速読術の歴史と現状とは? わかりやすく解説

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速読術の歴史と現状

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/10 02:30 UTC 版)

速読術」の記事における「速読術の歴史と現状」の解説

科学的研究では、速読術全ての文字を順に読んでいく読み方前提になっている拾い読み飛ばし読み斜め読み方法とする速読術研究の対象外である。科学的に速読読書行動一種であり、その意味速読術研究読書研究から始まる。読書最初に研究したのは、実験心理学の祖とされるW. M. ヴントWilhelm Maximilian Wundtと言われている。19世紀半ばのことである。ヴントは、ドイツライプツィヒ大学教授で、感覚生理学背景に、被験者読書時の行動観察する手法研究行った 。そのヴント指導のもとに読書研究発展させていったのは、アメリカ人 J. M. キャッテルである。キャッテルは、綴り単語認知綴り印刷形態注意範囲などをテーマにした。キャッテルの影響受けた研究者数多く20世紀に入ると、研究の中心アメリカ移ったヴントとほぼ同じ時期に、読書行動過程眼球運動関連させた研究が、パリ大学眼科医E. ジャヴァールによって始められた。彼は、読書中の目の動き停留fixation)と飛越saccade)の繰り返しであることを発見し、その論文1879年発表された。それまで読書中の目の動き滑らかなものと考えられていたが、彼の研究によって、停留fixation)と飛越saccade)の繰り返しであることこと明らかにされたわけで、以後1950年頃まで、速読術眼球運動との関係を研究テーマとして追及されていく。この意味で、速読術研究は、ジャヴァールから始まったと言えるアメリカ読書研究の中心が移ると、その研究対象はさらに広げられていく。視声距離、読書速度、目や耳の認識黙読中の唇の動き視覚鋭敏さなどといった研究なされている。その中でウィスコンシン大学クワンツ教授は、普通の人の読書は、目で見た文字一度頭の中で音声化する過程通して認識しているのに対して読み速い人は読書するときにこの音声化過程を通すことなく、目で見た瞬間認識できることを発見した 。さらに、眼球運動に関する研究は、20世紀初頭、ヒューイドッジジャッドらによって眼球運動記録する装置工夫されたのを機に精力的に進められた。その結果読書中の眼球運動は、停留fixation)、飛越運動saccade)、行間運動sweep)、逆行運動regression)の4つ大別できること明らかになった 。その後、これらの眼球運動読書速度との関係多数研究され読書心理学では、次の2つ事実実験明確にされた。(1)読書速度速い人は、遅い人よりも、1行当たり停留数が、少ない。(2)読書速度速い人は、遅い人よりも、逆行数が少ない。 これらの実験事実から、速く読むためには、速い人の眼球運動身に付けるようにするという方法論提示された。停留数が少なということは1回停留読み取れる文字数が多い、すなわち認知視野が広いこと意味する。そこで、認知視野広げることが、速読術要諦考えられた。また逆行数が少ないことは、集中して読んでいることを意味するので、集中して読むことも速読術要諦となったこのような原理作られトレーニングが、アメリカ式速読法である。シラキュース大学では1925年速読法の講座開講された。以来米国では正式科目として採用する大学多く各地行われている。民間有名なのは、エヴェリンウッドの速読法であり、ケネディ大統領カーター大統領この方法で速読トレーニングしたと言われている。日本では田中広吉が読書中の眼球運動最初に観察したとされる。この原理速読術は、馬淵佐藤阪本らによって日本紹介された。それによると、アメリカ式速読術によって達成される読書速度は、3〜8倍程度とされる上記読書心理学の研究者らが読書啓蒙書として速読術に関する書を著したが、1960年代頃からは、ビジネス分野での情報処理速度上げるための自己啓発書として速読関係の本が出版されるようになった。このアメリカで発達した読書心理学理論踏まえながら、新し読書力教育法提示したのは、大韓民国国立ソウル大学校師範大学専任講師をしていた鏵燁であった。その到達読書速度1万字/分を超える画期的な方法であったは、兵役低下した学力回復させた自分体験をもとに、教育心理学読書心理学知見総合して創案し読書教育であったが、結果的に画期的な速読教育打ち出してしまったのであったは、1970年代から研究開始し1976年12月最初研究論文発表し、さらに1978年最初著書読書能力伸ばす実験読書方法」を著した。その講義は、師範大学教育研究所主催1979年5月開催された。その結果は、ソウル大学校総長学長所長の前で報告され高く評価された。一方、その講義様子韓国の主要新聞テレビで取り上げられ、「1分間1万字を読む」と報道された。その結果韓国内では直ちに、独自に創案しトレーニング図を真似た速読術多数現れた。その中には、1分間100万字を読むというものまで現れ、その粗悪な内容マスコミ批判され、やがて衰退していった。日本では1982年3月、NHK-TVの番組NC9」で、韓国ソウル大学校講義様子や、民間速読塾で子供たちが学ぶ様子報道された。1984年日本韓国速読術入ってきたが、それは韓国で1分間100万字を読むと宣伝して批判されキム速読術であったため、受講生の期待大き一方でトレーニングして成果出ないという批判出た。そのため日本国内では、その後様々な人がそれぞれ工夫した速読術作り出していくこととなった1980年代は、折しもパソコンインターネット普及し始めた時代であり、特にビジネス界では多量情報処理する能力の向上が望まれた。その流れ対応してアメリカからも、フォトリーディングなど、民間作られ方法入ってきた。また国内でも、パソコンを使う方法のものなど、様々な速読トレーニング生まれた。その流れは現在も続いている。1986年清州師範大学(後に西原大学助教授だった鏵燁は、NBS日本速読教育連盟招かれ、「科学的速読法」について講演会セミナー開催するとともに佐々木豊文共同して指導プログラム作成した以降佐々木は自らの速読教室目白大学非常勤講師[1995.10〜2004.3])で講義担当しながら指導プログラム改善図ってきた。また、日本医科大学の故品川嘉也教授河野貴美子研究員皮切りに情報通信研究機構藤巻則夫研究員東京大学植田一教授早稲田大学宮田光教授ら、多く研究者共同して1万字/分以上の速度で読むことのできる「速読脳」習得者について、実験心理学認知科学脳神経科学の方法用いた研究結果発表している。

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