終端への道とは? わかりやすく解説

終端への道

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/20 10:10 UTC 版)

新興芸術派」の記事における「終端への道」の解説

1930年には春陽堂から「世界大都会尖端ジャズ文学」という叢書刊行され、その第1冊は「新興芸術派十二人」と銘打たれた『モダン TOKIO 円舞曲』で、川端康成久野豊彦阿部知二堀辰雄蔵原伸二郎、ささきふさ、吉行エイスケ中村正常井伏鱒二中河与一浅原六朗龍胆寺雄作品収録された。改造社円本現代日本文学全集」の一冊『新興芸術派文学集』(1931年)でも、十一谷義三郎池谷信三郎龍胆寺雄川端康成中河与一、の作品収められた。 浅原六朗久野豊彦龍胆寺雄らは元々新社会派を提唱しており、久野はクリフォード・ダグラスの経済学説を文学応用しようとして1930年に『新芸術とダグラスイズム』を刊行し久野浅原共著の『新社会文学』では「マルキシズムのいう『働かなければ食ふべからず』の文学は古い!」として、当時サラリーマンモダンボーイモダンガールのための文学というモダニズム志向があり、新興芸術派の他の作家には異質な印象与えていた。1930年10月には「1930年」が共同制作され、1932年3月浅原六朗新社会文学主要点」が発表される一方で横光利一1928年から29年にかけて「新感覚派技法思考方法総合」(伊藤整と言われ長編上海』の執筆集中し1929年10月には堀辰雄川端康成犬養健永井龍男深田久弥吉村太郎とともに文学』を創刊し小林秀雄訳のランボー地獄の季節」、淀野隆三佐藤正彰三宅三・神田龍雄訳のプルーストスワン家の方」が連載され井伏鱒二神西清らの作品掲載され1930年5月には『1930』と合併して作品』となり、形式主義、「芸術のための芸術主義動きみなされていた。また詩人の春山行夫の「感傷排して知的に詩を構成」しようとする詩と詩論』が1928年から発行され、そこから分裂した詩・現実とともにアンドレ・ブルトン超現実主義や、ジェイムズ・ジョイス紹介とともに阿部知二の「主知的文学論」や伊藤整の「新心理主義文学」などの二十世紀文学取り込む動き起きており、横光利一機械」(1930年)もプルースト影響によって書かれていたとされる新興芸術派は、平野謙が「芸術方法において独自なものを打ち出すことができなかった」と評したことからも1932年にはその活動見られなくなり、やがて阿部知二小林秀雄堀辰雄舟橋聖一ら新心理派あるいは芸術至上主義傾向作家軍と、久野豊彦浅原六朗吉行エイスケ龍胆寺雄新社会文学への進展企図しつつある作家軍に分裂したと言われるようになった。これはエロ・グロ・ナンセンス商品求めたジャーナリズム犠牲になったと言われ、また伊藤整は「政治的行動主義反対の、ニヒリスティック売文傾向を産ませた結果」によると評している(「昭和文学死滅したものと生きているもの」)。 この新興芸術派2年間ほどの活動期間での作品としては、川端康成浅草紅団」や、吉行エイスケ諸作品が特筆されるものとして残されている。「浅草紅団」は当時川端が「いはゆるモダアニズムが風俗にまた言葉軽佻浮薄踊り見せたが、大震災復興異様な生き生きしさもあった」という浅草を、モダニズム文学風な描写行なった作品で、「水族館多くの客を呼ぶ役にも立つたものであると言うように世間浅草への関心高めることにもなり、自身その後いくつかの浅草舞台にした作品書いたが、同様の文章で作品はこの一作のみになった当時のエロ・グロ・ナンセンスブームによる浅草のエロ・レビュー団で、エノケンこと榎本健一在籍していた第2次カジノ・フォーリーは「浅草紅団中でも取り上げられたことで注目浴びて人気となり、数多く同種のレビュー団が生まれて浅草オペラ出身者活躍し、また高井ルビー吹き込んだ銀座小唄」や、エロ・ダンスで人気河合澄子なども「浅草紅団」で取り上げられている。 プロレタリア文学運動1931年満州事変勃発に続く弾圧強化と、1933年小林多喜二獄死などで混乱向かったが、また1933年には『文学界』『行動』『文藝』が創刊され大正期活躍した既成作家復活含めて優れた作品生み出される文芸復興と言われる時代となっていった。

※この「終端への道」の解説は、「新興芸術派」の解説の一部です。
「終端への道」を含む「新興芸術派」の記事については、「新興芸術派」の概要を参照ください。

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