Ecklonia cavaとは? わかりやすく解説

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カジメ

読み方:かじめ
【英】:Ecklonia cava

海藻アラメ似ているが、生育域干潮線下1~10mと深く透明度良い海域では水深40mでも生育する葉片付け根二叉分かれることはな全長1.52m達する。しばしばカジメ藻場呼ばれる群落形成する多年性アルギン酸原料外洋性岩礁性。

カジメ Ecklonia cava Kjellman

コンブ目 コンブ科 (Laminariales Laminariaceae)
カジメ 生態写真
低潮線付近から潮下帯水深20m(場所によって50m)までの岩上安定した巨礫
分   布
本州太平洋中・南部四国九州本州日本海中・南部
神奈川県横須賀
カジメ 生標本写真
(生標本写真)
カジメ 中央葉写真
中央写真)
カジメ 付着器周辺写真
付着周辺写真)
カジメ 海中林写真
海中林写真)
長いカジメ写真
長いカジメ写真)

カジメ 模式図からだは長い部とその先からなる“はたき”状である。春季芽生えた若い個体は,短い部と笹の葉状のからなる半年過ぎた体は直径1cm程度円柱状の通常長さは30cm以下)を持ち中央呼ばれる繋がったやや厚い部分から,側羽状に出す。3年目以降体の部は,長さが50cmを越え全長時に2m達する。充分生長した体では,中央中央部厚く,両縁に向かい薄くなり,縁辺からは対生2030の側生じ,さらに側の両縁からは第2次を出す。手触り革質でやや硬い生体暗褐色をしているが,乾燥する黒くなる部の最下部から輪状発出した仮根は,数回叉状分岐しながら基質付着する仮根一年一度冬季付着器の少し上部から発出し,やがて基質に着定してより大きな付着器となる。したがって付着器の仮根段数は,年齢伴って増加する部には通常シワ入らず表面は滑らかであるが,土佐湾生育するものは浅いシワ生じことがある近縁種には深いシワを持つクロメEcklonia kuromeや,深いシワを持つ個体持たない個体があるオーストラリア生育するEcklonia radiataがおり,今後更なる分類学的検討必要な種類であろう芹澤土佐湾伊豆半島房総半島,そして駿河湾生育するカジメについて生理生態学的研究進めている。

カジメは分布域では水深2~10mの岩礁上に密な群落形成する。この群落はカジメ場あるいは海中林などと呼ばれアワビ類,サザエウニ類など水産磯根資源はじめとする多様な動物類の産卵発育の場として重要な役割果たしている。かつては日本でもアルギン酸の原としてカジメを利用していた。カジメの側が出る前の,笹の葉状の幼体細かく千切りにするとかなりネバネバが出るが,これを汁物加えて食用とする地域がある。内房千葉県房総半島東京湾側)の金谷では,このネバネバラーメン入れた特産品,カジメラーメンがある。
しかし,地元の人達の話を聞くと,どうもアラメ幼体使っているようである(確認はできていない)。

アラメとカジメは共に岩礁域に生育しており,同所的分布する場合はカジメの方が水深のより深いところに生育するまた,平的には,カジメの方がより南部暖かい海域まで,アラメの方がより北部冷たい海域まで分布している。特に注意要する点として,アラメとカジメは地方により呼び名逆転することがあるということあげられる大洗から銚子まではカジメの生育確認されていない打ち上げは数例が知られる)が,地方名アラメのことを”かじめ”と呼んでおり,銚子でもアラメを”かじめ”と呼んでいる。

高さ:1~2m


加知女

読み方:カジメ(kajime)

コンブ科褐藻

学名 Ecklonia cava


搗布

読み方:カジメ(kajime)

コンブ科褐藻

学名 Ecklonia cava


皺荒布

読み方:シワアラメ(shiwaarame)

カジメ別称
コンブ科褐藻

学名 Ecklonia cava


荒布

読み方:アラメarame

カジメ別称
コンブ科褐藻

学名 Ecklonia cava


カジメ

(Ecklonia cava から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/23 01:47 UTC 版)

カジメ(搗布[2][3][4][5]、未滑海藻[2]学名: Ecklonia cava)は、コンブ目コンブ科[注 2]カジメ属に属する大型の褐藻の一種である。根のような付着器で岩に付着し、1本の茎(茎状部)の先端に葉(葉状部)がつき、その両縁から側葉が羽状に伸びている。多年生であり、大きなものは高さ2–3メートルになる。葉の表面はふつう平滑でシワはない。本州中部太平洋岸と瀬戸内海の一部に分布し、低潮線下で大規模な藻場(海中林)を形成する。古くは「かちめ[9](加知女[10])」ともよばれた。食用とされることもある。


注釈

  1. ^ a b 標準和名アラメとよばれる海藻は別属別種の海藻(Eisenia bicyclis)である。
  2. ^ レッソニア科(Lessoniaceae; カジメ科ともよばれた[6])に分類されることもある[7]。ただし分子系統学的研究からは、コンブ科に分類することが支持されている[8]
  3. ^ a b c ただし房総半島より北にはカジメは分布しておらず[16]、このような地域ではアラメのことをカジメとよんでいることがある[4][23]
  4. ^ a b 西日本や日本海側にも形態的にカジメと同定されるものが見られるが、これらは遺伝的にはクロメツルアラメであることが示唆されている[14]

出典

  1. ^ a b Guiry, M.D. & Guiry, G.M. (2021年). “Ecklonia cava”. AlgaeBase. World-wide electronic publication, National University of Ireland, Galway. 2021年12月10日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u 倉島彰 (2012). “アラメ、カジメ類”. In 渡邉信(監). 藻類ハンドブック. エヌ・ティー・エス. pp. 598–601. ISBN 978-4864690027 
  3. ^ a b カジメ. コトバンクより2021年12月6日閲覧
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 神谷 充伸 (監) (2012). 海藻 ― 日本で見られる388種の生態写真+おしば標本. 誠文堂新光社. pp. 100–103. ISBN 978-4416812006 
  5. ^ a b c d e f g h 田中次郎・中村庸夫 (2004). “カジメ”. 日本の海藻 基本284. 平凡社. pp. 100–101. ISBN 9784582542370 
  6. ^ a b 吉田忠生, 鈴木雅大 & 吉永一男 (2015). “日本産海藻目録 (2015 年改訂版)”. 藻類 63 (3): 129-189. NAID 40020642430. 
  7. ^ a b 四ツ倉典滋 (2010). “日本産コンブ目植物の分類体系”. Algal Resources 3 (2): 193-198. doi:10.20804/jsap.3.2_193. 
  8. ^ a b Starko, S., Gomez, M. S., Darby, H., Demes, K. W., Kawai, H., Yotsukura, N., ... & Martone, P. T. (2019). “A comprehensive kelp phylogeny sheds light on the evolution of an ecosystem”. Molecular Phylogenetics and Evolution 136: 138-150. doi:10.1016/j.ympev.2019.04.012. 
  9. ^ a b 搗布. コトバンクより2021年12月11日閲覧
  10. ^ 加知女. コトバンクより2021年12月11日閲覧
  11. ^ a b c d e f g h i 寺脇利信 (1993). “カジメ”. In 堀輝三. 藻類の生活史集成 第2巻 褐藻・紅藻類. 内田老鶴圃. pp. 128-129. ISBN 978-4753640584 
  12. ^ a b c d e f g h i j k l m 吉田忠生 (1998). “カジメ属”. 新日本海藻誌. 内田老鶴圃. pp. 342–344. ISBN 978-4753640492 
  13. ^ a b c 田中俊充, 山内信, 能登谷正浩, 木村創 & 四ツ倉典滋 (2007). “和歌山県沿岸に生育するカジメとクロメの形態的および遺伝的多様性について”. 水産増殖 55 (1): 1-8. doi:10.11233/aquaculturesci1953.55.1. 
  14. ^ a b c d e f g h i Akita, S., Hashimoto, K., Hanyuda, T. & Kawai, H. (2020). “Molecular phylogeny and biogeography of Ecklonia spp.(Laminariales, Phaeophyceae) in Japan revealed taxonomic revision of E. kurome and E. stolonifera”. Phycologia 59 (4): 330-339. doi:10.1080/00318884.2020.1756123. 
  15. ^ 今井利為 (1988). “三浦半島毘沙門におけるカジメの子嚢斑形成時期について”. 神水試研報 9: 21-25. NAID 80004493428. 
  16. ^ a b c d e f 寺田竜太・川井浩史・倉島 彰・村瀬 昇・坂西芳彦・田中次郎・吉田吾郎・阿部剛史・北山太樹 (2013). “日本産コンブ目海藻5種の分布とモニタリング指標種 としての評価”. モニタリングサイト1000沿岸域調査(磯・干潟・アマモ場・藻場)2008-2012年度とりまとめ報告書: 68–73. https://researchmap.jp/ryuta-terada/misc/15138700/attachment_file.pdf. 
  17. ^ 鈴木雅大 (2020年7月2日). “カジメ Ecklonia cava”. 写真で見る生物の系統と分類. 生きもの好きの語る自然誌. 2021年12月5日閲覧。
  18. ^ a b c d 秋元清治, 中西敏之, 小山利郎 & 加藤健太 (2012). “相模湾におけるカジメ・アラメ場の実態について”. 神奈川県水産技術センター研究報告 (5): 1–5. 
  19. ^ 前川行幸 (1995). “三重県沿岸のアラメ, カジメ”. 日本水産学会誌 61 (1): 107-108. doi:10.2331/suisan.61.107. 
  20. ^ a b 海の自然再生ワーキンググループ (2007年). “2.7 海藻類”. 順応的管理による海辺の自然再生. 国土交通省. 2021年12月5日閲覧。
  21. ^ a b 木下淳司 (2009). “人工リーフへのカジメ藻場移植と群落の拡大に関する研究”. 日本水産工学会誌 45 (3): 169-178. doi:10.18903/fisheng.45.3_169. 
  22. ^ 神谷 充伸 (監) (2012). “藻場の種類”. 海藻 ― 日本で見られる388種の生態写真+おしば標本. 誠文堂新光社. p. 6. ISBN 978-4416812006 
  23. ^ カジメ”. 海藻海草標本図鑑. 千葉大学海洋バイオシステム研究センター 銚子実験場. 2021年12月5日閲覧。
  24. ^ カジメのレシピ”. Cookpad. 2021年12月10日閲覧。
  25. ^ 「カジメ」 検索結果一覧”. ふるさとチョイス. TRUST BANK. 2021年12月18日閲覧。
  26. ^ 「カジメ」の検索結果”. 楽天. 2021年12月18日閲覧。
  27. ^ 【ソーシャル人】水産・畜産・福祉の連携で生まれた鎌倉発ブランド豚。料理家・矢野ふき子さんが仕掛ける元気な地域づくり”. 日本財団ジャーナル. 日本財団 (2020年12月25日). 2021年12月10日閲覧。
  28. ^ はぎ屋旅館(日立市)”. 観光いばらき. 漫遊いばらき観光キャンペーン推進協議会. 2021年12月6日閲覧。
  29. ^ 浅倉聡 (2020). “日本の地下に眠る天然資源ヨウ素”. 日本海水学会誌 74 (1): 20-26. doi:10.11457/swsj.74.1_20. 
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  34. ^ 宮下章 (1974). “海藻文字の先覚者”. 海藻. 法政大学出版局. pp. 49–50. ISBN 978-4-588-20111-0 
  35. ^ 宮下章 (1974). “養老令”. 海藻. 法政大学出版局. pp. 72–74. ISBN 978-4-588-20111-0 
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  37. ^ a b 宮下章 (1974). “国(府県)別特産”. 海藻. 法政大学出版局. pp. 243–251. ISBN 978-4-588-20111-0 
  38. ^ 宮下章 (1974). “『寛永料理物語』”. 海藻. 法政大学出版局. pp. 115–118. ISBN 978-4-588-20111-0 
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  40. ^ a b 右田清治 (1984). “アラメ・カジメ類の属間・種間交雑”. 長崎大学水産学部研究報告 (56): 15-20. NAID 120006970909. 
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  42. ^ Rothman, M. D., Mattio, L., Wernberg, T., Anderson, R. J., Uwai, S., Mohring, M. B. & Bolton, J. J. (2015). “A molecular investigation of the genus Ecklonia (Phaeophyceae, Laminariales) with special focus on the Southern Hemisphere”. Journal of Phycology 51 (2): 236-246. doi:10.1111/jpy.12264. 
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