ガンダム Gのレコンギスタ
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ガンダム Gのレコンギスタ | |
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ジャンル | ロボット、ガンダムシリーズ |
アニメ | |
原作 | 矢立肇、富野由悠季 |
総監督 | 富野由悠季 |
脚本 | 富野由悠季 |
キャラクターデザイン | 吉田健一 |
メカニックデザイン | 安田朗、形部一平、山根公利 |
音楽 | 菅野祐悟 |
アニメーション制作 | サンライズ |
製作 | サンライズ、MBS |
放送局 | MBS・TBSほか |
放送期間 | 2014年10月 - 2015年3月 |
話数 | 全26話 |
漫画 | |
原作・原案など | 富野由悠季 |
作画 | 太田多門 |
出版社 | KADOKAWA |
掲載誌 | 月刊ガンダムエース |
レーベル | カドカワコミックス・エース |
発表号 | 2014年10月号 - |
巻数 | 既刊5巻(2017年5月現在) |
テンプレート - ノート | |
プロジェクト | アニメ、漫画 |
ポータル | アニメ、漫画 |
概要
富野由悠季が『∀ガンダム』以来15年ぶり、短編CG作品を含めると『リング・オブ・ガンダム』以来5年ぶりに「ガンダムシリーズ」の制作に携わった、テレビシリーズアニメ作品。
物語の舞台は『機動戦士ガンダム』などの「宇宙世紀」の延長上の未来「リギルド・センチュリー」で、機動兵器「モビルスーツ(MS)」や「ミノフスキー粒子」など宇宙世紀シリーズと共通の技術や設定が登場する。
複数の新作ガンダム作品のテレビシリーズを同時期に放映するのは2004年以来であり、本作の放送開始と同時にTXN系で別のガンダム作品『ガンダムビルドファイターズトライ』(『GBF-T』)が本放送を開始した。新作ガンダムの同時期展開を記念して、2014年12月には『Gのコラボレーション トライキャンペーン』と題した両作品の登場人物共演によるコラボレーションCMが流された。
アイキャッチで、登場人物が躍るダンスは、富野由悠季の次女でダンサーの富野幸緒が振付けている[注 1]。
本放送の際には字幕放送を実施しており、主人公のベルリは黄色、ヒロインのアイーダは水色、その他の人物は白色で表記される。
制作略歴
『ガンダムエース』2010年12月号にて本作のプロトタイプ[3]となった富野由悠季による未完の小説「はじめたいキャピタルGの物語」が掲載された。
2014年3月20日に開催された機動戦士ガンダム生誕35周年イベント「RISE! 世界は動いている」にて、「機動戦士ガンダム35周年プロジェクト」と銘打って『機動戦士ガンダム THE ORIGIN I 青い瞳のキャスバル』ともに発表された[4]。テレビ放送に先駆け、第1話から第3話の先行劇場公開や、dアニメストアでの特別先行配信が行われた。
本放送局での初回放送は「初回1時間スペシャル」として第1話と第2話が連続放送された。
作品解説
富野由悠季が手掛けた「ガンダムシリーズ」のテレビシリーズ作品としては最短の2クール分(全26話)となる[注 2]が、これは「自身の年齢と体力の問題」と「アニメ業界の現状」を考えると2クール分が限界だった[5] と話している。まずは富野が個人的に、本作の初期稿となる全26話分のシナリオを書き上げてみた上で、新企画としてやっていける手応えを感じることができた頃、丁度その時期に制作会社のサンライズから新作テレビアニメ制作のオファーがあったことで、本作の企画が本格的にスタートした[6]。
タイトル内の「G」には、「ガンダム」という意味も含まれるが、「Ground(大地)」が最も大きな意味となっている。「レコンギスタ」は「レコンキスタ(スペイン語で復権・再征服の意)」からの造語で、「キ」の部分を「ギ」に変えたのは、タイトルに濁点と「ン」を入れなければ、タイトルに力強さがなくヒットしないという見解・ジンクスによる[7]。
ガンダム30分テレビシリーズ作品としては、初の深夜枠(深夜アニメ)としての本放送作品であるが、監督を務める富野は本作を主人公ベルリとアイーダが地球⇒月周辺⇒金星方面へと旅立ち帰ってくるロードピクチャー(冒険譚)であると評しており[8]、新しい世代の子供たちに見て欲しい作品であると強調していた[7]。中でも特に小学校高学年〜中学生に観てほしいとしており、その理由は「一番、世間というものがわかってきて、疑問を感じる時期だから」とのこと[9]。それ以上の年齢の人は本作を観ても「役には立たない」とも答えている[10]。さらに本作を子供達に見てもらえるように王道のエンターテイメントとして作り、そのために韓国ドラマなどを参考にした、いわゆるベタとも言えるような王道な設定を盛り込んだと話している[8]。また“子供向け作品”の定義については、「子供に観てもらいたい作品ですが、“子供アニメ”にしているつもりはありません[11]」、「僕は、単に分かりやすく噛み砕いたような作品が“子供向け作品”だとは思っていない部分があって、『ファーストガンダム』の時に出会ったような、どこか未来志向を持ってる人たちを刺激するような作品を作りたい[12]」とも述べている。これらの発言意図について、プロデューサーの小形尚弘は、「子供に見て欲しい作品=分かりやすい作品」という意味ではなく、疑問を感じさせる機構を劇中に多く配置し、将来の成長と生活の中からその答えを見つけて欲しいという、旧世代から子供たち新世代への願いなのではないかと解説している[13]。
放送時間帯の希望はBS11『アニメ+』枠での1クール遅れネット、アニマックスでの約5か月遅れネットのゴールデンタイム帯放送で実現した[14][15]。また東京MXでも、本放送終了直後の2015年4月7日(『機動戦士ガンダム』第1話「ガンダム 大地に立つ」初放映記念日)より『アニメの神様』枠内の一作品として、本放送時よりも早い時間帯で再放送されることになった。
テレビシリーズ完結後のインタビューでは、盛り込みたい内容が多く「所詮“ロボットもの”だからで諦めればいいのに、それ以上の何かを詰め込まずにはいられない悪い癖が出た」と、複雑な作品になってしまったことを反省しつつも「こんなにも見づらいアニメを作ってしまって申し訳ないという思いはある一方、でも“種”は蒔いたぞという自負心もあります。正直に言えば、個人的にはかなり好きな作品です」、「若い世代の視聴者が20年後に思い出してくれればいいと思っていて、そのための“種蒔き”をした意識はあるから無駄な仕事ではなかったと思っています」[16]、「ヒット作とは言えませんが、今の時代に作っておいて良かったと自画自賛しています」と語っている[17]。本作の続編については「僕が続編を創ることはありません。孫の代に才能のある人が現れて、創っていただければと、そう思っています」と述べている[6]。
本作と前作『∀ガンダム』を比較して富野は「『∀ガンダム』は「ガンダムの総決算」的作品であり、その“次”をみせる「脱ガンダム」には行っていなかった。だが、今回の『Gのレコンギスタ』は「脱ガンダム」をすることができた」と述べており[9]、「脱ガンダム」するという挑戦が許されるのは、世界中に自分しかいないとも発言している[8]。
「ガンダムシリーズ」としての本作の時系列は、『∀ガンダム』で描かれる「正暦(コレクト・センチュリー=C.C.)」よりも前の時代に位置すると関連書籍などでは紹介されていた[12][18][19]。しかし、本作のテレビシリーズの映像ソフト最終巻発売日の翌日のトークショーにて富野は、本作品は『∀ガンダム』から約500年後頃を想定して制作したと発言している[20]。これは、これまで公式が公開してきた時系列の設定(『Gのレコンギスタ』⇒『∀ガンダム』)と異なる上、宇宙世紀を「終焉から1000年以上[6] の“前世紀[21]”」として扱う『Gのレコンギスタ』の設定と、宇宙世紀を「約1万年前の“太古”[22]」として扱う『∀ガンダム』の設定とで矛盾が生じる。この発言と同時に富野は、自身が単独でシリーズ全体の設定を決定する権限がないことにも触れ、「(公式が自身の見解と異なる時系列を発表していたことについて)それはそれでいいんです」「皆さんなりに“ガンダム全史”みたいなものを作っていたたければいい」と前置きしつつも「その時には『Gのレコンギスタ』の位置付けが、今言った所(『∀ガンダム』⇒『Gのレコンギスタ』)に置いていただけたら嬉しく思います」と述べている[20]。この発言を受けて、聞き手を務めていた本作のプロデューサーであるサンライズの小形尚弘は「色々と整理したいと思いますので、来場者の皆さんは今日聞いたことは一旦胸の内にしまって頂いて。次の何かの機会に、しれっとそうなってる可能性はありますので」と答えた[20]。
- ^ 第2話と第13話はアイキャッチなし。
- ^ 後に全24話の『水星の魔女』が最短話数記録を更新する。
- ^ 引用元で富野はカットに目配りすることを「自分の精液を振り撒く」と卑語を用いた言い回しで表現している[23]。
- ^ 公式ホームページでは「贈った」と書かれているが、ベルリは入隊前なのでまだノレドの物であると第3話で説明された。
- ^ テレビアニメ劇中では「イテッ」(第3話・第14話・第21話・第22話)や「キケン!キケン!」(第9話)、「ハハハハハハ」(第14話)など感情豊かにしゃべることもあるノベルだか、声を担当している高垣彩陽は「今までのハロとは違ってハロビー(ノベル)は表情があり、ロボット的な無機質さを含めつつ、自分なりにこうかな?とイメージした通りに演じたら指摘を受けることなくうまくいったので、その後は、端に映り込んでいたらアドリブを入れたりと自由に演じさせてもらった。」と述べている[25]。ただ、本人はマニーと兼役でノベルを演じることは台本を見るまで知らなかったということも述べている[25]。また、ノベルの声については加工はしていないと述べている[16]。
- ^ 『ガンダム Gのレコンギスタ 完結記念ナイト』にて、「この時彼は無事だったのか?」と質問された際、監督の富野は「彼は殺しても、死なないような男です」と答えた。
- ^ ゲーム『ガンダムトライエイジ』では、巨大化したようなシルエットで機体を包んでその状態で敵機を殴り飛ばす、G-セルフ(トリッキーパック)の必殺技「レコンギスタ・イン・トリッキー」にて使用している。
- ^ ゲーム『ガンダムトライエイジ』では、大型ビーム・サーベルを展開して敵に突進し、すれ違いざまに斬り裂く、G-セルフ(アサルトパック)の必殺技「レコンギスタ・イン・アサルト」にて使用している。
- ^ 劇中では「トラック・フィン」と呼称していたが、1/144スケールプラモデル「HGRC ガンダム G-セルフ(パーフェクトパック装備型)」組立説明書では「トラフィック・フィン」と記述。設定画では「イリュージョン・バード」とも記載されている。
- ^ 劇中では拡散ビームは未使用。切り換えには専用弾のマガジンへの交換が必要。
- ^ ロックパイ機だけではなく、第15話においてラライヤが乗ったリンゴ機が使用する描写がある。
- ^ 資料によっては「トリプレット」とも表記されている。
- ^ 無彩色での保存状態であり、稼働するのかは不明。
- ^ 第13話まで。
- ^ 第14話以降。
- ^ 放映時は松尾衡の単独表記。
- ^ BS-TBSでの本放送途中で実質再放送を行うのは珍しい事例である。
- ^ 放送開始に先駆けて、2015年2月17日 - 2月21日 火曜 - 土曜0:10(月曜深夜 - 金曜深夜)より第1話から第5話までを先行放送(リピート放送あり)。
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