モデル36 ボナンザ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/03 15:02 UTC 版)
「ビーチクラフト ボナンザ」の記事における「モデル36 ボナンザ」の解説
1960年代後半になると、セスナ社製206/207シリーズ、パイパー社製チェロキーシックスシリーズなど、単発機でもキャビン容量が大きく荷物も沢山積載できるモデルが登場し、新たなマーケットを形成し始めた。そこでビーチ社はモデル33の胴体を延長し、このような多用途貨物機のマーケット向けにリリースした。現在もモデルG36の生産が続いている。 モデル36(1968年 - 1969年) 184機生産。コンチネンタル社製IO-520(285hp)搭載。モデル 36は、モデル33の胴体を翼桁から前方へ延長するとともに後部隔壁をさらに後方へと移動することでフル6席となり、胴体後部右側に観音開きドアを設け、居住性と実用性が飛躍的に向上した。 モデルA36前期型(1970年 - 1984年) 主翼端部形状変更、胴体後部(Tail Cone)形状変更。モデル 36は当初の目的が多用途貨物機であったため簡素な仕様で登場したが、顧客がビーチクラフト機に求めていたのは豪華さであり、ビーチ社の開発意図とは裏腹に、市場からはリムジンのようなキャビン容量と雰囲気が評価された。それに答えるようにモデルA36は年々豪華になっていき、コンパートメント風の向かい合わせリアシート配置(Club Sheeting)やマホガニー製の折りたたみ式テーブル(Exective Writing Table)など、上級機種キングエアのような豪華さとイメージで、またたく間にボナンザシリーズのフラッグシップとなった。 モデルA36後期型(1984年 - 2005年) エンジンをコンチネンタル社製IO-550-B(300hp)に強化。エルロン前方の主翼前縁にヴォルテックス・ジェネレーター(渦生成目的の羽根状突起)を装備し、極低速域でのエルロン操舵性を向上させた。気圧連動式の混合気自動調整を廃止し、ピストン、コンロッドなど回転部品のバランス取りを施した特別仕様のコンチネンタルIO-550-B エンジン(スペシャルエディションと称する)を標準装備する。 スローオーバー操縦桿を廃止し、一般的な複式操縦系統となった。エンジン操作レバー類はプッシュプル式からクオドラントレバー式に改め、散在していた各種スイッチ類も機長席前面のスイッチパネルに集中し、操作性が向上、脚操作レバーとフラップ操作レバー位置を一般的な配置に変更、従来よりボナンザシリーズの特徴及び注意点とされていたものを一般的なレイアウトに変更した。エンジン計器にはレシプロ機としては初めてタービン機スタイルの小径計器が採用され、後に他社製レシプロ機にも影響を与えた。これらによって、アビオニクスのパネル面積が増加し、IFR訓練機としてより適した計器レイアウトが可能となった。 2000年からは、アビオニクスにGPS/NAV/COMの複合システムであるガーミン社製GNS500/400シリーズを搭載、キング社製KFC225オートパイロット、オプション装備のStorm Scorp/Shadin Fuel Manegiment/Terrain Alertなどによって、より複合的で高度なフライトマネジメントを可能にしている。'Most IFR capable Bonanza'とは当時のカタログの弁。 カタログ上の選択モデルとして、高級乗用車メーカーのジャガー社とのコラボレーションモデル(Jaguar Edition、特別ペイントスキーム、ジャガー・XJシリーズを模した本革シート、アームレスト、内装トリム類)が少数存在する。 モデルG36(2005年) 現在生産中。アビオニクスに複合的グラスコックピットであるガーミン社製G1000システムを搭載。2007年モデルイヤー半ばから内装トリム(Side Wall)のデザインを変更。ボナンザ誕生60周年を記念した特別仕様(60th Anni Model、外装:特別記念ペイント、内装:2トーン特別仕様シート、本革ヨーク)が少数存在する。 ターボ過給モデル(ターボ・ボナンザ) モデルA36TC(1979年 - 1980年) 271機生産 コンチネンタル社製TSIO-520(300hp/2700rpm/MAP36")搭載。大径シングルターボ、インタークーラなし。カウルフラップなし。 モデルB36TC(1981年 - 2002年) 394機生産 主翼スパンを延長し、高高度性能を向上させた。1984年、一般的な複式操縦系統に改められ、2000年からガーミン社製GNS500/400シリーズ、キング社製KFC225を搭載した。
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