有史以降(大航海時代以降)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/24 09:49 UTC 版)
日本社会では単に「ハーフ」と呼ばれる人々も、世界(ここでは主に欧米圏)では様々な名称で呼ばれ区別される。英語圏ではmultiracial, mixedなどの語が使われる。日本社会で一般的に「ハーフ」と呼ばれる日本(アジア)人と欧米系白人の混血は「ユーラシアン」と呼ばれ、欧米系白人とアフリカ系黒人の混血は「ムラート」と呼ばれている。また、欧米系白人(特にスペイン人)とインディオとの混血は「メスティーソ」と呼ばれ、ラテンアメリカでは人口の多くをメスティーソが占める国も少なくない。同じくラテンアメリカでは黒人とインディオの混血は「サンボ」と呼ばれる。 ユーラシア大陸のコーカソイドの多い西側とモンゴロイドの多い東側のちょうど中間に位置する国々には、両者の混血によって成立した民族が主要な国民である国や地域が存在する。例えば、フィンランドのフィン人、エストニアのエストニア人、ハンガリーのマジャル人、ブルガリアのブルガリア人、トルコ共和国のトルコ人、中国・新疆ウイグル自治区のウイグル族などは、コーカソイドとモンゴロイドの混血によって成立した民族である。彼らは、アメリカ大陸に西から来たモンゴロイドが、東から来たコーカソイドと混血して生まれたメスティーソの諸民族とは逆の事例である。 奴隷制度があった時代のアメリカでは、ワンドロップ・ルールというものが使われていた。これは、僅かでも黒人の血が入っていれば例え白人の血の方が圧倒的に濃くても黒人に分類されるという考えである。その為、白人と黒人の間に生まれた子供も多くが奴隷として売られていった。(例えば、第3代アメリカ合衆国大統領トマス・ジェファーソンが所有する奴隷であったサリー・ヘミングスは、4分の1だけ黒人の血を引いていたが、外観はほとんど白人に近く、真っ直ぐな髪を背中に垂らしていた。)ケニア出身の黒人の父とアメリカ出身の白人の母を持つバラク・オバマが「アメリカ史上初の黒人大統領」と呼ばれている事からも分かるように、奴隷制度が無くなった現代でもこの考えは無くなってはおらず、有色人種と白人の間に生まれた子供は有色人種に分類される事が多い。なお、現在のアフリカ系アメリカ人は他国のアフリカ系に比べると混血化が進んでおり、全体の約58%が8分の1以上、19.6%が4分の1以上、1%が2分の1以上白人の血が、5%が8分の1以上ネイティブ・アメリカンの血がそれぞれ混じっていると言われている。 パラグアイでは、国民の90%以上が、日本人と同じモンゴロイド系であるグアラニー人などのインディヘナの血が強い、スペイン人との間の混血(メスティーソ)である。これは、征服当初この地に住んでいたグアラニー人が、やってきたスペイン人と同盟して他のインディヘナを打ち破る過程で両者が積極的に混血を受け入れたこと、また、初代国家元首フランシア博士が政策的に異人種間の通婚を推奨、強制したためである。そのため現在のパラグアイ人は「グアラニー」の血を引くことを誇りに思っていて、小柄でアジア的な風貌の人も少なくない。 ナチスドイツ時代のドイツではアーリア人とその他の人種との混血が禁じられ(Rassenschande)、避妊手術を条件にドイツ人との結婚が例外的に認められた日本人歌手田中路子の例などがある。アメリカ合衆国でも公民権運動以前の1960年代半ばまで白人とその他の人種との婚姻が南部16州で法的に禁じられ、サウスカロライナ州のボブ・ジョーンズ大学では聖書に反するとして2000年まで異人種間(白人と非白人)の交際すら禁止されていた。
※この「有史以降(大航海時代以降)」の解説は、「混血」の解説の一部です。
「有史以降(大航海時代以降)」を含む「混血」の記事については、「混血」の概要を参照ください。
- 有史以降のページへのリンク