かくぶんれつ‐せいせいぶつ【核分裂生成物】
核分裂生成物
核分裂生成物
核分裂生成物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/20 22:22 UTC 版)
「トリウム燃料サイクル」の記事における「核分裂生成物」の解説
原子炉内の核分裂反応では一般に、放射性の核分裂生成物が発生し高レベル放射性廃棄物となる。 ウラン233も、ウラン235と同様に半減期100年以下の短・中寿命核分裂生成物と、20万年以上の長寿命核分裂生成物を生じさせる。しかしトリウム燃料サイクルでは、次項の超ウラン核種を再処理によって核燃料としてリサイクル可能なため、廃棄する必要があるのは核分裂生成物だけと仮定できる。 また、リサイクルが不完全な場合は超ウラン核種が廃棄物に含まれるが、これは廃棄物の放射能を減少させる可能性がある。
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核分裂生成物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 09:49 UTC 版)
核分裂の過程で原子核が分裂してできた核種を核分裂生成物という。核分裂片ともいう。分裂するときに魔法数に近い安定な原子核になろうとするため通常二等分になることはなく、質量数140程度と95程度の核に分裂することが多い。 核分裂生成物がどの核種になるかはある確率で決まる。この確率を収率という。核分裂する核種によって異なる収率分布をもっているので、核分裂生成物を分析すれば核反応を起こした親核種が判る。例えばウラン235が核分裂を起こした場合その核分裂生成物は80種類程度生じ、質量数は72から160と広範囲に分布している。これらは質量数90と140付近のピークを中心として鞍型の分布をなしている。 核分裂生成物は様々な核種の混合物であるが、総じて陽子数と中性子数との均衡を欠いており放射能を持つ。これらの放射性同位体は、陽子と中性子の均衡が保てるところまで壊変(主にベータ崩壊)を繰り返す。核分裂生成物の中には中性子を吸収すると比較的安定な核種になる物質が含まれる。このような物質は、原子炉に蓄積して核分裂連鎖反応を阻害するため、毒に例えて中性子毒あるいは単に毒物質と呼ばれる。原子炉を停止したり出力を変えた場合、放射性の毒物質の存在量は時間とともに変化するため、原子炉の挙動を不安定にする要因となる。 これらの崩壊速度は様々で、数秒から数ヶ月でほぼ崩壊しつくす短寿命の核種、100年単位の中寿命の核種、そして半減期すら20万年を超える長寿命の核種が知られている。放射性物質は基本的には寿命が短いほど少量でも放射能が強いものの短期間ですぐに減衰するが、逆に長寿命であれば放射能は少量ならば弱い(大量にあれば当然強い)が、時間が経ってもなかなか減らないという性質を持っている(比放射能も参照)。 短・中寿命核種は盛んに放射線を放って崩壊するため少量でも放射能が大きく、例えば1945年に原子爆弾の被害を受けた広島市と長崎市では、被爆者だけでなく家族や知人の行方を捜すため爆心地周辺に後日立ち入った人々が重篤な放射線障害を受けた原因となっている。 一方、長寿命核種は放射能は小さいが寿命が数万年以上に達するものもあり、大量に存在すると人間社会の尺度では半永久的に放射線を放ち続けることになる。このことは原子炉の使用済み核燃料の処分において重大な課題であり、ガラス固化体に加工したのちに地中深くに保管する地層処分などの手段が検討されている。 このように多数の核種から構成されている核分裂生成物であるが、核分裂が起こってからt分経過した後の全ての核分裂生成物の合計の放射能の強さの減衰は一定であり、 A ( t ) = A 0 t − α {\displaystyle A(t)=A_{0}t^{-\alpha }} で与えられる。ここでA0 はt = 0 つまり核分裂が起こった時点の放射能の強さ、αは定数であり1.2である。
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