改名後の経緯―映画の主演俳優として認められるまで
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「チョン・ジェヨン」の記事における「改名後の経緯―映画の主演俳優として認められるまで」の解説
無名時代に結婚したチョン・ジェヨンは、なかなか売れないのは僧侶のような名前がよくないからではないか、という義母の助言を入れて芸名を変えたという。1999年に義母のつけた芸名がチョン・ジェヨンであり、映画『ゴーズトタクシー』(2000年)からクレジットにこの名前が用いられている。改名が功を奏したのかどうかは別として、2000年前後からは映画で重要な役割が割り当てられるようになっている。そして、売れ始めた頃には彼はもう妻帯者であるだけでなく一児の父親であった。彼が初めて話題性の高い映画の主役としてクレジットに名を連ねたのは、2001年公開の『ガン&トークス』であった。盟友チャン・ジン監督によって、すでに名前の売れていたシン・ヒョンジュン、シン・ハギュン、ウォンビンとともに、主役の4人の殺し屋のうちの最も比重の低い役を演じる機会を与えられた。この映画はその年の観客動員数ランキングの第7位となり(87万人の動員)、彼の名前はようやく世間に知れ渡った。ちなみに、2007年にはチョン・ジェヨンという芸名を本名にするために、法的な手続きを行っている。 1990年の映画デビュー以降長い下積み時代を過ごしたチョン・ジェヨンが、演技者としての実力を本当に認められたのは、映画『シルミド』(2003年)であった。これは韓国で1968年に実際に起こったシルミド事件(実尾島事件)を題材とした映画であり、韓国国内で1,108万人もの観客を動員し、2003年の観客動員数ランキングの第1位に輝いている。チョン・ジェヨンはこの映画で、助演でありながら主演といってもよいほど重要な役割を果たしている。具体的には、北朝鮮における極秘任務を志し仲間の死に耐えながら激しい戦闘訓練を受けたものの、最終的には国家に裏切られた一兵士の激しい苦悩を表現して、第25回青龍映画賞男優助演賞を獲得している。 2004年公開の映画『小さな恋のステップ』はチャン・ジンの監督作品である。この映画でチョン・ジェヨンは、かつては一流の野球選手であったけれども今では二軍落ちし、恋人にも別れを告げられた男を演じている。彼は惨めな男に突然に舞い降りた新しい恋のときめきと、それに伴う心の再生を柔らかく演じて、第25回釜山映画評論家協会賞の男優主演賞を受賞し、安定感のある演技のできる主演俳優として確実に認知された。 『シルミド』『小さな恋のステップ』に出演して以降のチョン・ジェヨンのキャリアは順調であり、毎年のように芸術性や話題性の高い映画に主演し、多数の映画賞を受賞している。また、映画館に観客を呼ぶことのできる俳優としても評価されるようになっている。 映画『トンマッコルへようこそ』(2005年)は1950年代の朝鮮戦争を題材として、チャン・ジンが脚本を手がけ、パク・クァンヒョンが監督を務めた作品である。山あいの村トンマッコルで本来は敵味方にわかれるはずの北朝鮮軍兵士や国連軍のアメリカ人兵士が秘かに友情を育み、この村を戦争の砲火から守るために一致団結して命を賭ける物語のなかで、チョン・ジェヨンは北朝鮮の人民軍将校を演じている。そして、最初は韓国軍兵士に対して強い警戒心を抱いたものの、徐々に打ち解けていく経過を情感豊かに表現して、第5回ディレクターズカットアワード今年の俳優賞を獲得している。また、この映画は韓国国内で800万人の観客を動員し、2005年の観客動員数ランキングの第2位を記録している。 映画『正しく生きよう』(2007年)では、チョン・ジェヨンは銀行強盗逮捕のための模擬訓練で、犯人役に抜擢された警官を演じている。そして、馬鹿真面目な性格ゆえに要領よく訓練を終わらせられず、最終的には特殊部隊まで投入され事の次第がテレビで全国中継されるようになるまで行動をエスカレートさせていく様子を、あるときはシリアスに、あるときはコミカルに描いている。この作品によって彼は第5回最高の映画賞(マックスムービー)主演男優賞を受賞している。また、この映画は2007年の韓国国内の観客動員数ランキングの第8位となっている(219万人の動員)。 映画『彼とわたしの漂流日記』(2008年)では、チョン・ジェヨンは自殺に失敗してソウルを流れる漢江の小島に漂流し自給自足の生活を始めた男を演じており、高層マンションの窓辺から望遠鏡を通して偶然彼を見つけた引きこもりの女との奇妙ではあるが温かい交流の深まりを丁寧に描いている。この映画の撮影は渡り鳥保護区域で行われており、それまで一切撮影不可能であったが初めて許可されたという。また、チョン・ジェヨンはこの映画によって第32回黄金撮影賞主演男優賞を受賞している。『正しく生きよう』『彼とわたしの漂流日記』に象徴されるような奇想天外な物語展開を含んだ映画は、下手をすれば現実味に欠ける軽薄な作品となる危険性もあるが、チョン・ジェヨンの確かな演技力によって、あり得ない話でありながら共感をよぶ人間臭い作品に仕上がっている。 映画『神機箭』(2008年)は李氏朝鮮の世宗の時代(15世紀)を題材とした時代劇であり、チョン・ジェヨンは仲間とともに世界初の連発ロケット火砲である神機箭(シンギジョン)の開発に尽力する商人を伸びやかに演じている。彼はトピックとして、映画なかでキスをしたのはこの映画が初めてであると明かしている。キスシーンの撮影が予定された日には煙草もコーヒーも控えたが撮影はなく、煙草もコーヒーも控えなかった翌日に撮影が行われたという。この映画は質の高さを評価されて、第46回大鐘賞の最優秀作品賞、編集賞、音響編集賞を受賞している。チョン・ジェヨン自身も大鐘賞の主演男優賞にノミネートされたが、惜しくも受賞を逃している。また、この映画は2008年の韓国国内の観客動員数ランキングの6位となっている(372万人の動員)。さらに2008年には彼はソル・ギョング主演の人気映画シリーズ『公共の敵』の3作目『カン・チョルジュン 公共の敵1-1 』にも敵役の暴力団のボスとして出演している。この映画は観客動員数ランキングの4位となっており、彼の二つの出演作品が10位以内にランクインしている。
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