自動車での4気筒エンジン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/30 13:53 UTC 版)
「直列4気筒」の記事における「自動車での4気筒エンジン」の解説
現在の乗用車において最もオーソドックスなエンジン形式である。ミラーサイクルを採用して燃費を最重視した100馬力未満のものから、ターボチャージャーを採用して400馬力以上を発生するハイパワーモデルまで幅広くカバーしている。排気量としては1.0Lから2.5L程度のものが一般的である。 6気筒以上の方式に比べると二次振動が問題とされやすく、二次振動を低減するために排気量の大きい(おおむね2.0L以上)直4エンジンではバランスシャフトが採用される。このバランスシャフトは、互いに逆回転する2本一対の錘付きシャフトをクランクシャフトの回転数の2倍の速度で回転させることで二次振動を相殺するが、それでも完全に振動を消すのは難しいため、従来直4は小~中型の大衆車への採用が一般的であった。しかしエコ意識が高まっている昨今は直噴化によりノッキング問題が緩和されたこともあり、6気筒・8気筒が当たり前であった高級車や大型車にも直4ターボを採用する事例(→ダウンサイジングコンセプト)はもはや珍しくなくなってきている。一方で長らく直4がカバーしてきた1.5L前後の排気量を直列3気筒に置き換える例も増えてきており、直4の方もダウンサイジング化の波に晒されている現状がある。 市販された自動車用ガソリンエンジンで最も排気量が小さい直4は、1963年発売の軽自動車ホンダ・T360の354ccである。軽自動車規格の排気量が660ccに変更されてからもこのクラスの直4は量産されていたが、燃費にシビアな時代背景から熱効率面で勝る直列3気筒へ移行が進み、2013年1月の2代目三菱・パジェロミニの販売終了を持って絶滅した。 逆に直4のディーゼルエンジンでないもので最大排気量のエンジンは1961年のポンティアック・テンペストの3,188cc(195ci)エンジンである。また1970年代以降は三菱自動車がランチェスターの法則で知られるフレデリック・ランチェスターが考案したランチェスター・バランサーをベースに、サイレントシャフトと呼ばれる独創的なバランスシャフトを開発し、三菱・ジープや三菱・スタリオンで2,555ccを実現。後にこの技術を採用した1990年代のポルシェ・968は2,992ccまで拡大している。 なお火炎伝播の問題からボア径に限界があるガソリンエンジンと異なり、トラック等に多用されるディーゼルエンジンでは気筒あたり1,000ccを超える大排気量の直4も使用されている。かつて路線バスは無過給の直6エンジンが主流であったが、排ガス規制強化によって直4ターボエンジンへの置き換えが進んでいる。
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