内容・来歴
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著者はルートヴィヒ・プリン(Ludwig Prinn、ルドウィク等の表記もある)。原題は『デ・ウェルミス・ミステリイス』(De Vermis Mysteriis)。 著者のプリンはフランドル出身の錬金術師、降霊術師、魔術師で、第九回十字軍の唯一の生き残りを自称していた。十字軍参加時に、捕虜として拘留されていたシリアで魔術を学び、異端審問によりブリュッセルで焚刑に処せられる直前に、獄中で本書のラテン語原本を執筆した。 プリンの死の翌年、1542年にケルンで出版された初版本は、鉄製の表紙をした黒く分厚い本。出版直後に教会から出版禁止処分を受け、後に内容を大幅に減らした検閲済削除版が出版される。市場に出回ったのは無害な検閲済版であり、危険な初版本は入手難となった。ブライアン・ラムレイ著『妖蛆の王』によると、1820年にチャールズ・レゲットによる英語版が刊行されたが、これは初版本を翻訳したものだという。 特に、「サラセン人の儀式」という章にて古代エジプトの(異端的)信仰が詳しく解説されており、創造者ブロックのエジプト作品にて頻出する。『The Shambler from the Stars』では表題の生物=星の精の召喚方法が書かれていた。 エジプトの神や蛇神(Worm=蛆/爬虫類)にも詳しい。例:父なるイグ(蛇神)、暗きハン(蛇神)、蛇の髪持つバイアティス。エジプト神話でよく知られている鰐神セベク、猫神ブバスティス(エジプト神話のバステト)、アヌビスなどについても描かれるが、異端の邪神としての側面が大きい。エジプト史から抹消されたナイアーラトテップ信仰や暗黒のファラオたるネフレン=カ王についても書かれている。 ラヴクラフトはメインには使用していないが2度自作に登場させており、ミスカトニック大学付属図書館に1冊(時間からの影)と、<星の智慧派>教会跡地に1冊(闇をさまようもの)あると設定している。 スティーブン・キングの短編集『呪われた村』において、物語のキーアイテムとして登場する。この本はラテン語とルーン文字の混成版。
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内容・来歴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 23:45 UTC 版)
氷河期以前に、ヨーロッパ北方グリーンランドのあたりに存在したハイパーボリア大陸(王国)で成立した。原本はハイパーボリアの言語で書かれた。このハイパーボリア語版を特に、別名『象牙の書』とも呼ぶ。 著者は魔術師エイボンとも、彼の弟子サイロンとも。エイボンはゾタクア(ツァトゥグァの異称)を信仰する黒魔道士であり、最終的には王国の神官に討伐されかけ、失踪している(土星=サイクラノーシュに逃走した?)。サイロン編纂説だと、師の失踪後に残された弟子がまとめたとなる。なお、エイボン討伐が失敗に終わったことで、ハイパーボリアにはゾタクア信仰が広まり、特にヴーアミ族が力をつけて国は衰退する。 エイボンの書には、ハイパーボリアの独特の知識が記載されている。またネクロノミコンに書かれていないことや補足的な情報も存在する。両書を対照した作中人物は、エイボンの書をアブドゥル・アルハザードの知識の源泉と推測し、また知った上であえてアル=アジフ(ネクロノミコン)に書かなかった可能性を指摘している。 クトゥルフ神話の魔導書の中では、数がかなり多く存在する。ハイパーボリア語版が、中世のヨーロッパに持ち込まれている。時代を重ねて翻訳と写本が重ねられたことで、複数の言語の版がある。ミスカトニック大学付属図書館にも複数の版(断片)が収蔵されており、幾つかは所持者の死後(=事件後)に寄贈されたものである(例:『ハスターの帰還』のエイモス・タトル。ルルイエ異本を持っていた人物)。 神々の、ハイパーボリア由来での異称の情報源でもある。作劇として、スミスは神の名前を時代や場所に応じて変える。先述の多言語版が存在することも踏まえて、ツァトゥグァ(Tsathoggua)→ゾタクア(Zothaqquah)、ヨグ=ソトース(Yog-Sothoth)→ヨク=ゾトス(Yok-Zothoth)、クトゥルフ(Cthulhu)→クトルット/クトゥルト(Kthulhut)などとなる。
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