カサール級駆逐艦 カサール級駆逐艦の概要

カサール級駆逐艦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/27 06:13 UTC 版)

カサール級駆逐艦
トゥーロン沖を航行中のカサール(2003年9月23日)
基本情報
艦種 フリゲート (ミサイル駆逐艦)[注 1]
運用者  フランス海軍
建造期間 1982年 - 1991年
就役期間 1988年 - 2021年
建造数 2隻
前級 シュフラン級
準同型艦 ジョルジュ・レイグ級
次級 フォルバン級
要目
基準排水量 4,560トン
満載排水量 5,060トン
全長 139.00 m
最大幅 15.00 m
吃水 6.70 m
高さ 46 m (水線からマスト頂部)
機関方式 CODAD方式
主機 SEMT ピルスティク 18PA6-V280 BTCディーゼルエンジン×4基
推進器 スクリュープロペラ×2軸
出力 定格43,200 hp (31.75 MW)
電源 AGO 195-V12-CSHRディーゼル発電機 (850kW)×4基
速力 29.6ノット
航続距離 8,000海里 (17kt巡航時)
乗員 250人
兵装
搭載機 リンクス哨戒ヘリコプター×1機
C4ISTAR
レーダー
  • DRBJ-11B 三次元式[注 2]
  • DRBV-26C 対空捜索用
  • AN/SPG-51C SAM射撃指揮用×2基
  • DRBC-33 砲射撃指揮
  • DRBN-34 航海用
  • ソナー DUBA-25 船底装備式
    電子戦
    対抗手段
    テンプレートを表示

    来歴

    フランス海軍が1940年代末から1950年代にかけて建造した第二次世界大戦後第1世代の駆逐艦は、艦隊護衛艦Escorteurs d'escadreと称される対空・対水上兵装主体の艦であった。その後、第二次大戦後の潜水艦脅威の深刻化を受けて、まず1956年度計画で、艦隊護衛艦をもとに対潜戦を重視して装備を変更した「ラ・ガリソニエール」(T-56型)が建造された[3]

    その後、T-56型の実績も踏まえて対潜戦重視の大型護衛艦(コルベット)の建造が計画され、まず1965年度計画で「アコニト」(C-65型)が建造されたのち、1967年度計画より、これを発展させたトゥールヴィル級(C-67型)が建造された[3]

    これに続く1972年のブルー計画(15ヶ年計画)で、艦隊護衛艦(T-47型およびT-53型)の更新用として、共通の船体設計に基づく対潜型コルベット18隻と対空型コルベット6隻の整備が計画された。しかし財政上の制約から、対潜型が1971年度から1983年度にかけて計7隻、防空型が1978年度・1979年度に1隻ずつの計2隻が建造されるのみに留まった。このうち、防空型として建造されたのが本級であり、開発は1977年から1982年にかけて行われた。なお、対潜型にあたるのがジョルジュ・レイグ級(C-70ASW型)であった[3][注 1]。また1983年にはさらに2隻の建造予算が通過したものの、これは1984年2月27日にキャンセルされた[4]

    設計

    上記の経緯より、本級の船体設計は、70型対潜コルベット(C-70ASW型; ジョルジュ・レイグ級駆逐艦)をベースとして、艦尾の可変深度ソナーの撤去・航空艤装の縮小とバーターにターター・システムを搭載したものとなっている。船型はC-70型を踏襲して、艦尾に切り欠きをもつ遮浪甲板型とされた。船体は16個の水密区画に区分されている。抗堪性向上のため、NBC防護にも配慮したシタデル構造が導入されているのはC-70型と同様である。減揺装置としてフィンスタビライザーが装備された[2]

    艦橋構造物もC-70型と同じく3層構造であるが、ターター・システムのためのメインセンサーである3次元レーダーをできるだけ高い位置とするために、後部上部構造物の前端部に後檣が設けられた。これによる復原性の低下を避けるため、上部構造物はアルミニウム合金製とされている[5]。なお、2002年には舷側に補強プレートを設置するなどの船体強度向上策が施されており、これによって上部構造に合計で120トンの鋼鉄が追加されるかたちになったことから、復原性低下を避けるため、210トンの固定バラストが搭載されている[2]

    主機関は、C-70型がCODOG方式を採用していたのに対して、本級ではCODAD方式とされている。これにより、ガスタービン主機のために設けられていた複雑な給排気系を廃して上構を小型化するとともに、比較的大重量のディーゼル主機関を艦底に搭載することでバラストとしての効果も発揮されている。ディーゼル主機関としては、SEMT ピルスティクのV型18気筒高速ディーゼルエンジンである18PA6-V280 BTC(単機出力10,575 hp (7,886 kW))が4基搭載された。これらは2基ずつ1セットとして、それぞれ減速機を介して両舷の推進器を駆動する。また電源としては、AGO 195-V12-CSHRディーゼルエンジンと、これによって駆動されるジュモン・シュナイダー社製、出力850キロワットの発電機が4セット搭載されている[4]


    注釈

    1. ^ a b c 計画当初は、ジョルジュ・レイグ級と同じくコルベットCorvette)に種別され、計画艦型番号はC-70AAとされていたが、1988年にカサール級・ジョルジュ・レイグ級はともにフリゲート(Frégate)に種別変更され、計画艦型番号も変更された[3]
    2. ^ 1番艦は竣工時はDRBV-15を搭載、2番艦はSMART-S Mk.2に後日換装した[1]

    出典

    1. ^ a b c d Saunders 2015, p. 258.
    2. ^ a b c d e f g h i j Wertheim 2013, pp. 202–203.
    3. ^ a b c d 阿部 2001.
    4. ^ a b Prezelin 1990, pp. 150–151.
    5. ^ a b c 海人社 1991.
    6. ^ Friedman 2006, pp. 64–65.
    7. ^ a b Friedman 2006.
    8. ^ Les Cassard et Primauguet désarmés en 2019 | Mer et Marine” (フランス語). www.meretmarine.com. 2021年4月8日閲覧。
    9. ^ L’ex-frégate Cassard bonne pour la déconstruction | Mer et Marine” (フランス語). www.meretmarine.com. 2021年4月8日閲覧。
    10. ^ L’ATL2 au profit de l’opération AGENOR”. www.defense.gouv.fr. 2021年4月8日閲覧。
    11. ^ La frégate Jean Bart effectue son ultime mission” (フランス語). Mer et Marine (2021年1月8日). 2021年4月8日閲覧。


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