はね駒
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2001年に総集編のVHSが発売されたほかはソフト化されていなかったが、2020年7月に完全版DVDが発売された。NHKオンデマンドでの配信は行われていない。
- シナリオ
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- 寺内小春『はね駒』(1986年8月、日本放送出版協会、ISBN 978-4-14-005126-9)
備考
- 本作は連続テレビ小説において2023年1月現在、『あさが来た』『ハイカラさん』に次いで古い時代を扱った作品であり、物語全編で明治時代が舞台となった数少ない作品でもある。本作の主人公・りんのモデルとなった磯村春子は、物語終了時点から6年後の1918年に死去。したがって、本編で関東大震災(1923年)が描かれることはないが、1896年に発生した明治三陸地震に登場人物が巻き込まれる様子が描かれている。
- 本作が製作された1986年は、男女雇用機会均等法が施行され、女性の社会進出が推し進められるようになった年である。本作のりんは婦人記者としても、働く女性としても先駆者であり、そのような時代背景に合わせた主人公として描かれた。りん自身もそのことを自覚し、女性の社会進出を促すことを目的とした『女性と職業』という新聞企画を立ち上げている。明治時代当時は、保育園も託児所もなければ、電化製品もなく、生活インフラや医療も現在とは雲泥の差があるほど未発達であった。そのため、りんの記者業は母・やえの奮闘や夫・源造の寛大な姿勢もあって成しえたことである。やえの姿を通じて家庭を守ることの重要性も訴えており、さらに編集長・津村の「働く権利を主張する前に実力で認めさせろ」という発言もあることから、行き過ぎた女性の社会進出に警鐘を鳴らす一面も見せている。
- 沢田研二が演じた松浪毅は、りんの人生を左右する恩師で、初恋の人でもあり、視聴者からの人気が高かった。りんの在学中に女学校を去ることになる設定で、当初はそのまま再出演の予定はなかった。しかし、視聴者からの嘆願が多数寄せられたため[要出典]、終盤(第148話)で新聞記者になったりんに再会する設定で再出演している。ただし、このときの沢田は髪形をロングソバージュヘアに変えていたため[注 46]、時代設定的にはやや不似合な様子となっていた。なお、松浪は幕府側の元武士で、りんの父・弘次郎も幕府側(二本松少年隊の生き残り)という共通点がある。このことが結果的に、子のみならず親の人生にも深い影響を与えることになる人物として描かれている。
- 弘次郎は、本編内で大きく変化をした人物の一人である。当初、二本松少年隊を生き残ってからは、失意のうちに故郷・二本松を捨て相馬に流れつき、出会ったやえと結婚した設定であった。しかも明治維新後も丁髷を切らず、りんが婚約破棄を言い出した際には思わず刀に手をかけるなど、時代の変化に取り残されている様子も見られた。しかし、りんの女学校進学、次女・みつの死、上京などを経て徐々に保守的な面が和らぎ、遂には自身の天職となるコーヒー店を経営するまでに至る。最終的に「自分の中での戦は終わった」と過去を清算し、二本松へ帰郷するまでの姿が描かれている。弘次郎役の小林稔侍は本作で新境地を開拓し、その後多数のドラマで主演を張る俳優となった。
- 第89回では前年放送された大河ドラマ『春の波涛』の映像をアーカイブ使用して、川上一座が本編に登場している。
- 2020年の再放送は、主人公の出身校のモデルとされる宮城学院女子大学(旧・宮城女学校)が「東日本大震災で被災した東北の元気につながればうれしい」として働き掛けたことがきっかけである。2016年には平川新学長(当時)が「主人公の生き方が東北の人々の希望になれば」とNHKへ足を運んで、遂に再放送の実現へ至った[13]。なお、この年の本放送は、ほぼ同じ理由でドラマ化が進められ、実現した第102作『エール』で、BSプレミアムでの放送は新型コロナウイルス感染症が流行し『エール』が撮影を中断しなければ「本放送とアンコールの主人公は、どちらも福島県出身」に、なるはずだった[14]。
脚注
注釈
- ^ 本作以降、再びヒロインオーディションが行われるようになっている。
- ^ 当時の慣例に従い、以下数え年で表記する。ちなみに、現在では13歳に相当。
- ^ 学費が免除される代わりに、賄いの手伝いや奉仕活動を行うことが義務づけられる生徒。
- ^ 源造の持ち家であり、結婚後の住まいを前提とした引っ越しである。
- ^ 当時、東京・京都間は片道13時間以上の長旅である。
- ^ 後に男子であることが判明。
- ^ 郵便箱を「便垂箱(べんたればこ)」と読むほどである。
- ^ その時、りんの同級生・節子からは「お母さま」と言われ、悪い気はしていなかった。
- ^ 後にりんの結婚相手となる源造の父から、その人間性を「まがい物でない人」と称えられる。
- ^ やえが女学校へりんの様子を見に行った際には、黙って汽車代を出していた。
- ^ 弘次郎はもともと近所付き合いをほとんどしておらず、それが誤解が広まった一因でもある。
- ^ 軍隊における雑用係。
- ^ さらには徳右衛門自身も長男(=弘次郎の兄)に先立たれており、実子を亡くす辛さを理解している。
- ^ やえが心労で倒れた際には、自ら台所に立って炊事をするほどである。
- ^ りんが家事を得意としているのは、ことの影響も大きい。
- ^ 嘉助は次男であるが、物語開始前に長男は幼くして亡くなっている。
- ^ りんへの結納金を前借りした。ちなみに、当時は大卒初任給が18円前後の時代である。
- ^ 既にみどりは懐妊していた。いわゆるできちゃった結婚である。
- ^ この時、りんが源造に相談して彼女を無理やり連れて帰ろうと計画し、やえと弘次郎に2人の関係に大きな変化があったと悟らせる。
- ^ 兄・弘次郎とは一回り年下だが、彌七という名前から詳細は不明だが、彼には弘次郎の他に4人、兄姉がいる。
- ^ 偶然、橘家の隣人・鶴次と同じ船であった。
- ^ 後に、きわの店で松浪の陰謀を噂していた客をりんと共に一喝している。
- ^ 源造の持ち家を担保にしたことで、どうにか破産は免れた。
- ^ このとき、編集長・津村や同僚記者からは「ルビちゃん」と呼ばれ、可愛がられた。
- ^ りんの祖父・徳右衛門の見立て。
- ^ このとき、りんは実家に帰省せずに夏休み返上で猛勉強に取り組んだ。
- ^ くにの話によると、1895年時点で「東京で小説を書いている」とのこと。
- ^ このことが、後にりんが新聞記者となるきっかけの一つとなる。
- ^ 109話にて名字が判明。
- ^ 彼の後任として来たのが梅沢である。
- ^ りんが千代の第3子出産を手助けした際、偶然にも源造が居合わせており、それが後に夫婦となるりんと源造の初対面となった。
- ^ しかし、そのことがりん・源造の縁結びに一役買う結果となった。
- ^ 新之助のことも、あまりよく思っていなかった。
- ^ このとき、未だにりんに対して未練のある様子を見せており、弘次郎とやえを閉口させていた。
- ^ 自身も息子(=新之助の父)に先立たれている。
- ^ 皮肉にも上京後、桂庵の主人に知識がある女学校育ちの女には働き口がないことを告げられ、その意味を思い知らされる。
- ^ 当時の肺病は生まれつき発症する伝染性病原体(遺伝的保因者)の病気と考えられていた。
- ^ しづは、夢枕に立った滝村から「まだこっちに来ないのか」と誘われる夢を見ていた。
- ^ 親から厳しく申し付けられたらしい。
- ^ なお、節子役の二谷友里恵は白川由美の実の娘である。
- ^ 罪悪感が芽生えたか、持ち逃げする前日に「東京は怖い町」とりんに話していた。
- ^ 津村は当初、りんと弘次郎が親子であることを知らずに店に通っていた。
- ^ 前年の大河ドラマ春の波涛で撮影された芝居シーンのアーカイブ使用(使い回し)で登場。
- ^ 最終回で、弘次郎のコーヒー店の客役として特別出演。
- ^ 最終回で、主人公とすれ違う通行人役として特別出演。
- ^ DVD-BOX『沢田研二 IN 夜のヒットスタジオ』(2011年発売)ディスク6収録映像では1986年6月時点で既にロングソバージュヘアに変えている。
出典
- ^ a b c d e f g h i j k l m 日本放送協会放送文化調査研究所 放送情報調査部 編『NHK年鑑'87』日本放送出版協会、1987年9月25日、100頁。
- ^ 「NHK放送史『朝ドラ100』」の「ご当地マップ『福島』、『宮城』」を参照。
- ^ ビデオリサーチ NHK朝の連続テレビ小説【関東地区】より
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q 放送ライブラリー program番号:177845
- ^ “再放送情報 連続テレビ小説アンコール「はね駒(こんま)」”. NHKドラマ. ドラマトピックス. 日本放送協会 (2020年2月13日). 2020年3月21日閲覧。
- ^ 斉藤由貴 - NHK人物録
- ^ 「熱烈歓迎!おりんちゃん」『財界ふくしま』第15巻第7号、行政問題研究所、1986年7月10日、16 - 18頁、NDLJP:2832650/9。
- ^ 柳沢慎吾 - NHK人物録
- ^ “9月18日は宮城学院の創立記念日”. クリスチャンプレス (2019年9月18日). 2020年4月7日閲覧。
- ^ 高橋ひとみ - NHK人物録
- ^ 白川由美 - NHK人物録
- ^ 朝ドラの55年〜全93作品完全保存版 2015年10月17日 ISBN 978-4144072130
- ^ “NHK「はね駒」再放送へ 主人公出身校の宮城学院女子大が働き掛け”. 河北新報オンラインニュース (河北新報社). (2020年3月20日). オリジナルの2020年3月21日時点におけるアーカイブ。 2020年3月21日閲覧。
- ^ 2020年3月30日 衛星ハイビジョン・BSプレミアム 番組表 - NHKクロニクル
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