31条の6第3項及び45条2項による命令違反に対する過料
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/29 02:57 UTC 版)
「新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく休業 (2020年-2021年)」の記事における「31条の6第3項及び45条2項による命令違反に対する過料」の解説
2021年の改正で、31条の6第3項(まん延防止等重点措置)及び45条2項(緊急事態措置)による命令違反に対して過料の制裁が科されることになった。手続的には、都道府県知事が非訟事件手続法に基づき、裁判所に通知し裁判所が決定する。 2021年7月6日、東京都は、新型コロナウイルスの緊急事態宣言下で営業時間短縮の命令に従わなかった飲食4店について、裁判所が各25万円の過料を決定したと発表した。決定は非公開のため、都が裁判所に申請して文書を入手して確認したもので、宣言や「まん延防止等重点措置」に伴う命令違反で過料が確認されたのは全国初とみられる。 2022年1月04日、飲食チェーン「グローバルダイニング」は次のように発表した、2021年5月18日及び5月27日、東京都知事より「休業命令」「時短営業と酒類販売停止の命令」を26店舗について受け、2021年12月16日付けで、東京地方裁判所より過料決定を受けたこと、その額は、各店舗について法定の上限の30万円(計780万円)であること、決定に対し不服を申し立てるため、2022年1月04日1月4日、即時抗告をしたとHPで発表した。過料決定について上訴がされたことが確認できるのはこれが最初である。なお、東京都のHPにおいてこの過料決定の公表を確認できない。 2022年3月9日、NHKの報道によると、山梨県が、まん延防止等重点措置が適用されていた2021年8月20日から9月12日までの間、飲食店などの時間短縮要請に応じなかった12店舗に対して営業時間短縮の命令を出し、このうち7店舗が命令に応じなかったため、営業時間の短縮命令に違反したとして命令違反に対する過料の通知を行っていたが、3月9日までに裁判所が過料の通知を行った。。報道では「県によると」とされているが、山梨県は、営業時間短縮の命令、過料の通知、裁判所の決定のいずれもHPにおける公表を行っていない。 2022年2月28日及び3月14日、鹿児島県は、まん延防止等重点措置が適用されていた2021年8月20日から9月12日までの間、飲食店などの時間短縮要請に応じなかったため営業時間短縮の命令を出し、このうち13店舗が命令に応じなかったため、営業時間の短縮命令に違反したとして命令違反に対する過料の通知を行っていたが、過料決定があったことが判明したと発表した。2月28日分が7店舗、3月14日が2店舗で残る4店舗については未発表である。 2022年2月の埼玉県議会の質疑において、「これまでに県の指導に従わず過料の手続を行った店舗はあるのか、との質疑に対し、昨年4月からのまん延防止等重点措置期間では、合計10店舗について過料事件通知を行い、全件について裁判所で過料の決定が行われた。また、昨年8月からの緊急事態措置期間では、6店舗について過料事件通知を行ったが、裁判所での決定が出ていないため、最終的な結果が出そろい次第、件数を公表していきたい」と県知事側が答弁しており、2021年のまん延防止等重点措置について過料の決定があったことが明らかにされた。 2020年7月8日、国は内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室長名の事務連絡を各都道府県知事に発出し、次のように特措法に基づく命令違反に係る過料決定店舗公表の留意事項等を示した。 都道府県知事が地方裁判所へ命令違反の通知を行った場合の施設名等の公表については、 命令期間内の公表は、命令を受けた施設等が未だ当該命令に従っておらず、その旨を利用者に広く周知することが重要である場合には、当該施設名等を公表することは差し支えないとし、命令期間終了後の公表は、利用者の合理的な行動の確保につながらないことを踏まえ、当該施設名等を公表することは法の趣旨を踏まえれば、認めらない。 命令違反の通知を地方裁判所に行った件数については、今後の命令の実効性を確保する観点からも、積極的な公表が望ましい。 都道府県知事による、地方裁判所における過料決定の把握については、過料事件通知書を管轄の地方裁判所へ通知した都道府県知事に、適時に管轄地方裁判所へ謄本請求を行うことにより、裁判結果について把握を求める。 過料を科すことが決定した施設名等の公表については、非訟事件は原則非公開の手続きであることから、謄本請求が認められたとしても、過料を科すことが決定した施設名等の公表については、非訟事件手続法の趣旨を踏まえれば、認められない。過料決定の件数については、不利益情報の公表とは考えにくいため、公平性を担保する観点からも、積極的な公表が望ましい。 31条の6第3項及び45条3項による命令違反に対する過料都道府県対象施設数適用条項通知年月日公表年月日出典備考13東京都 4 45条3項 2021年3月29日 2021年3月29日 04宮城県 11 31条の6第3項 2021年5月14日 2021年5月14日 38愛媛県 1 31条の6第3項 2021年5月26日 2021年5月26日 17石川県 14 31条の6第3項 2021年6月14日 2021年6月14日 21岐阜県 18 31条の6第3項 2021年6月23日 2021年6月23日 11埼玉県 3 31条の6第3項 2021年6月24日 2021年6月24日 23愛知県 34 45条3項 2021年6月25日 2021年6月25日 14神奈川県 71 31条の6第3項 2021年7月6日 2021年7月6日 11鹿児島県 46 31条の6第3項 2021年10月7日 2022年2月28日
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