形状関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 06:58 UTC 版)
前縁(ぜんえん) 翼の前側のふち。しばしば英語の Leading Edge から LE とも表記される。詳細は「前縁」を参照 後縁(こうえん) 翼の後ろ側のふち。しばしば英語の Trailing Edge から TE とも表記される。 翼弦線(よくげんせん) コードライン (chord line) とも言い。前縁と後縁を結んだ直線のことである。この部分の長さは翼弦長あるいはコード長といい(単に「翼弦」で長さについていうこともある)、数式では c や l などと表記される。 翼型(よくがた) 翼を翼弦に沿って縦に切った断面のこと。エアフォイル (airfoil/aerofoil)、翼断面とも。流れの性質(速度・粘性など)に応じて様々なかたちが存在し、翼の性能を大きく特徴づける重要な要素。 中心線 翼の上面と下面から等しい距離にある点を前縁から後縁まで繋いだ線。 キャンバー 中心線の反りの大きさを表すもので、分かりやすく言えば中心線と翼弦線の差を表す。一般的にキャンバーというと最も差が大きい部分(最大キャンバー)を指すことが多い、最大キャンバーを翼弦長で割り百分率(%)に直して表示する。最大キャンパーの位置は、前縁から翼弦長の15-40%前後が多く、また、キャンバーがある場合、迎角が0度の状態でも揚力を発生する。またキャンバーが0の翼型を対称翼という。 翼厚 翼の最大の厚さを翼厚といい、最大翼厚を翼弦長で割り百分率(%)に直してから、最大翼厚比として表示する。最大翼厚の位置は、一般翼においては前縁から翼弦長の20%前後が多く、高速機に使用されている層流翼においては40%まで下げて抗力を少なくしている。 前縁半径(ぜんえんはんけい) 翼の前縁の丸味の半径のこと。同じ翼厚でも、前縁半径が大きいほど揚力係数が大きくなり、翼上面の気流が翼から離れる剝離が起きにくくなる。逆に前縁半径が小さいと剝離が早く起きるようになる。 翼端(よくたん) 翼の先端部分でウィングチップ (Wing tip)とも呼ばれる。翼端にはウィングレットなどさまざまな形状がある。 翼付根(よくつけね) 翼付け根、翼根とも呼ばれ、航空機胴体に最も近い翼の部分。翼付根は航空機を介して最大の曲げ力を受ける。 翼幅(よくふく) 翼の横幅の長さ。スパン (span)、ウィングスパンとも。回転翼の場合、ブレード一枚の長さ。数式では b と表記されることが多い。 翼平面形(よくへいめんけい) 翼を真上から見たときの形。単に平面形とも。テーパ(先細)だったり、楕円形だったり、後退角が付いていたりする。この形状が翼の特性を大きく左右する。詳しくはリンク先を参照。 翼面積 翼平面形の面積。投影面積とも。翼を平面に投影したときの最大投影面積を翼面積とする。胴体と重なる部分も含めて考える。数式では S で表されることが多い。 アスペクト比 一般には長方形の縦と横の長さの比のこと。細長比あるいはアスペクトレシオとも。翼の場合、(翼幅)2÷翼面積という無次元数で表す。例えば、ムササビは 1〜2、ボーイング 747-400 は約 8、ワタリアホウドリは 15 程度である。アスペクト比が大きいほど、後述する揚抗比が大きくなり。翼に発生する誘導抗力が小さくなる。例えば長距離の洋上飛行を要求される海鳥は、一般に陸の鳥よりも細長い翼を持つ。数式では AR や A などと表記される。 テーパー比 翼中央部の翼弦長と翼端部の翼弦長の比率。一般的にλ(ラムダ)で表される。 迎角(げいかく) 迎え角(むかえかく)、AoA(えーおーえー、Angle of Attack)とも。翼弦線(コードライン)と流れのなす角度。数式では α(アルファ)と表記されることが多い。揚力の大きさは概ね迎え角に比例して増大する。飛行機の胴体線と翼弦線のなす角である「取付け角 (angle of incidence)」 、進行方向となす角度とは必ずしも一致しない。 上反角(じょうはんかく) 水平面から斜め上に突き出すように取りつけられた翼の場合に、水平面と翼とがなす角。簡単に言うと、翼がバンザイしている角度。飛行の安定性に関わる要素で簡単に言えば、上反角をつけるとバンクを戻す方向に力が働く。即ち、外力による乱れに対して姿勢を元に戻す復元力が働く。(ただし上反角をつけすぎると、復元力がバンク角を超えてしまい、結果として機体を反対へ倒そうとする力が働き、却って不安定となる。また、方向安定性が弱い場合だと、ダッチロールと呼ばれる蛇行運動を起す。その場合、上反角を減らしたり逆に下反角をつけたり、または尾翼の見直し等の設計調査を行う) 下反角(かはんかく、げはんかく) 水平面から斜め下に突き出すように取り付けられた翼の場合に、水平面と翼とがなす角。下反角をつけると安定性が低くなるため、古くはタブーとされたが、主翼に大きい後退角がある高速ジェット機では後退角による復元力が大きすぎ、下反角をつけて調整する場合がある。特に安定性よりも自在に飛行することが重要である戦闘機は下反角が付けられているものがある。
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