プロジェクト・コースト
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「ウォーター・バッソン」の記事における「プロジェクト・コースト」の解説
バッソンが取り組んでいたことの多くは、まだ秘密である。1981年に、彼が国家大統領P・W・ボータ(P. W. Botha)の個人医として働いていたとき、国の外科医総監(Surgeon-General)はバッソンを雇い働かせ、南アフリカ軍事保健サービス(South African Military Health Service)の専門部隊である7医療大隊グループ(7 Medical Battalion Group)で結成させた。彼の仕事は、他国の化学生物戦争能力に関する情報をプロジェクト・コースト(Project Coast)という名の下に収集することであった。バッソンは予備報告の後、プロジェクト責任者になり、国の化学生物兵器能力に取り組み始めた。彼は世界中から研究者約200人を募集し、年間1,000万ドル相当の資金を受け取った。1982年に、バッソンは『Operation Duel』でSWAPO捕虜200人を殺したとされている。 プロジェクト・コーストは、国際BTWC(生物兵器禁止条約)協定に違反して化学生物兵器を秘密裏に研究した。バッソンはフロント企業を4つ作った。Delta G Scientific Company、Roodeplaat Research Laboratories(RRL)、Protechnik、およびInfadel。1989年に、D. John Truter Financial Consultantsと、Sefmed Information Services の2会社に分割された。これら会社は、軍をプロジェクトから公式に遠ざけ、必要な化学薬品を調達し、資金に水路を開くために使用された。後の調査によると、バッソンには自分のやりたいことをする自由な手綱があった。Delta Gは、化学薬品の研究、生産、および開発のほとんどを行なったいっぽうで、RRLは化学的生物学的病原体を開発したし、伝えられるところによると遺伝子工学に関与していた。Protechnik は、化学兵器に対する防御を開発している大規模な核的、生物的、化学的兵器プラントであった。Infadel は小規模なそれらを扱ったし、他の部隊の資金調達と管理に集中したし、ことによると軍事施設と研究施設の間で資金をやり取りしたかもしれない。被雇用者の多くは、自分が何に関与しているのか気づいていなかった。 1980年代に、バッソンとこのプロジェクトは、反アパルトヘイト運動のメンバーらに対する攻撃と暗殺に関与したとされている。南アフリカ、アンゴラ、およびナミビアの指導者らはまた、もっと危険な化学薬品がその国で群衆管理のために使用されたと主張したけれども、政府は別なふうに主張したし、化学兵器が南アフリカ軍に対して使用されたと主張した。バッソンは、著名な反アパルトヘイト活動家らに対して使用される致死化学物質を市民協力局(Civil Cooperation Bureau)(CCB)に提供した。バッソンは、化学生物戦争プログラムに関する情報を収集するために世界中を旅し続け、ことによると金銭洗浄のためかもしれない、他のシェル会社とペーパー会社を、追加のフロント会社として設立し続けた。 1990 年にフレデリック・ウィレム・デ・クラーク(F. W. de Klerk)は大統領になったとき、化学薬品の生産を停止し致死剤を破壊するよう命じた。バッソンは、政府が禁止していなかった非致死性化学剤と化学薬品に集中した。それの中には、大量のエクスタシーとマンドラックス(Mandrax)が含まれていて、これらは明らかに輸出されたか、または反アパルトヘイト運動で活動しているコミュニティの麻薬バイニンらに売られたとされる(cf.Basson Brownies)。備蓄品のほとんどはその後消失した。このプロジェクトに取り組んでいる科学者らは後に、自分らは、それがドラッグ入りの催涙ガスを作成するために使用される、と信じている、と述べた。1992年1月に、南アフリカ国境付近でFRELIMO(モザンビーク解放戦線)軍は作戦行動を実施した。作戦行動の過程で、彼らは化学物質と考えられるものに被爆したとされている。この事象で死亡した兵士らもいれば、入院治療が必要な兵士らもいた。国連、アメリカ、およびイギリスの調査によって、BZ(→3-キヌクリジニルベンジラート)神経剤と特定された。アメリカとイギリスは南アフリカ政府に圧力をかけ始めたし、1993年1月にプロジェクト・コーストは閉鎖された。バッソンは正式に退職したし、プロジェクトを分解するために雇われたし、南アフリカのフロント企業の一部が私営化されたとき利益を得たとされている。その後の政府の調査により、大量の化学薬品と薬剤が紛失していることが判明した。
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