寛容
寛容とは、広い心をもち他を受け入れるさま。具体的には、自分とは異なる意見や価値観を安易に拒絶せず許容しようと努めたり、他人の失敗や失礼な振る舞いをことさらに咎めだてせず許そうとする姿勢などが「寛容である」(寛容だ)と形容される。
寛容の意味
寛容の「寛」の字には「(気持ちや心が)広く大きい」という字義がある。「寛容」の他に「寛大」「寛恕」などの語で用いられている。寛容の「容」は「容れる」の意であり、容器や容姿のように多種多様な字義を持つ字であるが、寛容の容の字義は「許す」「咎めだてしない」といった意味合いと捉えられる。「容認」「許容」「容赦」などの「容」の字義もこれに該当する。寛容の類義語
「寛容」と似た言葉に「寛大」がある。寛容も寛大も「心が広い」という意味を中心とする語であり、どちらの語を用いても適切な場合少なくないが、とりわけ「寛容」は「他を許して受け入れる」というニュアンスを込めて用いられやすい。また、「細かいことをいちいち咎めだてしない余裕のある態度」という意味合いでは、寛容や寛大の他に「鷹揚」のような表現も当てはまる。
寛容の対義語
寛容の対義語としては「不寛容」、および「狭隘」のような表現が挙げられる。「狭隘」は「土地の狭さ」および「心の狭さ」「心の余裕のなさ」を形容する語である。かん‐よう〔クワン‐〕【寛容】
読み方:かんよう
1 心が広くて、よく人の言動を受け入れること。他の罪や欠点などをきびしく責めないこと。また、そのさま。「—の精神をもって当たる」「—な態度をとる」「多少の欠点は—する」
2 ⇒免疫寛容
[派生] かんようさ[名]
かんよう〔クワンヨウ〕【寛容】
寛容
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/06 07:34 UTC 版)
日本語の「寛容」は、明治になって翻訳された語で、英語"Tolerance"の語源は、endurance、 fortitude で、もともとは「耐える」、「我慢する」という意味をもつ言葉である。次第に「相手を受け入れる」の意味をも含むようになったが、無条件に相手を受け入れるというより、自分の機軸にあったものだけを許す、という意味あいが強い[1]。
- ^ 保坂俊司「インド仏教思想における寛容思想とその展開」釈悟震 他『インド宗教思想の多元的共存と寛容思想の解明』山喜房仏書林、2010年、pp.240-282.
- ^ “Tolerance”. Merriam Webster. 2012年4月7日閲覧。
- ^ a b 深沢克己『信仰と他者〜寛容と不寛容のヨーロッパ宗教社会史』東京大学出版会、2006年, i頁
- ^ 深沢克己 (2006, p. 19)
- ^ a b c d e 宇野p89-97
- ^ 井上公正『ジョン・ロックとその先駆者たちーイギリス寛容論研究序説ー』お茶の水書房、1978年、p.33-34.
- ^ 井上公正 (1978, p. 34)
- ^ 井上公正 (1978, p. 35)
- ^ 井上公正 (1978, pp. 34–35)
- ^ 井上公正 (1978, p. 36)
- ^ 井上公正 (1978, pp. 38–39)
- ^ 井上公正 (1978, p. 246)
- ^ 井上公正 (1978, pp. 247–250)
- ^ 井上公正 (1978, p. 247)
- ^ 大槻春彦責任編集『ロック ヒューム〔第3版〕』世界の名著27、中央公論社、昭和45年、p.361.
- ^ 井上公正 (1978, p. 248)
- ^ 大槻春彦責任編集『ロック ヒューム〔第3版〕』世界の名著27、中央公論社、昭和45年、p.369.
- ^ 井上公正 (1978, p. 250)
- ^ 大槻春彦責任編集『ロック ヒューム〔第3版〕』世界の名著27、中央公論社、昭和45年、p.363.
- ^ 大槻春彦責任編集『ロック ヒューム〔第3版〕』世界の名著27、中央公論社、昭和45年、p.18-19.
- ^ 串田孫一責任編集『ヴォルテール ディドロ ダランベール〔第7版〕』世界の名著29、中央公論社、昭和52年、p.327.
- ^ 串田孫一責任編集『ヴォルテール ディドロ ダランベール〔第7版〕』世界の名著29、中央公論社、昭和52年、p.334.
- ^ 串田孫一責任編集『ヴォルテール ディドロ ダランベール〔第7版〕』世界の名著29、中央公論社、昭和52年、p.26-27.
- ^ 串田孫一責任編集『ヴォルテール ディドロ ダランベール〔第7版〕』世界の名著29、中央公論社、昭和52年、p.27.
- ^ ヘルベルト・マルクーゼ、『抑圧的寛容』ロバート・ボールウェルク、ベリントン・モア2世との共著『純粋寛容批判』 せりか書房 1968年に所録
寛容
「寛容」の例文・使い方・用例・文例
- 彼女はいつも人に対して寛容な態度で接している
- 他人にはもう少し寛容であるべきです
- その国では文化的な不寛容さに対していらだつことがあるかもしれない。
- 彼は、そのようないじめっこを含めた全員に寛容な態度を保ち続けている。
- あなたはそれに対して寛容に対応してくれました。
- 寛容な人
- 私はあなたの寛容さに感銘を受けています。
- 私はあなたの寛容で高潔な態度に感銘を受けています。
- 彼は寛容だった。
- 彼は私に寛容だった。
- 彼女は寛容な心を持っている。
- 我々は、誰であろうとテロ活動に携わるものに寛容でいるつもりはない。
- 商売は商売だ 《寛容とか感情は禁物》.
- 人種的不寛容.
- 寛容は無関心の別名.
- 彼は他人に対し寛容である.
- 寛容な教師.
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