弾性車輪
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/17 03:46 UTC 版)
車輪をタイヤと輪心に分割して、両者の間に防振ゴムを挟み込み、押さえボルトと押さえ金で押さえ込み固定する構造を持つ車輪で、防振と騒音低減が主目的である。明治期の鉄道初期時代のマッチ箱客車の車輪にはホイールとタイヤの間に樫材を入れて騒音低減をはかっていた。しかし経年変化による樫材の劣化によりタイヤに緩みが出るため、このような構造を持つ車輪は一旦は使用されなくなった。その後、防音の効果が非常に大きいのみならず、防振の面からもPCCカーを中心とする路面電車で賞揚され、1950年代以降に日本でも和製PCCカーや無音電車と呼ばれるPCCカーの技術を取り入れた車両を中心に、一部の路面電車で導入された。日本の一般向け鉄道車両では名古屋市交通局で採用されたほか、1980年代中盤に広島電鉄がドイツ流のゴムブッシュ圧入式弾性車輪を使用する70形(GT-8)をドルトムント市から輸入している。1998年に、ドイツ高速鉄道ICEにて、弾性車輪を採用した車両が走行中に車輪が破断して、多数の死者を出す事故を起こした。事故の直接的な原因は弾性車輪のタイヤが疲労破壊を起こしたことであった。これ以降ICE(第一世代)では弾性車輪の採用を取り止めて、すでに第二世代用として採用されていた一体車輪に統一している。詳細はエシェデ鉄道事故を参照のこと。
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弾性車輪
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/13 17:09 UTC 版)
防振ゴムの鉄道車両用台車での最初期の応用例となったのは、弾性車輪である。 これは車輪のディスク部とタイヤ部を焼き嵌めとせず、タイヤ内周部にボルト穴を設けてディスク部とボルト・ナットで位置決めし、両者間に防振ゴムシートを置いてこれを締め付け固定する、あるいはディスク部とタイヤ部の間にゴムブッシュを圧入して固定するというものである。この弾性車輪は、防振もさることながら防音の効果が非常に大きいことからPCCカーを中心とする路面電車で賞揚され、日本にも和製PCC車と呼ばれるPCCカーの技術を取り入れた車両を中心に、1950年代以降一部の路面電車で導入された。 だが、この弾性車輪には、表面積が大きなディスク部とタイヤ部が分離され、その間に熱伝導率の低いゴムが介在するため、踏面ブレーキを連続使用した際に摩擦熱を放熱することが難しいという問題がある。さらに、熱や衝撃でタイヤ部が変形・割損する危険もあるため、高速電車での使用に適さない。 そのため、日本ではこの弾性車輪は新幹線開発の過程で試験が行われたものの、一般向けでは名古屋市交通局を除くと、1980年代中盤に広島電鉄がドイツ流のゴムブッシュ圧入式弾性車輪を使用する70形 (GT-8) をドルトムント市から輸入し、その保守を通じて運用ノウハウを習得するまで、約20年にわたって半ば忘れ去られた技術と化していた。 このような事情もあり、日本での防振ゴムの鉄道車両用台車、特に高速電車用台車への適用は以後、台車本体の1次・2次ばねに対するものが主流となってゆく。
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