明法道の確立と貴族社会とは? わかりやすく解説

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明法道の確立と貴族社会

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/10 03:45 UTC 版)

律令法」の記事における「明法道の確立と貴族社会」の解説

神亀5年728年)、大学寮律令法教授目的とした律学博士設置され程なく明法博士改称された。明法博士による法曹教育仕組は後に「明法道」と称されるうになるが、その結果全ての貴族官人律令法知識有してその運用携わっていく前提崩壊し明法道学んで明法博士務め、あるいは刑部省検非違使所属した明法家」と呼ばれる法律家集団によって律令解釈が行われることとなり、官司請負制の展開とともに世襲化の様相を呈することになる。 律令国家から王朝国家へと転換した後も、天皇摂関太政官公卿らの支配階層によって理念上は律令法に基づく統治が行われていたが、現実には彼らは律令に関する知識を全く持っておらず、明法家も彼らが律令法関与することを批難した(例:『春記永承7年5月18日条・『左経記長元7年8月24日条など)。従って、太政官における陣定によって罪名定(五位上の官人対す裁判が行われる場合にも、実際に明法家法解釈示した明法勘文基づいて裁決出されるだけで、複数明法家出した明法勘文矛盾があった場合には太政官公卿は「法令通じていない」ことを理由裁決が行えず(明法勘文踏まえず裁決を出すことは「先例反する」として問題視された)、偶々先例知識から明法勘文重大な誤り存在発覚した場合でも、具体的な問題点を追及できなかった。こうした状況にやや変化みられるのは、院政期入ってからで源経信藤原宗忠藤原頼長といった律令通じた公卿登場する。これは本人たちの知的興味側面無視できないものの、後三条天皇記録所設置して以後明法家以外の公卿官人実際訴訟など携わる機会増大していったことが背景にあった考えられている。また、訴訟機関整備明法家訴訟直接関与表裏一体の関係にあり、訴訟起こすものがあらかじめ明法家明法勘文得て提訴起こしてその証拠したために、太政官訴訟利害関係者となった明法家諮問することができなくなって従来太政官での訴訟形態停滞して従来明法家判断のみに拘束されない新たな訴訟機関充実が必要とされた。九条兼実自身明法家呼んで質問(「法家問答」)を行い、また「記録所が出す勘文律令引用されているのは当然で、全ての官司にある者は法令通じているべきだ」(『玉葉建久6年9月2日条)と指摘している。こうした支配階層律令知識への関心の高まりが、明法家活動とともに鎌倉時代以後公家法形成院評定成立影響与えた考えられている。なお、鎌倉時代後期編纂された『明法条々勘録』は明法家中原章澄と公卿徳大寺実基議論元に編纂されているが、徳大寺具体的な条文などを挙げて質問行っていることが分かる。 ただし、異論もある。平安中頃まで争論国司の元で処理されていて、中央貴族関心少なかったが、11世紀中頃から、荘園公領制進展やそれへの国司側の対抗として一国平均役などが行われ、つまり荘園巡って権門貴族と国との争い生じやすくなり、それによる訴訟現地対応しきれずに中央持ち込まれることが増えて太政官裁定巡って明法家役割増大と、権門貴族律令への関心の高まりとにつながった、という可能性指摘されている。

※この「明法道の確立と貴族社会」の解説は、「律令法」の解説の一部です。
「明法道の確立と貴族社会」を含む「律令法」の記事については、「律令法」の概要を参照ください。

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