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日本の漫画

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2011/09/20 07:57 UTC 版)

漫画 > 日本の漫画

日本の漫画(にほんのまんが)は日本で制作された漫画の歴史・特徴について扱う。

目次

概要

“Manga”的キャラクターの例、ウィキペたん。

出版科学研究所の発表によると、日本国内で2006年に出版された漫画の単行本は10965点、漫画雑誌は305点存在する(廉価版が1450点含まれる)。また漫画と漫画雑誌の販売部数は、2006年に販売された出版物全体の36.7%に及ぶ。[1]

現在では日本の漫画および日本風の漫画を指す“Manga”[2]や、“Tankōbon”(単行本)といった語は欧米にも輸出されている。日本の漫画はアメリカン・コミックスや、フランス語圏のバンド・デシネなどの各国の漫画と比べて、モノクロ表現や独特のディフォルメ、ストーリー性などの異なる特徴を持っている。以前は『AKIRA』国際版の様にアメコミ形式に再構成や彩色が行われる事が多かったが、近年はむしろ日本漫画の特徴を押し出して原書に近い形で出版されている。一方で翻訳は日本独自の文化や擬態語などのために苦労が見られる。[3]

外来語である「アニメーション」(アニメ)という言葉が1970年代後半から一般化し始めるまでは、テレビアニメアニメ映画などのアニメーション作品及び児童向けドラマ特撮作品を含む)も「漫画」「まんが」「マンガ」と呼ばれていた(例 「東映まんがまつり」「まんが日本昔ばなし」など)。このため当時の世代を中心に今でもアニメや特撮作品を漫画、テレビまんが、まんが映画と呼ぶ者もいる。また1960年代、1970年代のアニメ作品の主題歌集CDなどでは現在でも「テレビマンガ」という表記が使われることもある。

出版社などビジネスの世界では、漫画絵のことをしばしば「ポンチ絵」と呼ぶ。これは、イギリスの風刺漫画雑誌『パンチ』をもとに日本国内で在留中のイギリス人によって創刊された日本最初の漫画雑誌『ジャパン・パンチ』を語源とする。「ポンチ絵」は書籍業界に限らず、建築業やIT業などの製造業界でも「製品イメージが伝わる簡単なスケッチ」という製品概念・構想図を意味する製図用語として使われている。

歴史

語源

葛飾北斎『北斎漫画』

「漫画」という言葉は、字義的には「気の向くままに漫然と描いた画」という意味である。「漫画」という用語は日本で生まれたが、どのような経緯で生まれたかはよくわかっていない。中国から伝わった「気の向くままに(文章を)書く」という随筆を意味する漢語「漫筆」が日本で「漫筆画」という絵を描く意味も含ませた語に派生し「漫画」になったとする説[4]と、中国語名で「漫画(マンカク)」というヘラサギ(箆鷺)の一種をもとに、ヘラサギは雑食で水をくちばしでかき回して何でも乱雑に食べることから「種々の事物を漁る」「雑文」「様々な事柄を扱う本」を指す意味になったとする説がある。いずれも文章を指す用語が絵を指すように転じたとされる。『日本近代漫画の誕生』は、「マンカク」が戯画の意味を持たないことを指摘し、前者を支持している。

1798年に発行された絵本『四時交加』の序文では、山東京伝により「気の向くままに(絵を)描く」という意味の言葉として、用語「漫画」が使用されている[5]1814年葛飾北斎北斎漫画により、「漫画」は戯画風のスケッチを指す意味の言葉として広まった。『北斎漫画』は絵手本(スケッチ画集)であったが、戯画や風刺画も載っていた。『北斎漫画』が示すとおり、江戸時代から「漫画」という言葉自体は存在したものの、この「漫画」は「戯画的な絵」「絵による随筆」という意味合いが強かった。北斎漫画は第二次世界大戦後も版行されるロングセラーとなり、幅広い層に愛読された。この影響を受け、尾形光琳の『光琳漫画』(1817年)などいくつもの戯画風の絵を載せた書籍が「 - 漫画」というタイトルになっている。明治時代に入っても月岡芳年の『芳年漫画』(1885年)など、「 - 漫画」の伝統は失われていない。ただしこれらはまだ「漫筆画」の意味に近く、現代語の「漫画」と同じ意味とは言えない。

日常語として「漫画」という言葉が使われ始めたのは昭和時代からで、それまでは「ポンチ」や「鳥羽絵」、「狂画」、「戯画」などと呼ばれていた。現代人と同じ意味で「漫画」という語を使い始めたのは明治時代の今泉一瓢(いまいずみ いっぴょう)である。一瓢は1895年10月31日、風刺画を中心とする『一瓢漫画集初編』を出版、"caricature"または"cartoon"の訳語として「漫画」を用いている。なお、明治期に日本に入ってきた"cartoon"と"comic"の訳語として「漫画」という言葉を使用したのは、北澤楽天が最初であり[6]、以後この意味での「漫画」が現代における漫画という語へ定着するようになった。[7]

漫画という語は大正時代に中国に輸出され、また manga のつづりでヨーロッパ語圏でも通じる日本語の一つになった。ヨーロッパ語圏では、"manga" は日本の漫画のみを指す言葉である。[8][9]

日本の漫画の歴史

詳細は「日本の漫画の歴史」を参照

構成

表現の形式

コマの読み進め方。1コマ目の小さな数字はふきだしを読む順番である。

日本の漫画は普通「コマ・登場人物・背景・ふきだし・音喩・漫符・台詞・その他の技法」から成る。まず一般的なストーリー漫画の表現形式と技法を以下に挙げる。

  • 紙面はコマと呼ばれる枠によって分割されており、それぞれが一つの場面を表す。読み手はあるコマを読んだ後、次のコマはどれか判断しなければならないが、順序は明示されずに暗黙の了解とされている場合が多い。例外もあるが、基本的な右綴じ(縦書き)漫画のコマの読み進め方は以下の通り。
    • 右から左のページへと読み進める。
    • ページ内においては、上段から下段へ向かって読み進める。
    • 同じ段に複数のコマが存在する場合は、右から左へ向かって読み進める。
    • 隣接するコマとの間の間隔(空白)に明らかな違いが設けられている場合、近いコマを次に読む。
    • 次ページに跨っているコマは、そのページの最後に読む。
    • コマに番号が振られている場合(一部の4コマ漫画や初期の漫画などに見られる)は、番号順に読み進める。

漫画のセリフ・ナレーション等の主な文章が横書き(左綴じ)の場合、この例の鏡面対称となる読み順となる。 このため、縦書きで描かれた日本語の漫画を(アルファベットの様に)左から右に読む正書法の言語で翻訳・出版する場合、オリジナルの漫画を鏡面コピーした上で文字の翻訳をするという事が行われる。この方法は右利きの人が左利きになったり信号の色が左右逆だったりする弊害を生み、これを嫌ってオリジナルの画のままで翻訳もされるがこの場合、左から右に読む正書法を使い慣れた読者には不自然な読み順となってしまう。

技法

  • 登場人物のセリフや思考はふきだしと呼ばれる枠の中に文字で書かれる。フキダシの形や文字の字体により語調を表す。
  • 擬音語擬態語(オノマトペ)が、手書きの書き文字として絵の中に書かれる。細々としたセリフが書き文字で書かれる事もある。
  • 漫符と呼ばれる一種の記号を使用して、人物の心理や動作、ものの動きなどを明示的に表現する。
  • 意図的に何も描かず空間を出して物語おける”時間の間”を生み出したり、またキャラクターの心情をいくつかのコマ分割で描写する事で、キャラクターの心情心理を描写し、物語の奥行きを与えている。

詳細は「ふきだし」、「音喩」、「漫符」をそれぞれ参照




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  1. ^ a b 『2007出版指標年報』 全国出版協会・出版科学研究所、2007年。ISBN 978-4-9901618-4-2
  2. ^ 文化輸出品としてのマンガ-北米のマンガ事情-第1回「北米市場規模と現在の状況」
  3. ^ 一例として、『魔法先生ネギま!』単行本20巻巻末に、同作の各国語版の翻訳比較が掲載されている。
  4. ^ 清水 勲 『日本 漫画の事典』 p53 ISBN 4-385-15586-0
  5. ^ 「平常、舗中ニ在ツテ梧ニ凭リ、偶、夫ノ貴賎士女老少等ノ大路ニ交加スル所ヲ漫畫シ」 山東京伝『四時交加』(1798年) 序文
  6. ^ 清水 勲 『日本 漫画の事典』 p102-103
  7. ^ 美鈴, 窪田. “視覚伝達メディアとしての尾竹国観の「ポンチ」 (PDF)”. 「表現文化研究」第2巻第1号2002年度. 神戸大学表現文化研究会. pp. 11-30. 2011年8月28日閲覧。
  8. ^ Definition of manga”. Merriam-Webster Online. 2008年5月15日閲覧。
  9. ^ ドイツ語版ウィキペディア「Manga」、スペイン語版ウィキペディア「Manga」など
  10. ^ いまコミックはどうなっているのか”. コラム. 出版科学研究所 (2006年12月12日). 2007年10月4日閲覧。


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