一部の特権階級に「代用食」として食された下級階層民、及びその末裔を指す蔑称[12]。本編の時代では幾分薄れてきているものの、依然要職につけないなど差別と偏見が残っている[29]。「人の食い物にされるような劣った人々」という婉曲な表現で語られる場合もある[12]。
- 富野由悠季によれば、作品内でそれら過去の事象に詳しくは触れないが[30]、クンタラ出身の登場人物達のキャラクターには強く反映されている。ネーミングは敢えて強い違和感を抱かせるように創作したとのこと[6]。
- スコード教
- キャピタル・テリトリィを中心に世界中で信仰されている宗教。フォトン・バッテリーを宇宙からもたらすキャピタル・タワーを神聖視している[27]。地球の信仰者は教義「アグテックのタブー」を遵守しており、その違反や聖地を汚すような行為には「祟り」があると信じている。
- 劇中、登場人物が窮地に陥った際に「スコード!」や「オーマイスコード!」などと叫ぶ描写があるが、これは「南無三!」「神様!」「ジーザス!」「オーマイゴッド!」などに相当するような祈りの言葉である[16][29]。また、第4話でG-セルフは、ベルリのこの祈りに呼応するかのように未知の力場を発生させ敵を退けた。「スコード」という言葉は挨拶符牒としても使われ、信仰者同士は互いに右手を挙げ「スコード」と挨拶する。
- ピアニ・カルータ事件
- かつてビーナス・グロゥブにて、ピアニ・カルータが起こした事件。ビーナス・グロゥブ生まれの人間の一部に発生する突然変異「ムタチオン」に絶望し、人間は「弱肉強食」という動物としての本来の在り方に戻るべきと説き、戦うことによって、人間本来の生命力を取り戻そうと、人々に「レコンギスタ」の必然性を提示した[16]。
- レコンギスタ
- 宇宙環境での過酷な生活と、上記のピアニ・カルータ事件などから、宇宙世紀終焉からリギルド・センチュリーに至るまでの長い間、宇宙に住むことを余儀なくされてきた人々が、地球の大地への帰還・移民を望む思想・活動、及びそれを実現させるための作戦を称して「レコンギスタ」と呼ぶ。月のトワサンガのドレット軍、金星方面のビーナス・グロゥブのジット団など勢力こそ違うが、両者とも等しくレコンギスタを掲げている[16]。テレビシリーズ終盤の第22話以降、ドレット軍、ジット団の両陣営共に「レコンギスタ作戦」を実行に移す。
国家・組織・施設
本作の主な舞台は、地球上のキャピタル・タワー周辺の都市国家「キャピタル・テリトリィ」とそれに敵対しつつある大陸国家「アメリア」、月の裏側の宙域のスペースコロニー国家「トワサンガ」、金星方面宙域のスペースコロニー国家「ビーナス・グロゥブ」の4つの国家となる。各国家もいわゆる“保守派”と“改革派”(例を挙げると【キャピタル・テリトリィ⇒キャピタル・ガードとキャピタル・アーミィ】、【トワサンガ⇒本国守備隊とドレット軍】、【ビーナス・グロゥブ⇒テン・ポリスとジット団】など)がいるなど、単純に一枚岩ではない。
主立って戦闘を繰り広げ、劇中の最終決戦まで絡む組織は、4つの国家それぞれの“改革派”である「キャピタル・アーミィ」、「アメリア軍」、「ドレット軍」、「ジット団」の4つの勢力である。主人公のベルリとアイーダが属する「海賊部隊」は、本来アメリア軍の秘密独立部隊であったが、旅をするうちに4つの国家それぞれの穏健派な人々が乗り合わせる中立的な立場となり[26]、戦争を防ごうと奔走する。
- キャピタル・テリトリィ
- ベルリたちの住んでいた都市国家。赤道直下のエルライド大陸北部、カリブ海からアマゾン川流域に至る国土を持ち、キャピタル・タワーの存在によって繁栄を極めている。現在の国家元首はビルギーズ・シバ。
- キャピタル・ガード
- キャピタル・タワーの防衛と保守点検、クラウン運行の安全確保を目的とした警備的自衛組織。トップはタワーの運行長官であるウィルミット・ゼナム。
- キャピタル・アーミィ
- キャピタル・ガードからの引き抜きと新規の募集を行い設立されたキャピタル・テリトリィの新軍組織。大陸間戦争を続けているアメリア軍・ゴンドワン軍などからの侵略を想定して設立された[27]。スコード教の禁忌に触れているかと思える新型武装の導入運用に積極的でウィルミットは危険視しているが、法皇は一応タブーは守られていると認めている。トップはジュガン・マインストロン司令。
- なお、引き抜き派と新規派には、士気や錬度でかなりの差がある。
- セントフラワー学園
- キャピタルの学校。劇中にはノレドやマニィが所属するチアリーディング部が登場する。
- キャピタル・タワー
- キャピタル・テリトリィの中心部に存在する軌道エレベータ。宇宙世紀時代に建設されたエレベータを基に大規模改装を施している[27]。宇宙からもたらされるフォトン・バッテリーを運ぶ世界唯一の施設で、神聖視されている。全長8万km。4線の並列構成になっている。基本的な原動力は、地球の存在そのものがバッテリーになっている。これは、人工的なエネルギーを供給して維持できるほど、簡単なシステムではないため[6]。
- ビクローバー
- キャピタル・タワーの地上側発着施設。4つのブロックに分かれており、ベルリたちが通うキャピタル・ガード養成学校を始め、セントフラワー学園、空港など様々な都市施設が存在している。
- ザンクト・ポルト
- キャピタル・タワーの最上部施設でトワサンガから運ばれるフォトン・バッテリーの積み下ろし港、スコード教最大の聖域[27]。
- ナット
- キャピタル・タワーの途中に設けられている多数の宇宙ステーション。正式144基の他、高度約300km地点に事前工事用衛星を基にした「アンダーナット」がある。標準サイズは直径1300m、高さ400m以内でケーブルに固定された駅施設部と、回転する外周リング部に分かれる。ケーブル間に発生させたMMFという場の力によりケーブルの指定位置に固定され、ミノフスキー・クラフトで滞空している[27]。
- クラウン
- キャピタル・タワー内を往還するゴンドラ。1ユニットの高さは約60メートル。球形の荷台部の上下にボーディング・ブリッジと連結器が、下部にミノフスキー・クラフトを備える。3本のアームでケーブルを掴みMMFと呼ばれる場の力で上下移動する[27]。鉄道車両のように客車や貨物用など用途別のユニットを連結し編成を構成して運用する。
- アメリア
- エルライド大陸の北側、かつて北米と呼ばれた地域に位置する大陸国家。ゴンドワンと敵対している。また、主要な都市としてニューアークがある。大統領を国家元首とするので共和制のはずだが、劇中の大統領ズッキーニ・ニッキーニ[27] は自国の国号を「アメリア帝国」と呼んでいる。また、軍の最高指揮権(統帥権)は大統領ではなく総監が有しており、これをさしおくと大統領といえど「統帥権の侵害」となる。キャピタルによるエネルギー配給の独占を悪とみなし、自国による管理およびエネルギー生産や流通の自由化実現を志向している。第8話・第13話によると大陸国家ゴンドワンと10年(第6話では20年とも)もの間、大陸間戦争を起こしているため、平穏な時代が続いていた本作の世界観の中では、軍の戦闘経験には長けている。
- 『∀ガンダム』にも同名の大陸が登場する。
- 海賊部隊
- 「宇宙海賊」とも呼称される、アメリア軍の秘密独立部隊[27]。宇宙戦艦メガファウナやMSグリモア等を運用し、タワーからのフォトン・バッテリー強奪や諜報活動を行っていた[27]。
- アメリア軍の諜報部隊ではあるが、表向きは軍属ではなくあくまで“宇宙海賊”という立場を取っていた。軍令行動時以外は、アイーダの意見を基に独自裁量的に行動している。
- ビーナス・グロゥブへの旅をする過程で、キャピタル・ガードやトワサンガのレジスタンス、ドレット軍からの脱走兵や捕虜、アーミィの兵、ビーナス・グロゥブの客人等様々な出自の人間が乗り合わせ共棲する艦となった。各陣営からの様々な人材が無差別に寄り集まり、中立性を保っている[26]。地球圏へ帰還後の第23話で、グシオンはメガファウナをアメリア宇宙艦隊へ移籍させる意向を示すが、アイーダらはそれを拒み、艦隊へ協力はするが単独で地球圏の争乱収束のための行動をとる旨を伝えた。
- ビクエスト島
- 海賊部隊の基地となっているカリブ海の島。アメリアの「カリブ海洋研究所」が置かれている。研究所の脇の岩山内が洞窟状のドックとなっている。
- ゴンドワン
- アメリアの東方、キャピタルの北東、かつての欧州地域にある大陸国家。アメリアと敵対している[27]。
- 第8話・第13話によるとアメリアと10年(第6話では20年とも)もの間、大陸間戦争を起こしている他、キャピタル・アーミィとは協力関係にあり戦艦ガランデンの調達先としてその名前が挙がるが、劇中、話題には挙がるもののその国自体は一度も登場せず、人物も一部がガランデンの運用クルーとして登場するのみ。
- トワサンガ
- 月の裏側のスペースコロニー群からなる国家。地球では近年の会議でようやく存在が公然化した。宇宙世紀以来の2000年以上の歴史を持つ。宇宙世紀時代、ジオン公国のサイド3が存在した宙域でもある[16]。
- 現在の「ハザム政権」は、ドレット家がレイハントン王家を倒して擁立した傀儡政権。ただし「レコンギスタ」政策自体は民意を強く反映したものである[13]。
- シラノ-5
- 2つの採掘用小惑星間を円柱状の構造物で接続した形状の複合コロニー。円柱に沿い5つのリング状コロニーを持ち、最北側リングをノースリング、最南側をサウスリング、3番目のリングをセンターリングと呼称する。センターリングにはドレット艦隊の基地のアパッチ軍港があり、ドレット軍の中枢となっている[16]。クンパによれば「シラノ」の名称は小惑星の形状がシラノ・ド・ベルジュラックの鼻に似ているからとの事。
- 前身は、宇宙世紀時代の資源衛星「ルナツー」であり、採掘により現在の姿となった[31]。
- ドレット家
- トワサンガの軍人家系。10数年前のクーデターで王家のレイハントン家を滅ぼして台頭した[27]。地球へ帰還する「レコンギスタ作戦」の実行とフォトン・バッテリー技術のヘルメス財団からの解放を主張し、自ら遂行しようとしている。現在の当主はノウトゥ・ドレット。
- ドレット軍
- ドレット家が組織した軍。地球の艦隊行動を察知し、トワサンガ政府の意向を地球側へ伝える名目でザンクト・ポルトに急遽赴いた。地球へ帰還する「レコンギスタ作戦」遂行を目的としている。
- 一時期キャピタル・アーミィとは、レコンギスタを円滑に進めるため、実験機MSビフロンを貸与するほど懇意にしていたが、ベルリらがビーナス・グロゥブまで旅に出ている間にドレット軍が起こした、カシーバ・ミコシを占領してゲル法皇を人質とする事件が決定打となり、その協力関係は解消された[26]。
- レイハントン家
- ヘルメス財団とも繋がりの深い[13] トワサンガの元王家。宇宙世紀時代からの技術を継承・管理していた。ドレット家の主張するレコンギスタの実行やフォトン・バッテリー技術の解放には反対の立場を取っていたが、クーデターによって滅びる[13][27]。シラノ-5のサウスリングに領地を持ち、ベルリとアイーダの生家も在る。
- トワサンガ本国守備隊
- トワサンガ本国の治安維持と防衛を目的とした軍組織。トワサンガ政府を事実上支配しつつあるドレット軍とは折り合いが悪い。ガヴァン・マグダラの率いるMSザックスのみで構成された精鋭部隊は「ザックス兵団」という別称を持つ[12]。
- レジスタンス
- 政策化されてしまったレコンギスタ作戦に反対する人達。レイハントン家の元家臣や領地民が参加している。
- ビーナス・グロゥブ
- 金星近傍宙域にあるとされた巨大な球状のフォトン・バッテリーの集合体とそれに付随する「オーシャン・リング」と呼ばれるスペースコロニー群の総称[27]。それらを管理するヘルメス財団のトップはラ・グー総裁。実際には金星方面にあるだけで、金星宙域にある訳ではないとのこと(富野由悠季曰く「イメージとしては月のちょっと先」)[17]。
- コロニー部は直径100km、水深150mの海を持つ「シー・デスク」[32] と呼称する円盤型のコロニーを6つ接続した円環構造で、環の中心には資源採掘小惑星がある。この全体を「オーシャン・リング」と呼ぶ。
- 球状のフォトン・バッテリー集合体は本物語では4対のバッテリー群の環で構成されており、エル・カインドによれば直径は月と同程度で「ビーナス・リング」と呼ばれる。
- 月ほどの大きさにまでフォトン・バッテリーを貯蔵しているのは、将来的に地球圏が枯渇するほどの危機的状況が訪れた際、地球を若い銀河に丸ごと移動させるため、いわゆる「ダイソン球」を完成させるという壮大な計画の実現を目指してのもの[8]。
- ロザリオ・テン
- ビーナス・グロゥブの首都。フォトン・バッテリーの生産拠点でもある。どれ位の期間、地球の人々の復興のために従事してきたのか正確には不明だが、劇中「1000年の夢」という台詞がある[33]。
- ヘルメス財団
- フォトン・バッテリーや水の玉、空気の玉などの生産・供給を管理している財団。トワサンガで創設されたが、現在はビーナス・グロゥブを拠点とする[27]。
- フォトン・バッテリーの供給システム、スコード教、アグテックのタブーを考案した組織[13]。旧来のエネルギーでは限界を察し、宇宙世紀の度重なる戦争で傷付いた地球の再生のため、過酷な環境である金星まで出向き、自身らを犠牲にしてフォトン・バッテリーを開発・製造した。
- 争いが起きぬように「スコード教」や「アグテックのタブー」を作り、それらによって自身らを神聖視させることで、権力とは切り離した不可侵な存在として、地球人が戦争を起こさずに地球を復興できる程度にフォトン・バッテリーを供給し、星を再生させようとした[13]。
- それから1000年経ち、ヘルメス財団を多くの人々が“天上人”と認識してはいるものの、その創設目的はトワサンガの人々ですら忘れてしまっており、それが「レコンギスタ」を引き起こす要因となった[13]。
- テン・ポリス
- ロザリオ・テンの自警組織。その練度は低い。
- ジット・ラボラトリィ
- ビーナス・グロゥブの技術保全局。宇宙世紀の技術を研究しており[26]、G系統の機体や各種MS、モビルアーマー (MA)の開発・製造を行っている。
- ジット団
- ビーナス・グロゥブから地球への帰還(レコンギスタ)を望んでいる一団の名称。リーダーはキア・ムベッキ[34]。
- 宇宙世紀の技術を研究するうち、穏健なラ・グー総裁の意に反して地球へのレコンギスタを実行しようとする[26]。リーダーのキアら主要メンバーを始め、その多くがジット・ラボラトリィの中の地球へのレコンギスタを宿願とする者たちで構成されるが、クレッセント・シップの乗組員から離反して参加した者たちなど、ラボの研究員以外のレコンギスタを熱望するビーナス・グロゥブ出身者らも参加している。戦争に憧れている者も多い[26]。リーダーのキアを喪うもフルムーン・シップで地球圏へ飛来し、キャピタル・アーミィと手を組む。
- ギアナ高地
- キャピタル・テリトリィの北部にある、テレビシリーズにおける最終決戦の舞台となった場所。
- テーブル台地と呼ばれる独特の地形で、周囲から隔絶された場所となっており豊かな生態系を残す。宇宙世紀には近郊一帯が地上、地下を問わず軍事基地化され、激しい戦争の舞台となったと言われている[35]。
- 三つ富士
- レコンギスタにまつわる一連の騒乱の終結後、G-セルフのパイロットとしての責務から解放されたベルリが、世界一周の旅の出発点に選んだ国・日本の一番高い山の通称。リギルド・センチュリーの時代の富士山は噴火活動によりその姿を変え、3つの頂を持つ山に変化している[36]。なお、テレビ本放送時には、監督の演出意図が現場に伝わっておらず三つの峰が離れて中央が現代の富士山に近い形になっていたため、ブルーレイ版では富士山とかけ離れた稜線に修正されている[17]。
技術・兵器
- フォトン・バッテリー
- 本作で用いられている共通のエネルギー源。ビーナス・グロゥブでのみ製造できる、光を圧縮して貯め込んだ[8] エネルギーを内包すると言われている。
- その構造は、製造しているヘルメス財団の人間以外には全くのブラックボックスで、詳細な構成物質や原理は不明。分解は「アグテックのタブー」で禁止されており、なおかつ無理に分解すると爆発を起こす構造となっており、地球圏の者には事実上分解や解析は不可能[27]。
- 宇宙よりキャピタル・タワーを経由して、地球上の各国へ一元的に統制配給されている。ビーナス・グロゥブで生産され、ヘルメス財団の船で月のトワサンガを経由して、地球へ無償配給されていることが徐々に明かされた。
- 水の玉、空気の玉
- 大量の水または空気を特殊な圧縮技術で球形の小容器に収納し携行できるようにしたもの。宇宙服やMSに組み込んで使用する。玉の中の水に魚などを泳がせたまま収納することも可能。第5話に登場した玉の直径は登場人物の掌よりやや大きく、表面に「W」、空気の玉を6つ収めた保管ケースには「TYPE ∀ BALL」と記載されていた。見た目通りの人間が持ち運びできる重さだが、水の玉が破壊された際には質量保存の法則を無視してMSを覆うほどの大量の水が中からあふれ出ている[40]。フォトン・バッテリー同様ビーナス・グロゥブから地球に持ち込まれたものである。
- ユニバーサル・スタンダード
- メカニズムの統一規格。MSに限らず、様々な機器の多くが、国家を問わず同じ規格で作られ、簡便に操作や整備ができる。この場合の「ユニバーサル」は「宇宙世紀(ユニバーサル・センチュリー)」ではなく、「普遍的な」の意[16]。
- ヘルメスの薔薇の設計図
- ビーナス・グロゥブより持ち出された、禁忌とされる宇宙世紀時代の技術遺産の総称[16]。高度な技術が記されており、これを基に作られた機体は制作者にも、その真の能力は分からない。地上の各勢力の新型の機体や武装、戦艦はこのデータ内の設計図を元に製造されている。
- ロザリオ・テンに刻印された薔薇のレリーフがその名の由来で、ヘルメスは天文・錬金術などを司る神[16]。
- G系統
- ヘルメスの薔薇の設計図の「G項目」にある[13] 設計図により製造された機体の総称。他のMSを圧倒する程の高性能が特徴。この「G」とは、基本設計が宇宙世紀時代の「ガンダムタイプ」に由来していることからと言われている[16]。そのためか一部のG系統MSには、ガンダムタイプに似た頭部形状が見られる。
- シャンク
- 二足歩行する車輌。マニピュレーターを備えた機種もある。ジャンプして着地するといったダイナミックな操縦も可能。
- 大気圏グライダー
- 大気圏に突入降下できる3座席の小型往還機。キャピタル・タワーのナットに配備されている。
- 接触回線
- 宇宙服のヘルメットやMSの装甲を直接接触させることで物体の振動から音声会話ができる。通称「お肌の触れ合い回線[27]」。
- MS内トイレ
- 本作に登場する全MSのパイロットシートがバキュームトイレの機能を備えており、座席シートを跳ね上げて洋式トイレのように使用する。それに対応して、宇宙服やパイロットスーツは用を足せるように尻の部分まで開くようにデザインをされている[41]。G-セルフのトイレは用を足すと自動的に音楽が流れるようになっている。
その他の用語
- ムタチオン
- ビーナス・グロゥブ生まれの人間の一部に発生する突然変異[27]。低重力や宇宙線の被爆などの環境に置かれる地球圏外の宇宙空間、およびスペースコロニーでの生活によって、人間の遺伝子が変質し突然変異を起こす症例を指す[38]。非常に長寿であるが小人症で、普段は「ボディースーツ」と呼ぶパワードスーツを衣服下に装着して身体サイズを補正し、活動を補助している。科学技術の進歩で長寿を獲得したが、生物としての活力が低下した存在と認識されている[16]。作品中ではラ・グー総裁とフラミニアがムタチオンとして描かれた[12][16]。
- リギルド・センチュリーが始まって1000年が経ち、人間本来と異なる身体に変容し始めた事実が、地球への望郷の念を募らせ、レコンギスタ作戦を望む人々が増加したのは自然な流れであった[38]。
- プロデューサーの小形尚弘によると、ムタチオンは宇宙線の侵された身体を進歩した医療技術で保っている状態とのこと。これは、人の活動範囲が金星まで進歩すれば宇宙線に被爆する危険が生まれるなど、人間の手に余る制御できない域までの科学技術の発展にはリスクが伴うということ、技術が人間の手を離れて一人歩きしていくことの恐ろしさを表しているという[42]。
- ^ 第2話と第13話はアイキャッチなし。
- ^ 後に全24話の『水星の魔女』が最短話数記録を更新する。
- ^ 引用元で富野はカットに目配りすることを「自分の精液を振り撒く」と卑語を用いた言い回しで表現している[23]。
- ^ 公式ホームページでは「贈った」と書かれているが、ベルリは入隊前なのでまだノレドの物であると第3話で説明された。
- ^ テレビアニメ劇中では「イテッ」(第3話・第14話・第21話・第22話)や「キケン!キケン!」(第9話)、「ハハハハハハ」(第14話)など感情豊かにしゃべることもあるノベルだか、声を担当している高垣彩陽は「今までのハロとは違ってハロビー(ノベル)は表情があり、ロボット的な無機質さを含めつつ、自分なりにこうかな?とイメージした通りに演じたら指摘を受けることなくうまくいったので、その後は、端に映り込んでいたらアドリブを入れたりと自由に演じさせてもらった。」と述べている[25]。ただ、本人はマニーと兼役でノベルを演じることは台本を見るまで知らなかったということも述べている[25]。また、ノベルの声については加工はしていないと述べている[16]。
- ^ 『ガンダム Gのレコンギスタ 完結記念ナイト』にて、「この時彼は無事だったのか?」と質問された際、監督の富野は「彼は殺しても、死なないような男です」と答えた。
- ^ ゲーム『ガンダムトライエイジ』では、巨大化したようなシルエットで機体を包んでその状態で敵機を殴り飛ばす、G-セルフ(トリッキーパック)の必殺技「レコンギスタ・イン・トリッキー」にて使用している。
- ^ ゲーム『ガンダムトライエイジ』では、大型ビーム・サーベルを展開して敵に突進し、すれ違いざまに斬り裂く、G-セルフ(アサルトパック)の必殺技「レコンギスタ・イン・アサルト」にて使用している。
- ^ 劇中では「トラック・フィン」と呼称していたが、1/144スケールプラモデル「HGRC ガンダム G-セルフ(パーフェクトパック装備型)」組立説明書では「トラフィック・フィン」と記述。設定画では「イリュージョン・バード」とも記載されている。
- ^ 劇中では拡散ビームは未使用。切り換えには専用弾のマガジンへの交換が必要。
- ^ ロックパイ機だけではなく、第15話においてラライヤが乗ったリンゴ機が使用する描写がある。
- ^ 資料によっては「トリプレット」とも表記されている。
- ^ 無彩色での保存状態であり、稼働するのかは不明。
- ^ 第13話まで。
- ^ 第14話以降。
- ^ 放映時は松尾衡の単独表記。
- ^ BS-TBSでの本放送途中で実質再放送を行うのは珍しい事例である。
- ^ 放送開始に先駆けて、2015年2月17日 - 2月21日 火曜 - 土曜0:10(月曜深夜 - 金曜深夜)より第1話から第5話までを先行放送(リピート放送あり)。
- ガンダム Gのレコンギスタのページへのリンク